声明

大阪市を廃止し4特別区に分割する制度案「大阪都構想」に反対します

「大阪市を解体し特別区を設置する制度案(大阪都構想案)」は重大な問題をはらんでいます。

一)本制度案は、大阪市の財政・財産の多くを大阪府に取り上げ、政令市固有の権限をも奪い取るものであり、大阪市民が長年蓄積してきた公衆衛生・環境保全・福祉・教育・モノづくり・都市文化など、市民生活の安全・安心・安定と行政サービスを更に低下・縮小させるものです。

二)政令市を特別区に縮小・劣化させると言う地方自治体の存立基盤を根こそぎ変更する重大な提案にもかかわらず、その目的が明確に示されていません。

ただ、特別区・都構想になれば大阪経済が浮上するという幻想あるのみで、大阪市民を納得させる理念は微塵もありません。本案は、IR・カジノ・スーパーシテイなど、失敗続きの湾岸巨大開発に再度投資するために、大阪市民の財産を奪い取るものでしかありません。

三)本制度案は、コロナ禍以前に作成されたものであり、例えば、インバウンド頼みの経済政策や、すでに日没のIR・カジノ開発へのインフラ投資など、提案されている推測数字は、見直さなければならないものばかりです。このままでは、本案は大阪の「成長戦略」ではなく、大阪経済「破綻戦略」になると考えます。

四)本制度案は、市民への犠牲を強いた「二重行政のムダ排除」と市民の声が届く「ニアーイズベター」などメリットを謳った制度ですが、既にほころびが見えています。まず、独立した自治体でありながら「合同区庁舎」にせざるを得ない事態や、既存の「区役所」を存続する、未だ明確にできない「一部事務組合」など、「府」「特別区」「一部事務組合」「旧区役所」と、四重行政を生み出します。効率のいい行政運営とは言えず、市民サービスの更なる低下がはっきりしています。

五)連日報道されている大阪の新型コロナウィルス感染拡大状況に、市民の不安は極致に達しています。また、自粛を名指しされている地域の商店主には、専ら自己責任を押しつけるばかりで、自粛と充分な補償のセットなど、希望の持てる出口を示していません。

大阪市政に今必要なことは、「都構想よりコロナ対策」「都構想より、他都市より大幅に遅れているインフラ整備をはじめとした防災」です。

2020年8月21日

大阪から公害をなくす会 会長 金谷邦夫