#153 ライフライン市民フォーラムが第10回話し合いを関電に申し入れ
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原発問題住民運動大阪連絡会 - #153 ライフライン市民フォーラムが第10回話し合いを関電に申し入れ

#153 ライフライン市民フォーラムが第10回話し合いを関電に申し入れ

カテゴリ : 
げんぱつ
 2010/2/26 13:05

 ライフライン市民フォーラムは2月12日、関西電力に「第10回話し合い申し入れ書」を提出しました。 

関西電力株式会社 社長 森詳介 殿

ライフライン市民フォーラム(LLCF)

 貴社との間でこれまで9回の話し合いを信頼関係の中で進めてきたことを感謝します。引き続き第10回目の話し合いを下記の四つの課題で行うことを申し入れます。

第一は、美浜三号機配管破断事故以来繰り返してきた話し合いで確認した安全対策、今後の検討を要望した問題などについて、実施状況や、検討の到達点を確認する、原発の安全に関わる問題の質問です。
第二は、貴社が準備を進め、私達が反対を表明 しているプルサーマルについて質問です。
第三は、すでに一部話し合いが行われてきましたが、将来にわたって人類の安全に関わる地球環境問題について、大量排出量の温暖化ガス発生源である電力産業の主要な構成員である関西電力に対して質問です。
第四は、情報公開(開示)に関しての質問です。(別添資料参照)

1.原発の安全を確保する問題

 貴社は09年11月に美浜原発一号機の2回目の高経年化技術評価とそれに基づく長期保守管理方針を策定し、40年以上10年間の運転を認めるよう国に求めています。貴社がプレスリリースで発表した「美浜発電所1号機 高経年化技術評価および長期保守管理方針の概要について」を見ると、「技術評価」「管理方針」のそれぞれの具体的内容については「例」として蒸気発生器、炉内構造物、ケーブル、格納容器循環ファンモータの4部位を挙げるにとどまっています。私達はこの間、美浜三号機の配管の破断問題、「原子力発電所の高経年化対策」、最近では大飯3号機台管の応力腐食割れ問題などについて貴社と話し合ってきました。貴社の原発11基のうち7基が今年は運転開始以来30年以上を経過します。そのような高経年化の状況をうけて以下の質問を致します。

 ? 新たな「長期保守管理方針」について4項目を例示するだけでなく、貴社が評価し管理する必要のあると考える主要機器、部分について列記して貴社の評価管理の方針・計画・実施状況・発見されたトラブルを説明して下さい。30年以上の運転を行う高経年化原発についても同様です。国の方針は6項目(中性子照射脆化・応力腐食割れ・疲労割れ・配管減肉・電気計装設備・コンクリート構造物)に整理されています。
その具体的内容と整合性についてどのようなお考えなのか説明してください。

 ? 原子炉容器の中性子照射脆化問題について、私達は脆性遷移温度の予測と、試験片の数、運転期間延長による試験片不足問題について意見を述べてきました。今回の国への要請に当たり、この問題がどう扱われたか、貴社の検討状況も含めて説明して下さい。


2.プルサーマル問題

貴社が準備しているプルサーマル計画について、私達は、MOX燃料で発電した使用済み燃料には、普通のウラン燃料の使用済み燃料よりも放射能の強い高レベルの放射性廃棄物が含まれ再処理作業の困難、関係者の被曝増加などの危険が増え、再処理を繰り返すことは困難だと指摘して反対してきました。話し合いの中で貴社は「(残ったウラン燃料)95%残らず使い切れるかというのは工学的には難しいのは承知しております」と発言しています。

さらに、MOX燃料の使用によって新たに発生するプルトニウムには原子量が大きくて燃えない同位元素が増え、燃料として燃えるプルトニウムが減っていくことが理論的に予見されます。またすでに指摘したように、ウラン燃料の使用済み燃料再処理を行う六ヶ所村再処理施設が未だに完成の目途が着いていない中で、次のレベルの技術を必要とする新再処理施設の稼働を前提とした再処理は願望に過ぎません。

