原発問題住民運動大阪連絡会 - #152 浜岡原発基準地震動の大幅引き上げの必要性を明らかにした駿河湾地震
1月19日、中部電力は浜岡原発5号機が昨年8月の駿河湾を震源とする地震で3、4号機などに比べ大きな揺れを観測した原因は「比較的浅い地下構造の特性による」との調査の中間報告を同市議会に行いました。報告は「原発の東側から来る地震波だけに見られる特性」であり、「最大で2倍程度増幅する可能性がある」と述べ、中電としてはさらにボーリング調査などを行うとしています。同じ発電所の敷地内の原発で原発によって震度に大きな違いがあるという現実が明らかにったことは、地震に対して安全な原発設計にとって深刻な問題です。
中電は8月11日の本震(マグニチュード6・5、深さ23キロ)と2日後の余震(同4・5、同23キロ)、12月17日の伊豆半島東方沖地震(同5、同4キロ)などで観測した震動記録を解析しました。約400メートル離れている4号機との揺れの違いを調べた結果、東側の限られた方位から来る地震波のうち揺れの周期が0・3〜0・5秒付近だけに観測値の明確な違いが読み取れたといいます。中電が原発の構内で08年から行っている深さ約1500メートルまでのボーリング調査では、地下約400〜700メートル付近で砂岩層の割合が増えていることが分かっています。中電は「地震波の伝わり方や判明している地下構造などから原因を推定した」と説明し、東海地震を想定した場合、中電が独自に試算した結果として「5号機の揺れは500ガル程度になる可能性がある」としています。
これらの結果は実際に起こった地震の測定結果から追加された新たな調査で得られたもので、従来の指針や調査では意識されていません。駿河湾地震はM6.5という規模としてはありふれた地震でしたが、5号機だけは本格的な東海沖地震に匹敵する震度を示しました。このこ事実は浜岡原発の基準地震動設定に過小評価があることと、地層・地質の問題が如何に複雑で予測困難かを示しており、浜岡はもちろん全国の原発基準地震動の大幅引き上げなしに原発の安全は保障されないことを明らかにしています。
げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)
【 2010年1月25日 No.152 】
原発問題救民運動大阪連絡会