温室効果ガス・CO2削減は待ったなしの課題
地球環境委員会からの訴え

2015年2月1日
公害をなくす会・地球環境委員会

(1)国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書

*IPCCは、2014年11月3日、地球温暖化に関する第5次評価報告書の仕上げとなる「統合報告書」を公表した。その主な内容は

・1880~2012年の133年間に地上の気温は0.85℃上昇している。
・CO2の累積排出量と世界平均気温・地上気温の上昇は、ほぼ比例関係にある。
・現在のCO2の排出量を続けると、あと30年足らずで工業化前(1850年ごろ)からの平均気温の上昇が2℃を超えてしまうことになる。
・平均気温の上昇が2℃を超えると、人類の健全な生存が脅かされる恐れがあると考えられる。

(2)環境省の温暖化被害予測の報告書案

*環境省は1月20日、地球温暖化が進んだ場合に予測される日本の各分野への影響をまとめた報告書案を示した。その主な内容は、『朝日新聞』1月21日付によると以下のようになっている。

*農林水産業
・1等米の比率が全国的に減少
・2060年代にウンシュウミカンの主力産地の多くで栽培がしにくくなる。
・シロザケの生息域が日本周辺で減少
・アワビなどの漁獲量が減少

*水環境・資源
・北日本と中部山地以外で渇水の深刻化

*自然生態系
・ニホンジカなどの野生鳥獣の生息域が拡大
・熱帯や亜熱帯のサンゴの生息に適した海域が2040年までに消失

*自然災害
・洪水を起こしうる大雨が今世紀末に増加
・海面上昇により高潮のリスクの増大

*健康
・十分温暖化対策を取った場合でも、熱中症など暑さによる死亡者数が全県で2倍以上に

*生活
・水道や電気などインフラやライフラインに影響
・ヒートアイランド現象に温暖化が加わり、気温が引き続き上昇。名古屋では2070年代8月に2000〜2009年の8月の平均気温に比べ3度程度の上昇を予測。

(3)国連気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)と第21回締約国会議(COP21)

*COP20は2014年12月1日から14日まで南米ペルーの首都リマで開催され、合意事項として「気候変動に対する行動のリマからの呼びかけ」を採択した。合意事項では来年末(2015年末)にパリで合意をめざす2020年以降の温室効果ガス削減についての新しい国際協定に盛り込む項目を確認している。主な内容は、報道によれば以下のようになっている。

・新国際協定に向けて準備のある国は2015年3月までに、「削減の基準となる年と実施期間」「何故その目標が野心的だと考えられるかについての説明」「地球温暖化の被害軽減策」「先進国による途上国への資金援助」などを内容とする国別削減目標を条約事務局に提出する。
・条約事務局はそれらをまとめ「統合報告書」を作成して公開する。(相互点検方式は合意されず)

*望月環境相は閣僚級会合での演説で、2020年以降の温室効果ガス排出量の国内削減目標について、「出来るだけ早期に出す」との態度表明に留まり、相変わらず足を引っ張る役割を演じた。そんな日本政府の態度に、対策が後ろ向きだとして再度「化石賞」が贈られた。

*COP21は以下のように開催される。
・開催場所 パリのル・ブールジェ会場
・開催期間 2015年11月30日(月)〜12月11日(金)
 →2020年以降の温室効果ガス削減について世界のすべての国が参加して合意をめざす重要な会議となる。京都議定書の議長国として、日本政府に先進国としての役割を積極的に果たさせることが重要。

(4)私たちの取り組み

1)IPCC報告などを使って気候変動・地球温暖化問題について大いに学習しましょう

●「IPCC報告」学習会……チラシが入っているのでご参照を
*日時 2015年2月14日(土)午後2時30分から
*場所 阪南大学あべのハルカスキャンス
*内容 ?「気候変動・温暖化とIPCC報告」…青山政利さん(元近大准教授)
      ?「ペルーでのCOP20に参加して」……早川光俊さん(CASA専務)
*定員 40名(先着順)

●学習会の第2弾
*テーマ 「地球温暖化なんてウソだ」とか、「CO2削減には原発の稼働が必要」などという意見について、その間違いと問題点を学ぶ
*時 期 5月下旬を予定

2)身近なところからの温室効果ガス・CO2の削減の取り組みを

*行政や企業に対して温室効果ガス・CO2削減の計画を持たせ、実行させること。

*同時に、CO2の削減とともに省エネ・低エネルギー社会について国民一人一人が、自分で出来ること、職場や会社・事業所で出来ること、地域でできること、団地でできること、市町村や府県レベルでできることなどを検討し、実践することも重要。

3)国際会議(COP21)への参加の検討も

*本年末にパリで開催されるCOP21は2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15に匹敵する大事な会議となる。世界各国からの参加が予想され、会議への参加資格も厳しく、会議そのものへの参加は難しい情勢ですが、NGOレベルでの交流は可能である。公害をなくす会として参加することの意義、COP21で何をしてくるのか議論を深めていく必要がある。

*代表派遣や有志による参加など実現可能な形態での参加を考えていくので、その際は積極的にご参加を検討ください。
以上
 

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各分野6−3.温室効果ガス・CO2削減は待ったなしの課題