「原発ゼロの会・大阪」の発足と今後の活動について

2011年10月15日
「原発ゼロの会・大阪」準備会

3月11日に発生した東日本大震災による巨大地震と大津波は、東北各地に甚大な被害をもたらしました。同時に起こった東電福島第1原発の過酷事故は、大量の放射能を放出し、空と海、大地を汚し、農業・畜産・漁業・産業・観光などあらゆる分野に深刻な影響を与えています。原発周辺住民は長期にわたって立ち退きを強いられるなど、他の事故とは比べものにならない酷い実態になっています。こうして原発はいったん過酷事故を起こせば制御できない大事故に至るだけでなく、使用済み核燃料、放射性廃棄物の処理方法も確立できないという致命的な欠陥をもった未完成の技術であることが明らかとなりました。

こんな危険で致命的な欠陥を持つ原発は廃止して、ゼロにするしかありません。それを実現する最大のカギは世論の力です。いまこそ、私たち一人ひとりが声を上げ、原発ゼロの世論を府下の隅々まで起こしていきましょう。

(1) 今日までの到達状況

私たちはこの6月から、原発問題に対して大阪でどんな取り組みが求められているか、率直に意見交換してきました。そして、既に発表している「原発をなくし、自然エネルギーを推進する新しい府民運動への参加を呼びかけます」に書いた内容で私たちの思いを集約しました。
9月初めから行ったこの呼びかけに対し、既に31団体・70個人から参加の返事が寄せられ、1団体・7個人からオブザーバー参加、4団体・28個人から「賛同」の意が表明されています。また、この新しい府民運動の呼びかけには作家の藤本義一さん、落語家の桂吉弥さんなど関西の著名人12名も呼びかけ人になっていただくことができ、さらに全国的にはノンフィクション作家の澤地久枝さん、脚本家のジェームス三木さんなどからも賛同の言葉が寄せられています。
私たちが今日発足させる「原発ゼロの会・大阪」は、こうして多くの団体・個人の支持・賛同を得てスタートしていることに大きな確信を持って取り組んでいきたいと考えます。

(2) 私たちの運動

私たちの運動の出発点となる要求は、呼びかけ文にも書かれている次の2点です。
<1>地震国日本に原発は余りにも危険です。原発をなくし、ゼロにしましょう!
<2>日本の電力・エネルギー政策を自然エネルギーの推進に大きく転換しましょう!
そして、「会」の名称も「原発をなくし、自然エネルギーを推進する大阪連絡会(略称:「原発ゼロの会・大阪」)」として正式に確認し、スタートすることにします。略称を「原発ゼロの会」から「原発ゼロの会・大阪」に変更したのは、今後「原発ゼロの会」は大阪だけでなく全国的にも無数につくられていくだろう。その際、やはり大阪の「原発ゼロの会」であることをはっきりさせるために「原発ゼロの会・大阪」としました。日常的には「原発ゼロの会」でいきたいと思います。
そして、この二つの要求で一致できるならあらゆる団体・個人の参加を歓迎し、一緒になって原発ゼロをめざす運動、自然エネルギーを推進する運動をすすめていきたいと思います。

(3) ゼロの会の運営と財政

原発ゼロの会の運営と財政については、次のようにします。
*呼びかけ人および呼びかけ団体についてはそのままの名称で残し、引き続き積極的に関わっていただくようにします。
*ご参加いただいたすべての団体・個人は、「原発ゼロの会」の世話人とします。そして、3〜4ヶ月に1回の頻度で「世話人会議」を、年に1回は「世話人総会」を開催し、全体の取り組みについて協議するようにします。なお、世話人の代表は大阪から公害をなくす会の金谷邦夫会長にお願いしています。
*また、「会」の日常的な運営を担当するために、事務局長・事務局次長・若干の事務局員で構成する「事務局」を置きます。発足直後の事務局の体制は、この間準備会の事務局を担ってきた人たちが担当することにしています。
*「会」の財政は個人の入会金、団体の会費、および協力金・募金などで賄うようにします。

