市民共同発電所のとりくみ

自然エネルギー市民の会
運営委員 中村 庄和

1. 市民共同発電所とは

 市民共同発電所は、自分たちで使用するエネルギーを自分たちで作り出すことをめざして1990年代半ばから市民の間でとのくみが始まりました。2007年の市民共同発電所全国フォーラムでは、当時71団体によって、185の発電所が設置されていました。

 発電所と言えば電力会社が建設する巨大発電所をイメージしますが、市民共同発電所は太陽光や風力といった自然エネルギーを利用した発電所で、資金は市民が出し合います。

≪自然エネルギーの特徴≫
 ・自然エネルギーは地球温暖化防止に貢献する。
 ・自然エネルギーは化石燃料のように偏在がなく、枯渇しない平和で安全なエネルギー。
 ・小規模・分散型で地震などの災害に強い。
 ・様々な形でどこにでも存在しているため、市民を中心に地域の主体が普及するのに適している。
 ・市民による普及は、自然エネルギーから得られる利益を地域に還元し、地域の自立や活性化をもたらす。自然エネルギーの普及は新たな産業を発展させる。

2.自然エネルギー市民の会・(NPO)自然エネルギー市民共同発電のとりくみ

 自然エネルギーはその地域のものであり、地域の資源を大切にしながら、都市と地方の市民・NGOが協働してすすめていくことを重視しています。そのことが、子どもたちも含めて永く交流できる事業となり、自然エネルギーのさらなる普及につながるものと考えています。

 (1) ポッポおひさま発電所(東大阪市) 2006年3月〜
 (2) せのがわおひさま共同発電所(広島市)  2013年3月予定
 (3)福島りょうぜん市民共同発電所(福島県伊達市) 2013年6月予定

3.市民共同発電を普及させるための課題

? 買取価格 : 2012年7月より太陽光発電の場合10kW以上の設備は全量買取、税込み42円/kW。
          2013年4月には買取価格が下がると言われている。
? 資金調達 : 金融商品取引法により、1人以上から出資を募集する行為は、有価証券となり規制対象となる。有価証券にあたる出資を募る際には、例外を除き第二種金融商品取引業の登録が必要。非常にハードルが高い。
? 運営形態 : 資金調達方法とも密接に関係するが、太陽光発電の場合は元本返済まで20年間とすると、20年間存続し、運営できる組織形態が必要。

4.地域単位の小規模発電に適した「せのがわ おひさま共同発電所」

?設置主体は「有限責任事業組合せのがわ  おひさま共同発電」、個人組合員6名と(NPO)自然エネルギー市民共同発電で設立。30kW、約1200万円、20年間で元本返済、利息1%/年。

? 有限責任事業組合(LLP)とは
 ・組合員は出資額の範囲までしか組合の債務者に対し責任を負わない。
 ・設立が簡便で、経営の柔軟性が高い。
 ・生じた損益については非課税、組合員に分配される。
 ・法人格なし。出資法の縛りを受けず、出資金を集めることができる。
 ・組合員全員が事業執行者であることが必要。

5.福島県農民連と連携した「福島りょうぜん市民共同発電所」

?設置主体は(NPO)自然エネルギー市民共同発電
 ・資金調達は福島県内、全国から。
 ・信託会社に募集を依頼する予定。
 ・50kW、約2000万円、20年間で元本返済、配当1%/年。
 ・売電収入は年間200万円程度。

?福島県内の出資者に対するプレミアムまたは、県内の農業者を支援する「福島復興基金」の設立を検討。


 


資源エネルギー庁ホームページより
 

上記資料のPDF版はこちらをダウンロードしてください。
ワークショップ2−3 市民共同発電所のとりくみ