第39回公害環境デー基調報告

第39回公害・環境デー実行委員会

<はじめに>

 第39回公害環境デーは、被害者の救済、地球温暖化の防止、国と地方の政治を国民・住民の手に取り戻す取り組み、農業をはじめ産業、雇用などあらゆる面に影響を与える環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題など、どの面をとっても重大な情勢の中で開催されています。私たちは今回の公害環境デーを「安全・人間優先のまちへ転換 いそごう!公害被害者の救済、とめよう!地球の温暖化、まもろう!生物の多様性」というスローガンのもとに開催します。それは、派遣労働に端的に示されているように人を「物」のように扱い、大企業の利潤追求・大型開発の前に「安全」が無視される社会に対し、私たちは「人間」と「安全」を優先する社会に大きく転換していくことが求められていると考えるからです。
 私たちはこうした情勢だからこそ、公害・環境問題について大いに語り、周りの人に訴え、共同の輪を広げ、私たちの力で情勢を明るい方向に変えていきましょう。

(1)終わらぬ公害、待ったなしの被害者救済

 「公害国会」(1970年)から41年、私たちは、新たな「公害」に直面しています。
 41年前の大阪の空はいつもどんより灰色で、電車も国道を走るクルマも昼間でもライトをつけて行き交っていました。公害対策基本法には、経済発展との「調和条項」があって、空気も水も土も、高度経済成長の名の下に大企業の汚し放題。「緩慢な殺人」(公害)が各地で頻発しました。全国に広がった「公害なくせ」の住民運動に押されて政府は、公害対策基本法や大気汚染防止法の改正、水質汚濁の規制強化に踏み切り、「調和条項」を排しました。公害の規制と被害者救済を担う環境庁の発足と公害環境行政に転機をもたらした革新府政の扉が開かれたのが71年。公害デーのスタートはその翌年でした。

1.大阪における3つの公害と被害者救済

■泉南アスベスト
 地域が丸ごとアスベスト災害に見舞われ、中皮腫や石綿肺がんになった患者たちが国に対して損害賠償を求めた泉南アスベスト裁判の1審判決(2010年5月19日)は、国の責任を全面的に認める画期的な判決でした。国と石綿工場との共同不法行為を認めた判決は、全国に広がるアスベスト被害者の全面救済に向けた重要な一歩を記しました。この判決を踏まえて原告・弁護団は控訴断念を勝ち取る運動を展開、厚生労働大臣と環境大臣の支持を取り付けたものの最終的に国は控訴しました。
 2010年11月17日に行われた控訴審の第1回口頭弁論で裁判所は、和解勧告を出しませんでしたが、裁判長は、「次回公判には裁判所の考えを示す」と表明し、本年1月13日の第2回口頭弁論では国に対して原告の「和解」による早期解決という強い要望に対して国はどうするのかの見解を2月22日の進行協議の場で明らかにするよう求めました。
 この間原告らは、国と裁判所に早期解決を求める団体署名を積み上げるとともに、国会議員への要請行動、環境・厚生労働両省への宣伝活動などを精力的に展開しています。国は、裁判所の解決勧告を待つこと無く被害者救済の話し合いのテーブルにつくべきです。この裁判の期間中にも既に何人かが亡くなっています。日々悪化する病状と向き合うアスベスト被害者にとって「命あるうちに解決を」の願いは痛切です。残された時間は減るばかりなのですから、国は誠実かつ迅速に解決をめざさなければなりません。
■寝屋川廃プラスティック工場による健康被害
 人々が安心・安全に住み続けたいと願う住宅地に近接して突然持ち込まれた2つの廃プラスティック処理工場、工場からの排出ガスが住宅地を襲い住民に深刻な健康被害を引き起こしています。住民らは、工場の操業差し止めを求めて裁判を起こしましたが、第1審判決は住民側敗訴。本年1月25日の控訴審判決は健康被害(症状)の存在は認めましたが、それが二つの施設に原因するものとは認定できないとして、控訴棄却を言い渡しました。原告・弁護団は、健康被害の原因究明をもとめて、被害者が中心になって公害等調停委員会(公調委)に訴えることを検討しています。
 廃プラスティック工場の問題は、「リサイクル」の名の下に府内どこでも起こりうる問題です。大気汚染や悪臭などの公害を未然に防止するとともに、健康被害を出さないための規制と監視が欠かせません。周辺住民に健康被害が発生しているのは事実であり、私たちは施設を設置した寝屋川市をはじめとする各自治体と設置を許可した大阪府に対し、住民の健康と安全を守る立場から、健康被害の実態調査や原因究明についてそれぞれの役割と責任、権限において行うことが強く求めます。

