大阪府知事 殿

大阪府の公害対策・環境行政に対する
2011年度の重点要望

2011年11月22日
大阪から公害をなくす会
会 長 金谷 邦夫

 大阪から公害をなくす会は、1971年2月に“公害による被害者を救済せよ”“公害をなくし、安心して住める環境を”などの要求を掲げて、被害者団体、住民運動団体、市民団体、労働組合、学者・個人などによって結成されました。
 私たちはこの40年間、一貫して大阪の公害・環境問題に取り組んできました。特に今年は、3月11日の東日本大震災の発生によって、地震・津波対策とともに原発の問題が切実な課題として浮かび上がってきました。そうした情勢を踏まえ、私たちは府民の環境、生活、経済を守る立場から、大阪府の公害対策・環境行政に対する重点事項として以下の点を要求します。
大阪府としてこの切実な要求を真摯に検討し、その実現に向けて具体策を取られるよう強く要望します。

(1)原発問題・自然エネルギーの推進について

<1>原発事故は最大の環境破壊・生活破壊という認識に立って、“原発ゼロ・自然エネルギー推進”宣言を行うなどし、原発の早期廃止・自然エネルギーの推進に全力をあげることを政策決定すること。
<2>福井の原発群で過酷事故が起こった場合のシミュレーションを行い、府民に公表・周知徹底すること。大阪府として関西電力と原子力安全協定を結ぶこと。
<3>自然エネルギー推進に必要な人・金・物などを集中投入し、各市町村自治体、住民、業者、専門家一体となって自然エネルギーを強力に推進すること。

(2)地震・津波対策など大阪の防災問題について

<1>東海・東南海・南海地震や上町断層帯直下型地震が発生した場合の地震・津波の大きさと被害を、専門家の意見を入れて正確に予測し、公表すること。
<2>東日本大震災では、港・湾岸の船・コンテナ・石油タンク等の破壊が原因で火災が発生し、町全体を焼き尽くすという事態が発生している。大阪湾の現状について点検し、結果を公表すること。
<3>巨大地震が発生した場合の地盤の液状化、高層ビル、巨大地下街問題、津波による浸水などについて予測し、結果を公表するとともに対策を立てること。
<4>災害直後の対策本部として、また、復興対策の拠点として、大阪府が果たさなければならない役割は決定的に大きい。東日本大震災による震度3の地震であれほど大きな被害が出る咲洲庁舎(旧WTC)は府庁としてまったく相応しくない。一刻も早く撤退すること。

(3)被害者救済について

<1>泉南でアスベストによる健康被害について国家賠償を求める被害者の運動がある。府としても被害府民を救済する立場に立って、国に対し早期救済を要望すること。
<2>寝屋川の「廃プラ」処理場の周辺住民から健康被害が出ているという訴えを真摯に受け止め、公衆衛生に責任を持つ府として保健所や府立公衆衛生研究所の機能を総動員して実態調査を行うこと。
<3>国のそらプロジェクトでも自動車排ガスとぜん息の発症には関連性があると認めた。局地汚染対策を進めるとともに、高速道路公団や自動車メーカーの負担も求め、未認定・未救済のぜん息患者等の救済制度を早期に創設すること。

(4)公害・環境行政について

<1>府立環境農林水産総合研究所は、大阪の環境の監視や調査・保全で重要な役割を果たしてきた。その公的責任を維持し、発展させるためにも独立行政法人化の方針は撤回すること。
<2>府の環境監視業務について、“特例市並み”の名のもとに市町村への「権限委譲」が行われているが、財源や人材もない市町村とって大きな負担であり、住民の不安も大きい。「権限委譲」は行わず、公害監視に必要な体制を府として確保・維持すること。
<3>本年3月に策定された「新環境総合計画」について、NO2の環境保全目標は「0.04PPM以下とする」ことを明確にするとともに、環境行政における大阪府の役割、権限、責務を補強すること。
<4>呼吸器系疾患だけでなく循環器疾患にも重大な健康被害を及ぼす物質としてPM2.5が問題となり、国のPM2.5に関する環境基準も設定された。大阪府として早期に観測体制を整えて実態把握をおこない、実態を公表すること。
<5>2000年以降、大阪府の保健所が大幅に削減されてきた。保健所は公衆衛生のトリデである。府民の健康を守る保健所の削減政策を改め、強化・拡充の政策に転換すること。

(5)地球温暖化防止について

<1>自然エネルギーの推進は、地球温暖化の防止にもつながる大事な取り組みであり、地球温暖化防止の観点からも自然エネルギーの推進を強力に進めること。
<2>地球温暖化の防止は、府と各市町村自治体が連携し、府のイニシアティブのもと各市町村自治体単位で行政、住民が一体となって推進することが大事。各自治体の温暖化防止対策がすすむ支援を行うこと。
<3>地球温暖化の防止につながり、また、電力・エネルギー問題を解決するもう一つの課題として、省エネ・低エネルギー社会の実現に向けて、イニシアティブを発揮すること。
<4>COP17では、「共通だが差異ある責任」の原則に立って全ての国に法的拘束力をもつCO2削減計画が締結されるよう努力することを国に働きかけること。

以上

 


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