2011年3月16日
電力労働運動近畿センター
地震被災者のみなさまへお見舞い申し上げます
このたびの地震に伴う被災者のみなさんへ心からお見舞いを申し上げます。また、親戚や知人・友人の方々で被災されたみなさまへも重ねてお見舞い申し上げます。
災害復旧に全力をあげて奮闘されている皆さんに心から敬意を表します
東日本各地で、危険な放射線被曝も含めライフライン復旧に従事されている皆さん、未曾有の困難な中、家族も犠牲にしながら働く姿に熱い思いを持ちつつ、一日でも早く全国支援が届くよう私たちも努力致します。
今回、発生した原子力発電所事故の初期状況は次の通りです
2011年3月11日14時46分、宮城県栗原市で震度7、マグニチュード9.0、太平洋岸に10?もの津波発生。運転中の福島第一原発1〜3号機、第二原発1〜4号機が緊急停止。女川1〜3号機、日本原電東海第二も停止。15時42分福島第一原発1〜3号機で停電。15時45分福島第一のオイルタンク津波で流失。16時36分緊急炉心冷却装置ECCSの注水不能で東電緊急事態。19時03分菅首相原子力緊急事態宣言。その後、福島第一原発1〜3号機の炉心溶融がはじまり、水素爆発で多数の従業員の負傷事故も発生し、20?圏の5万人以上の住民に避難勧告も出されました。その後30km圏内作業員も多数の死傷者がでています。
原子力発電の「安全神話」は崩壊しました。
「『原子炉をとめる・冷やす・放射性物質を閉じ込める』という何重もの措置がある」から全く安全と言い続け、「原子力立国政策」のもと、住民の不安の声に耳を貸さずに開発・推進一辺倒を続けてきました。「想定外」の言葉は、自然の脅威への過小評価の上に原発推進を続けてきた事を象徴しています。ECCSは稼働せず、幾重もの安全策が失敗し、廃炉を覚悟し、海水を注入しなければ炉内温度を下げられない事態となりました。また、東電関係者による「記者会見」の内容は、一番大事にしなければならない住民への情報提供という立場に立ったものとはいえません。予防原則に立った発表をすることで防げた被曝被害があったのではないでしょうか。
政府や電力経営者の「安全最優先・安全確保」の掛け声が今ほどむなしく聞こえる時はありません。
古い原発から暫時廃止の方向への転換を求めます
福島原発1号機は40年を超える原発であり、まさに老朽化そのものです。多くの被害の大きさを考えれば古い原発は、暫時廃止の方向へ原発政策のかじ取りを変えることが必要であります。長期、短期計画に基づく廃止の方針を、今こそ叡智を集めて実施すべきと強く求めるものです。
全国の電力会社は、直ちに全原発の、耐震・津波・ECCS・事故対応の見直しなど総点検することをもとめます。そして結果を正しく公表すべきであります。
自然エネルギーの拡大へ政策転換を求めます
長期エネルギー政策の中で、自然エネルギー拡大へかじ取りを切り替えることが大切です。まもなく始まるIPCC第五次報告は、世界における昨今の異常気象についての新しい知見も出されます。それら地球温暖化の防止策に「原子力発電」に依存する「立国政策」は根本的に考え直さねばならないでしょう。今回の福島原発事故は、そのことを証明したことであり、「絶対安全への道」は、自然エネルギー・地域分散エネルギー以外にないことを、あらためて国民の皆さんとともに共有出来ると思います。
巨大原発運転停止による電力不足への影響は甚大
東京電力は、一気に1000万キロワット不足におちいり、3月14日から「計画停電」がはじまりましたが、つぎの二点を厳守してください(1)公共交通機関・病院等公共施設・他のライフライン機関への送電は断固優先させる。(2)「発表する停電する停電時間帯」は、お客様を混乱させてないよう正確に広報する。
さらに重要な点は、改めて国民が知った50・60ヘルツの違いが電力融通を妨げている問題について、これを政府・電気事業者が解決するため、「スマートグリット提言」で出されている「列島縦断・直流80〜100万ボルト送電線」を、既設各電力送電線路を活用し早期実現を提唱します。
また、今回も石炭火力等のフル運転を余儀なくされ、柏崎刈羽原発停止の再来でCO2の排出は、京都議定書以降最大規模になると思います。日本の10電力会社は、日本国土と人々のくらしのため、CSR「企業の社会的責任」の根本的再検討と、これを機会に「電力需要拡大一辺倒による儲けのための経営」を見直すべきです。
エネルギー産業で働くみなさまへ訴えます、いまこそ、復旧・復興で社会的責任を果たしましょう
1995年の阪神大震災で受けた全国的支援へのお返しをいまこそ果たしましょう。そして仕事など復旧・復興でそれぞれの立場で役割を果たしましょう。広く救援カンパを訴えます。最寄りの各府県センターの方々へ持ち寄りください。
最後に、私たちもエネルギー産業で働き、また働いてきた者として、いまこそ底力を発揮し、企業の壁や職場・職種の違いを乗り越えて協力共同し、救援に全力をあげるとともに地球環境を守る先頭にたちましょう。
以上
連絡先・電力労働運動近畿センター
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