■大気汚染によるぜん息患者への救済制度をつくる
大気汚染は近年、少しずつ改善傾向にありますが、たとえば二酸化窒素(NO2)では、沿道を中心に高い濃度の汚染が続いています。大阪でも、自動車排ガス局2カ所(住之江と今里)で環境基準をオーバーしています。(平成21年度)また、2009年9月に環境基準を決めたばかりのPM2.5についても軒並み環境基準を上回っています。こうした大気汚染状況と符合するように子どものぜん息患者が急増し、小学生より中・高校生で増加率が高い傾向が続いています。(文部科学省:学校保健統計)
 こうしたなか、「せめて医療費だけでも無料にしてください」——あおぞらプロジェクト大阪と「ぜん息被害者の救済を求める会」が呼びかけた大阪府条例の制定を求める署名が、3万人を超えて広がりを見せています。今回の署名運動は、次のような意義を持っています。

<1>依然として深刻なNO2やSPMによる大気汚染の実態を知らせ、有効な対策を求める活動への共感を広げる。PM2.5観測体制の確立、具体的で実効ある対策の強化につなげる。
<2>NO2の環境基準の大幅緩和、公害指定地域の解除など公害環境行政の後退の誤りを明らかにする。大気汚染常時監視体制の削減などの公害環境行政の後退を許さない市民の共同を広げる。
<3>大気汚染公害によるぜん息などの呼吸器疾患被害者の救済制度を東京都に続いて大阪府で実現することが、国による新しい公害被害者救済制度の創設につながる。

 環境や健康で安全なまちづくりに関心を持つすべての人々との対話をして、署名への支持と共感を広げましょう。被害者を掘り起こし、被害者とともに救済への世論を高め、加害企業や自治体・国を動かす運動への参加を呼びかけましょう。そして、2月府議会をめざして、10万人の目標を必ず達成しましょう。

2.憲法25条を具体化し、温暖化防止の取り組みと合わせて

 私たちは、大阪における3つの公害反対と被害者救済を求める運動を、憲法25条に示されている「生存権」を具体化する運動、そして、地球温暖化防止の取り組みと重ねて、子どもや孫たちに安全で安心して暮らせる環境を手渡すたたかいと位置づけて取り組みます。それは、次の40年(2050年:温暖化規制長期目標年)を見据えた未来を引き寄せる崇高な活動です。

(2)地球温暖化防止・CO2削減と生物の多様性

1.地球温暖化防止・CO2削減とCOP16

日本では熱中症による被害、ロシアでは猛暑による森林火災、中国やパキスタンでは豪雨による大洪水、南米では異常な寒波など、2010年の夏は世界中で異常気象が猛威をふるい、地球温暖化の防止がますます切実な人類共通の課題として、私たちの目の前に迫って来ていることを実感させられました。
こうした中、12月にメキシコ・カンクンで開催された国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)は、「京都議定書の期限切れ後に空白期間が生じないよう作業部会で出来るだけ早い協議完了を目指す」「世界の温室効果ガスを大幅に削減し、産業革命以降の気温上昇は2度以内に抑制する」「コペンハーゲン合意に基づき先進国、途上国が示した温室効果ガス排出削減目標・行動に締約国全体が留意する」などを骨子とする「カンクン合意」を採択しました。「カンクン合意」は、議定書のような法的拘束力を持つものではなく、また、CO2の削減では全体を合計しても25%削減は無理といわれる「コペンハーゲン合意」の目標・行動にとどまっているなどの弱点はあります。しかし、アメリカを含む先進国には削減目標を掲げて率先して取り組むことを要求し、また、中国やインドなど途上国に対しても抑制に向けた計画策定を促す、そして、削減の取り組みを国際的に検証する制度の設置や途上国支援のための基金の創設などを盛り込んでおり、今年南アフリカ共和国で開催されるCOP17での最終合意に向けて、重要な「橋渡し」「足がかり」となりうる合意です。COP17に向けて、「CO2を2025年までに25%、50年までに80%削減する数値目標を確認し、それを実現するために『共通だが差異ある責任』の原則に立って『先進国』『途上国』が取り組む法的拘束力のある合意形成を!」という世論を大きく盛りあげていくことが重要になっています。
一方、日本政府は、自らが議長国となって取りまとめた京都議定書の延長に反対し、「化石賞」を2度も贈られるなど世界から厳しい批判を浴びました。日本政府が延長に反対したのは鉄鋼、電気、石油、自動車などの産業界の意向を代弁したものであることは明らかです。私たちはこうした日本政府と一部産業界の姿勢を、厳しく批判していかなければなりません。

