公害のない第二京阪道路をもとめる住民運動―寝屋川からの報告

公害のない第2京阪道路を求める寝屋川、四條畷市民の会

1.公害調停のとりくみ−7年間の運動でーアセスメント予測値が5倍も甘いことを立証

 2004年7月、公害のない第二京阪道路建設をもとめる市民2700名が申請し、大阪府の公害調停に取り組み、12月15日に46回目となった。本公害調停は、アセス評価書発表時から10年を経過しており、アセスメントの見直しを求めて申請された調停である。
 この点で、事業者側は、住民への説明会で、車の走行による二酸化窒素濃度の増加は、寝屋南局、小路局の近傍の箇所においては、寄与濃度は年平均値1ppbと説明してきた。しかしながら、実測は、年平均値1ppbの約5倍の濃度増加が確認された。

 調停では開通前の大気環境調査をもとめる住民の声を無視することができずに、調停委員長の提案を受け入れるかたちで、開通前2週間のデータ提供させることができた。

2.第2京阪道路の公害調停を終えるにあたっての申請人らの要望事項

(1)アセスメントの方法とデータ処理の過程について、より詳細な情報開示をおこなうよう要望します。
供用開始後の沿道測定局のNO2測定結果は、供用前に対する供用後のNO2の増加について事業者が住民に説明してきた予測を超えています。そこで、専門家など第3者が検討できるよう、アセスメントの方法とデータ処理の過程について、より詳細な情報開示をおこなうよう要望します。

(2)今後とも環境監視の充実、強化を求めます。
環境省が5月25日に発表した「そらプロジェクト」の報告は、幹線道路と小学生のぜん息発症率に相関関係があるというものでした。
また、供用開始後、自動車交通量が昨年11月約6万台から、今年6月の調査で7万台から8万台に増え、大型車の混入率も増えつつあります。大気汚染等環境悪化を防止することがいっそう重要になっています。
こうした状況を踏まえ、関係機関、団体等と協議し、一層の測定局の設置など環境調査等必要な環境監視につとめることを要望します。とりわけ、PM2.5の測定と情報開示を強く要望します。

(3)調停後も、道路沿道を中心に環境保全、健康状況の把握等に関し、8者協において積極的な役割を果たすとともに、住民に対し、情報開示、説明、協議につとめることを要望します。

3.寝屋川市への取り組み―NO2濃度が予測の5倍も増加、常時監視局の設置が必要

 2011年1月20日寝屋川市長 馬場好弘氏に要望書を提出。8月22日、回答をもとに市の環境政策課、都市計画部局、道路交通課、道路建設課、教育委員会と懇談をしました。
 懇談では、第二京阪沿道に大気環境を監視する常時監視局を設置するよう大阪府に要請することを要望しました。上記、沿道での二酸化窒素が大幅に増加していることを指摘し、市として市全域でのNO2測定の充実、pm2.5の測定、廃プラ施設周辺での複合汚染の監視などについて検討し、小中学生の健康診断結果の公表をもとめました。

 市の回答、見解
  *市独自のNO2簡易測定を第二京阪沿道12か所、年4回実施した。廃プラ施設と京都側トンネル出入り口に近い、寝屋川公園と府道八尾枚方線近くのしらゆり保育所で高濃度であることが判明した。簡易測定を市域にさらに広げることは検討したい(環境政策課)。*PM2.5の測定機については、大阪府が市役所局に設置するとしている(環境政策課)。*小中学校の健康診断結果については、情報公開を実施する(教育委員会)。*植樹を実施したが、育つまで時間がかかる(都市計画)。*道路標識や安全対策など要望があれば言ってほしい(道路交通課、道路建設課)。

4.大阪府へのとりくみ―沿道への常時監視局の設置は、時期について検討。
   ―大阪府としてPM2.5の測定機器を14台購入する

2011年3月3日、大阪府への要望書への回答にもとづき7月21日大阪府と懇談。

(1)(要望)第二京阪道路沿道において自動車排気ガスによる大気汚染がもっとも厳しいと予測される箇所に大気汚染防止法に基づく常時監視局を設置し、かつ二つの廃プラスチック処理施設周辺における有害化学物質の測定を実施し、情報公開を行うこと。

(回答) 大気汚染防止法に基づく環境監視は、事務処理基準で測定局の配置について「自動車排出ガスによる大気汚染状況が効率的に監視できるよう、道路交通量等の状況を勘案して配置する。」とされています。第二京阪道路沿道への常時監視局の設置については、事業者(国土交通省、西日本高速道路株式会社)と関係自治体(大阪府・寝屋川市を含む沿線5市)で構成する「第二京阪道路(大阪府域)環境監視のあり方に関する検討会(以下、「検討会」とします)」による測定結果を参考に地域ごとの配置を考慮して必要な時期に検討します。
また、検討会としては、「環境基準」「測定方法」「予測手法」の3点が確立された項目について測定することとしており、PM2.5については、「予測手法」が確立されておらず、測定結果についての原因分析や効果的な対策の検討ができないことから、現時点では、測定は行わないこととしています。今後、「予測手法」が確立された場合には、検討会の関係者で・協議・調整を行いながら適切に対応していきます。→(市民の会の意見)pm2.5は環境基準、測定器もきまり、基準にたいして地域の環境がどうかは測定しないとわからない。「予測手法」がないと測定できないという法令でもあるのですか?→(府)そういう法律や条例はありません。府として、今年、府下に14台のpm2.5の測定機を配置する予定です。→(市民の会)ぜひ、寝屋川に設置してほしい。・・・実現しました。

(2)(要望)環境施策である大気汚染常時監視業務・水質環境調査分析業務など公害・環境行政にとって必要となる環境モニタリング関係予算を削減することなく、さらなる充実を行うこと。

(回答)大気、水質の常時監視等の環境モニタリングは、環境省が示す事務処理基準などに基づき計画的に実施しており、今後とも健康被害等の未然防止や環境の現状把握に必要なモニタリングを効率的運用に配慮しながら実施していきます。


(ぜん息公害をなくすための基礎データを集収する提案)
 道路公害をなくす住民運動の重要な目的のひとつは、子どもをはじめとするぜん息公害の根絶です。 児童生徒のぜん息被患率は、1980年頃以降、増え続けています。また、2酸化窒素濃度が高い都市部での患者が多いことが、明らかになっていましたが、この事実について、ようやく昨年5月、環境省による空プロジェクト調査の中間報告で認められました。
 ところが、大阪府は、10年前まで幼小中高生のぜん息有病者の喘息調査を行なっていましたが、突然やめ、その後、大阪府医師会が委託調査を行なっていましたが、橋下知事になって、医師会の調査も廃止されました。未来を担う、子供たちの健康状態の把握が行われないという由々しき事態です。ソラダスの取組みのなかで、各自治体ごとの実行委員会で、各教育委員会に、健康診断結果の公表と、全数調査の実施を求めることを呼び掛けます。(文責:長野 晃)
 

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