原発問題住民運動大阪連絡会 - #152 原発の運転期間延長の危険から住民を護る取り組みを
長期運転時代に入った関西の原発
今年、福井県内で日本原子力発電敦賀原発1号機、関西電力美浜原発1号機の2基の原発が、国内で初めて40年を超える運転を計画し予定しています。関西電力は今年運転開始40年を迎える美浜原発1号機について、昨年11月には継続運転か建て替えかの態度を決めると予想されていましたが11月5日、「50年運転可能」の技術評価書を国に提出し、運転継続の計画を明らかにしました。
日本原電の敦賀1号機は、後継の3号機が運転を開始する16年に廃炉することが決まっていますが、美浜1号機は後継機の計画は具体化していません。関電の森社長は新年のあいさつに福井県内の各自治体を訪れましが、美浜1号機の運転期限について一切明言を避けました。地元の美浜町では、建て替えに伴う地域への経済効果を期待する強い声がありますが、関電は「答える状況にない」と繰り返し、1号機の運転と新しい原発建設を関係づけることを避けています。このような状況に対して、さらに10年延長して運転開始以来60年間の運転も可能と言う声もあります。
高経年化(老朽化)原発への国の施策
原発が高齢化すれば老朽化が進み、原子炉、機器、配管、ケーブルなどに様々なトラブルが発生します。11人の死傷者を出した美浜3号機配管破断事故は、20数年間点検されなかった配管で高温高圧の流水による減肉が放置された結果の大事故でした。事故の教訓に基づき当然電力会社は事故を避けるために、予想される危険箇所を計画的に点検しで修理や交換をしていきますが老朽化に伴うトラブルや負担の一層の増加、見落としも予想されます。
このような危険に対し国は高経年化対策として、30年を超える原発に対して、最長60年の運転を仮定した上で、10年ごとに、その後10年間の対策を盛り込んだ評価書を事業者に提出させ、認可を受けることを定めて実施しています。しかしこの対策も老朽原発の安全を保障するものではありません、運転開始40年を前に08年11月に定期検査に入った敦賀1号機では、期間中に10件もの不具合やトラブルが見つかりました。運転開始から39年間、1度も点検しなかった配管が減肉ですり減り、厚みが国の基準を満たさなくなった、美浜3号機の事故再現を思わせる深刻な例が発見されています。
評価に慎重な自治体と続くトラブル
このような実態を反映し、現地自治体は新たな運転計画について慎重な姿勢を取ります。敦賀1号機の延長を申し入れている日本原電の森本社長が1月8日県庁を訪れたが、西川一誠知事は「県の判断は他の全国の高経年化原発にも影響を与えるので、慎重に判断する必要がある」と述べて、回答を留保し続けています。
一方、美浜1号機では、上記のように昨年11月5日に技術評価書を国に提出し、福井県などに説明しましたが、その翌日の6日に制御棒駆動装置の異常で予定していた原子炉起動を延期。さらに7日後の13日にはに発電機の出力が異常な乱高下を起こしで発電を停止するトラブルも起こしました。最近は日本各地の老朽原発で制御棒に異常な挿入のトラブルが多発しています。
長期運転に反対し安全を守る運動を
老朽化した原発の運転継続は電力会社にとっては経済的メリットが大きいと予想されますが、まさに事故の危険と裏表になった方針だと言わざるを得ません。私達はそのような危険な延命を中止すべきだと考えます。私達の会は「ライフライン市民フォーラム」に参加して美浜事故以来関西電力との間で原発の安全を守る話し合いを繰り返してきました。関電の方針を変える真の力は圧倒的な府民の世論です。私達は関電が計画している安全対策全体の公表と充実を求め、着実な実施を監視する取り組みを進めます。多くの皆さんのご協力を期待します。
げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)
【 2010年1月25日 No.152 】
原発問題救民運動大阪連絡会