2.政府の「地球温暖化対策基本法」

民主党政権は、2010年3月に「地球温暖化対策基本法案」を国会に上程しましたが、6月の国会会期末とともに「廃案」となりました。その後、春の「地球温暖化対策基本法案」と基本的には同じ内容の法案を10月に国会上程しましたが、これも臨時国会の会期末とともに廃案になりました。
民主党政権が国会に上程した「地球温暖化対策基本法案」には、削減目標の実行に主要国の「合意」などという前提条件をつけたり、自然エネルギー・再生可能エネルギーの導入目標はわずか10%にとどまる一方で、安全性や処理方法に問題のある原子力発電(原発)を「温暖化対策の切り札」と位置づけたり、生産量が伸びれば排出量も青天井に伸びてしまう原単位方式を入れたりしている問題点があります。
国が中長期の温室効果ガス削減目標を掲げ、それを実現するための基本的な方針をまとめた「温暖化対策基本法」を持つことは重要なことであり、私たちは以下のような視点を盛り込んだ「基本法」の早期実現を強く求めるものです。

1.日本のCO225%削減にはいかなる条件もつけずに、先進国の一員として率先してすすめる立場に立ちきること。その実績をもとにEU諸国とも連携しながら、削減に消極的な先進国や途上国を説得する役割を果たすこと。
2.「原発」に依存するエネルギー政策を転換し、太陽光発電や風力、水力、バイオマスなどの日本の立地条件、自然環境にあった自然エネルギー・再生可能エネルギーに軸足を根本から移した対策を立てること。
3.CO2の削減では、大量生産−大量輸送−大量消費−大量廃棄といった生活様式、生産様式を根本から見直すような国民的な意識改革運動と共に、CO2排出の大きな部分を占める電力、石油、鉄鋼、自動車など大企業にCO2削減を義務付けること。

3.生物の多様性をまもる取り組みとCOP10

昨年10月には名古屋市で「遺伝子組換作物に関するカルタヘナ議定書」第5回締約国会議(MOP5)と「生物の多様性に関する条約」第10回締約国会議(COP10)が開催されました。ここでも先進国と途上国の激しい対立で、「合意」が危ぶまれましたが、議長国であった日本政府の働きかけで、前者については「名古屋議定書」を、後者については「愛知目標(ターゲット)」という合意文書を採択しました。
名古屋議定書では、「各国は自国の天然資源に対して主権的権利を有する」として、先住民が「伝統的知識」として持っている動植物や微生物の遺伝子情報、化学成分が、薬の開発などに役立ってそれが大きな利益をもたらした場合、先住民にも利益の配分を受ける権利があることなどを確認しています。また、愛知目標では、「生物多様性の損失を止めるために効果的な緊急行動を取る」という目標を確認するとともに、生態系保全のための20項目の目標・行動を確認しています。
こうした合意を形成する上で議長国として日本政府の果たした役割は評価するものですが、同時に、議長国としてこの「名古屋議定書」「愛知目標」、とりわけ「愛知目標」に基づいて生物の多様性を守る取り組みを率先してすすめるべき日本政府が、その一方で、ジュゴンやサンゴなど守るべき自然がいっぱいある沖縄・辺野古に米軍基地を建設しようとしたり、生物多様性の宝庫とも言うべき日本の農業を成り立たなくさせてしまうTPPに突如参加しようとしたりと、まさに「言っていること」と「やっていること」がまったく矛盾しているものとして厳しく批判されなければなりません。