(4) 今後の運動の方向性

三つの柱を基本にしてすすめます。
<1>「原発ゼロの会」の取り組みを隅々にまで広げましょう
各団体・分野、地域では大いに学習会や討論会、見学会などを開催して、「原発問題」「自然エネルギー問題」について徹底して議論し、“原発ゼロ”“自然エネルギー推進”の合意を隅々にまで広げていきましょう。
また、団体だけでなく個人の参加も大いに呼びかけていきます。そのために、「原発ゼロの会」としては、ホームページの立ち上げや意見ポスターの取り組みなど様々な機会をつくって幅広く参加を呼びかけていくようにします。
<2>各地域に「原発ゼロの会」を無数に作っていくことを呼びかけます
府的な「原発ゼロの会」の下部組織と言う位置づけではなく、それぞれの地域の自主的な運動体として地域に「原発ゼロの会」(名称はそれぞれの地域で考えて気持ちにマッチした名称を)を無数に作っていくことを呼びかけます。そして、それぞれの地域で原発をなくす運動をすすめるとともに、地域で自然エネルギーを推進する取り組みを行政や業者、専門家と一緒になって検討し、具体的な取り組みをすすめることを呼びかけます。“自分の町の電気は、自分のところで創る”という発想の転換が重要です。
<3>関西・全国の仲間と連携した取り組みをすすめます
原発をゼロするという要求は、決して大阪の取り組みだけで実現できる課題ではありません。関西電力のお膝元である大阪、関西最大の電力消費地・大阪で世論を高めることが最も大事なことですが、同時に関西・全国の仲間の運動と連携し、国民的な世論を大きく盛り上げることも欠かせません。関西の各県に仲間を持つ団体はぜひ関西レベルでの取り組みも検討しましょう。「原発ゼロの会」としても関西各県の取り組みを交流する場を検討していきたいと考えています。

(5) 具体的な取り組みについて

<1>国や大阪府、大阪市、関西電力に対する署名を大いにすすめます。各団体が既に取り組んでいる署名は大いに評価し合い、それがないところ用に「原発ゼロの会・大阪」として署名用紙を作る準備をすすめます。
<2>大阪府や大阪市をはじめとする各自治体に対して“原発をなくし、自然エネルギーの推進を”求める意見書を国に挙げる、国に求めるだけでなくそれぞれの自治体で「原発ゼロ・自然エネルギー推進宣言」をあげ、それぞれの地域で具体化を迫っていく運動を大いにすすめましょう。そのための政策提言も積極的に行っていきます。
<3>関西電力と国の原発再稼動の動きを許さない取り組み、あるいは“原発ゼロ・自然エネルギー推進”の取り組みを大阪や関西レベルで交流することも追求していきます。そして、そうした取り組みの上にできれば2012年の3月11日に関西レベルの集会なども検討していきます。
<4>団体や地域では毎月の11日を「11行動日」(イレブン行動日)として、街頭に打って出で宣伝や署名など創意をこらした取り組みを大いにすすめましょう。

終わりに

「災害」問題に対する世論と取り組みは、時とともに下火になってしまう傾向があります。しかし、“原発をなくせ、自然エネルギーの推進を”の取り組みは、そうした一過性の取り組みに終わらせることは絶対できません。何故なら私たちや子どもの未来がかかっている問題であり、確実に原発をなくすまで、息の長い粘り強い取り組みが求められます。
同時に、関西電力や野田政権の原発再稼動(来年夏からは安全点検を済ましたものから順次稼動を許可するという方針)の動き見るとき、当面、来年夏までのこの一年間の取り組みが決定的に重要だと思います。
日本の電力・エネルギー政策を、原発依存から完全に脱却させ、自然エネルギー推進の方針に切り替えるまで共に頑張りましょう。

以上