《大阪府民へのアピール》

経済優先で公害・環境、公衆衛生行政を後退させる
『大阪都』構想をストップさせましょう!

 大阪市を“解体”して5つの特別区にするという「大阪都」構想は、住民サービスが良くなるどころか悪くなるとして、昨年10月の大阪府・大阪市の両議会で否決されたものです。ところが安倍政権の憲法改悪に維新勢力を取り込みたいという思惑もあって事態が急変し、否決された「協定書案」がほぼ同じ内容で復活、2月の大阪府・市議会での議決を経て、5月17日に大阪市民による住民投票となり、予断を許さない事態になっています。

 そもそも「大阪都」構想は、大阪市が持つ財源を大阪府に吸収することによって、府主導で大規模な公共事業を推進しようと構想されたものです。無駄な大型公共事業の復活、公害・環境行政の後退、新たな公害へと突き進む構想であり、断じて許せないものです。

 加えて次のような問題があります。

 第1に、これまで培ってきた大阪の公衆衛生行政を“解体”してしまう問題です。幹線道路とぜん息患者の問題、結核や肝硬変死亡者と労働・生活・地域との関係など、24区に分けて分析したからこそ解明された問題です。それが5つ特別区に改編されたらほとんど見えなくなることは火を見るよりも明らかです。医療統計や衛生統計の継続性は失われ、これまで大阪市が蓄積してきた貴重なデータが台無しになってしまいます。

 第2に、経済優先の政治で府民・市民の生活がますます切り捨てられる問題です。これまでも大阪府・市は公害患者への死亡見舞金を廃止し、未認定の喘息患者へ医療費助成要求には耳を貸さないなど、府民・市民に冷たい行政を行ってきました。「大阪都」構想を許せばこの傾向がいっそう強められ、淀川左岸線や新なにわ筋線の建設、夢洲へのカジノ誘致などが強行される一方で、大阪市立環科研と大阪府立公衛研の統合や独立行政法人化がすすめられ、アスベス、大気汚染、地震・津波、温暖化対策などの施策は先送りされ、“弱い者いじめ”が横行する行政になってしまいます。

 第3に、「大阪都」構想は、大阪府のあり方を根本から変え、従って大阪市以外の各市町村にも大きな影響を与えるものです。そんな重大な問題を、大阪市民の投票だけで決めるというのは、民主主義に反するやり方であって、到底許されるものではありません。

 「大阪都」構想を推進する橋下大阪市長は1月15日、「憲法改正は絶対必要だ」「まあその予行演習ですよ、大阪都構想は」と述べました。憲法の改悪に賛成し、大阪市を“解体”して、経済優先、公害環境・公衆衛生行政を後退させる「大阪都」構想は、絶対許してはなりません。

 府民・市民みんなの力でどんなことがあっても「都」構想をストップさせようではありませんか。

2015年2月1日
第43回公害環境デー

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大阪府民へのアピール 経済優先で公害・環境、公衆衛生行政を後退させる『大阪都』構想をストップさせましょう!