4.地球環境をまもる府民運動を

地球温暖化防止・CO2削減、生物の多様性を守る取り組みは、子どもたちやこれから生まれて来る人たちに生存可能な地球環境を残すという重要な課題です。次のような府民運動を大きく進めましょう。
●COP16の成果を生かし、今年のCOP17では、数値目標も明確で法的拘束力も持った国際的な「合意」ができるよう世論を大きく盛り上げよう。
●生物の多様性を守る取り組みでは、政府は「名古屋議定書」「愛知目標」を守ること、辺野古へ米軍軍事施設の建設やTPPへの参加を取りやめるよう要求しよう。
●国際公約としてのCO225%削減を実現し、本格的な「低炭素社会づくり」を目指す「地球温暖化対策基本法」を早期に実現しよう。
●大阪府と各自治体に地球温暖化防止計画・CO2削減目標、生物の多様性を守る計画を作らせ、実行させる取り組みを強めよう。
●市民ベースでの地球温暖化防止の取り組み、里山や水辺、自然公園など、生物の多様性を守る取り組みなどを交流し、身近なところから考え、行動を起こしていいこう。

(3)大阪府・市町村の環境行政の実態と課題

1.今、府民の生活環境は

過去100年の平均気温の推移は、全国が約1℃の上昇に対し、大阪はヒートアイランド現象もあって約2.1℃も上昇しています。その結果は、老人や弱者には生存権を脅かすものにすらなっており、「ゴーヤカーテン」や「屋上に芝生を」、「ミスト」などで解決できる問題ではなくなってきています。
NO2は改善されたとはいえ、観測局の6割が日平均の98%値で0.06ppm〜0.04ppmのゾーンにあります。大阪府は上限値の0.06ppm以下になったことを捉えて「環境基準を達成した」といいますが、その下でぜん息患者が増え続け、未認定・未救済の公害患者が多数生まれている状況からも、黒田革新府政時代の環境目標値・0.02ppm以下に引き下げることが必要です。また、問題になっているPM2.5について観測体制の確立とともに発生機構の解明、環境モニタリングが重要な課題となっています。
光化学スモッグの予報・注意報発令は昨年とほぼ変わりませんが、5年ぶりに被害の訴えが1件発生しました。光化学スモッグの主な成分である光化学オキシダント濃度は、依然、環境基準を達成しておらず、基準値0.06ppm超の日数は昭和50年代後半から増加傾向にあります。
循環型社会に向けて廃棄物発生抑制には大量消費型社会をつくっている政策の転換が基本です。大阪は一人当たりの一般廃棄物の排出量が全国ワースト1となっています。これは事業活動によって発生する廃棄物が含まれいるからのようです。フェニックスの埋立処分場も限りがあり、大阪府の「廃棄物処理計画」による目標とその達成、各市町村「廃棄物処理計画」の具体化が重要です。
大阪の河川は工場の排水規制や下水道の整備等で改善されつつありますが、大阪湾では赤潮や貧酸素水塊が発生しています。総量規制によって水質の汚濁負荷を押さえること、また、肝臓・腎臓への障害や発ガン性などの毒性がある溶剤などに含まれる1.4-ジオキサン等の新たな排出規制が必要です。

2.大阪府の橋下知事のもとで

<1>大阪府政の行方
大阪府の橋下知事は、大阪府と大阪市を一元化する「大阪都構想」、大阪府・大阪市の解体、さらには「道州制の導入」などを盛んに宣伝し、これで全てが解決すのかのように述べています。しかし、その実態は、「身近なサービスは市町村へ」「府民には自立と自助を」「大阪府は空港、道路など大型開発・産業基盤整備に特化し、関西州を目指す」などで、具体的には<1>「ビジョン大阪」の推進、<2>府庁舎のWTC移転、<3>全市町村への事務の権限委譲、<4>補助金の市町村交付金化などとなっています。これらが関西財界の意向、願望を代弁したものであることは明らかです。
しかし、府民の要求は大阪自治労連の4200件におよぶ住民(きずな)アンケートでも、財政が厳しくても充実してほしいという要求として橋本知事が切り捨てた雇用、福祉、医療、安心・安全への要求が7割〜8割を占めています。橋下知事の目指す方向と府民の要求は大きく乖離しています。

<2>大阪府の環境施策の方向は
◆健康実態の分析なしの大阪府新環境総合計画
現在、10年先を見通した「大阪府新環境総合計画」が議論されていますが、「計画」推進の視点に地域団体・NPO、府民を中心にすえながら、施策の目標値、社会的責任のある企業や行政の責任をあいまいにしているところがあります。また、「効率化」の美名のもと、「計画」を推進する責任体制が明らかではありません。府民の健康実態に対する分析は完全に欠落しています。「計画」を推進するためには、大阪府の庁内に環境施策推進の部的組織体制をつくり、行政水準の維持向上を図ることが先決です。
◆環境農林水産総合研究所の独立行政法人化
環境農林水産総合研究所は平成19年4月に環境(旧公害監視センター)・農林(旧農林技術センター)・水産(旧水生生物センター・旧水産技術センター)の三試験研究機関を統合させた組織です。その環境農林水産総合研究所を、橋下知事は平成24年1月から独立行政法人にしようとしています。ダイオキシンなどの大気・水質など環境モニタリングや分析の精度管理を行い、環境基準遵守の実態を監視するためにも、こうした事業は民間化につながる独立行政法人化ではなく、大阪府が自ら行うことが必要です。
◆大阪府「財政構造改革プラン」による環境行政の切り捨て
橋下知事の大阪府「財政構造改革プラン」は毎年600億円、平成23年度から3年間で1800億円削減するという計画です。毎年、人件費で270億円、事業費で330億円を削減しようとしています。環境施策関係では、これまでの削減に加えて、向こう3年で大気汚染常時監視で1500万円、大気・水質環境調査分析業務で300万円など公害・環境行政の基本となる環境モニタリング関係の予算を削減しようとしています。
◆市町村への権限移譲による環境行政の後退
平成22年度からの3年間で、市町村へ特例市並みの権限移譲をするというもので、大気汚染、水質汚濁、ダイオキシンの曝露、土壌汚染などを規制する11の関係法令の権限を大阪府から市町村へ移すというものです。移譲される市町村は財源と人員の確保の目途がなく、大阪府からのサポート体制がほとんど見込まれない状況のなか、公害の規制や市民の環境保全が確保できるのかという不安が大きくなっています。住民サイドからしっかり監視し、環境保全に必要な体制の確保を求めることが必要です。

3.市町村と大阪府の温暖化対策

大阪から公害をなくす会の温暖化委員会が実施した主な自治体に対する温暖化対策に関するヒアリングでは、多くの自治体が温暖化対策として<1>太陽光発電への補助、<2>企業や家庭の省エネ診断・省エネ改修への補助、<3>環境家計簿の推奨に取り組んでいること、しかし、“人も金もない”というのが現場担当者の悩みになっていること、生物多様性の取り組みはほとんどのところがこれからという実態にあることが明らかとなりました。一方、大阪府に対するヒアリングでは、大阪府として様々な計画・取り組みはあるものの、全体に総花的で予算も少なく、また、府下の市町村の温暖化対策との連携が全くないことも明らかとなりました。

4.安全・安心な大阪をつくるために

地球温暖化による猛暑、海水の温度上昇、集中豪雨・ゲリラ豪雨、サイクロン、森林火災、などの異常気象現象で、熱中症、水害、水不足、干ばつ、食糧減産、生態系の破壊など、暮らし、生存への被害が見過ごせない状況になっています。地震対策も引き続き大きな課題です。
民主党政権のもと無駄な事業の見直しの名の下に「事業仕分け」が行われましたが、米軍に対する思いやり予算や防衛費には手をつけない一方で、気象観測所の予算など必要な予算賀が削減され無人化になるという事態も起きています。自然災害の対策として、不必要な大型プロジェクトの予算こそ見直し、過去の建造物の橋や道路などの生活に密着した公共事業を重視し、予算化する取り組みが重要になっています。

終わりに

大企業奉仕の施策の拡大によって、公害・環境行政など府民の生命に関わる必要な施策が切り捨てられ、私たちの生命と暮らしが脅かされています。そんな流れにストップをかけ、安全・安心、人間優先の社会に転換するために大いに奮闘しましょう。

以上

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第39回公害環境デー基調報告