以上のような現状では、プルサーマルは国や貴社が主張する「ウラン燃料の効率的利用」にはならない、危険で不経済な手段であります。このような状況でプルサーマルを強行するのは保有プルトニウム減らしが目的としか考えられません。以上の考えに基づいてつぎのことを説明してください。

 ? 「プルサーマルはウラン燃料の効率的利用にはならない」という上記の私達の指摘に答えてください。

 ? ウラン燃料による発電単価とプルサーマル発電単価を比較して示して下さい。さらにウラン燃料、MOX燃料それぞれの使用済み燃料再処理費用の見込みも示して下さい。現在の資本主義社会で電力会社がこのような計算無しに事業を行うとは考えられません。


3.気候変動対策:電力の脱炭素化、省エネルギーについて

 エネルギー源を大きく再生可能エネルギーへシフトすることによる電力の脱炭素化、省エネルギーの推進は、気候変動を抑制することにつながります。また、エネルギー自給率を高め、エネルギー資源の地下資源への依存を減らし、国際紛争のリスクやエネルギー安全保障上のリスクを減らすことにもつながります。

 気候変動問題に対応するにあたっては、国際協調が欠かせませんが、日本を含む先進工業国は、これまでに多くの温室効果ガスを排出し、大気中の温室効果ガス濃度を高めてきた歴史的責任があります。これを受けて、1992年の国連環境開発会議(リオ・サミット)でも、「共通だが差異ある責任」の原則が合意されています。昨年末、コペンハーゲンにて開催された、気候変動枠組条約のCOP15(第15回締約国会議)では、先進国と開発途上国の全員一致がえられず「コペンハーゲン協定」は「留保」に留まりましたが、開発途上国を含むグローバルな気候変動対策を進めるためには、私達、先進工業国が率先して大幅削減に取り組み、開発途上国の信頼を得て、脱炭素社会にともに歩む必要性を示しました。

 2006年に英国財務省が発行した「Stern Review: The Economics of Climate Change」でも、対策を行わなかった場合には、対策費用を上回る経済的損失が生じることが示されています。損害の多くは、気候変動の影響に対して脆弱な開発途上国を中心とした諸外国で生じると予測されていますが、食料自給率の低い日本にとっても、食料安全保障上のリスクとなるとともに、地球規模の貧富の格差・不公正を拡大し、将来世代に大きなつけ・怨恨を残すことにもつながります。

 電力システムの運用・更新にあたっても、このような社会的な損失(コスト)・リスクを含めた、トータル・コストを最小化することは、貴社を含む電力会社の株主、従業員、需要家、広くは諸国民、将来世代にとって、共通の利益につながります。

 このような「共通の利益」の追求を通じて、気候変動対策を進めることを重視し、以下の質問をします。

 ? COP15は、世界120カ国を超える国家の閣僚級が参集し、「温暖化防止対策」が世界政治の重要な課題であることを示しました。ここでも再確認された日本政府の温室効果ガス削減目標、2020年25%削減の国際公約実現のため、関西電力としても大規模排出者であるという自覚のもと、自社および購入先を含めた総排出実績と90年比削減状況を明らかにしたうえで、中長期の削減計画を示してください。

 ? 再生可能エネルギー普及に有効な「市民共同発電所」への支援策を講じてください。
再生可能エネルギー普及で先進するEU諸国、特にドイツやデンマークでは、広範な市民による「共同発電所事業」の普及システム(買取補償制度など)を構築し成功しています。日本でも不充分な制度の下でも意識的な市民による共同発電所が、全国で
約200か所近くが稼働しています。中でも、太陽光発電による半公共的建造物への設置の場合には、特別な対応が欠かせません。貴社としていかなる対応されているのか説明してください。


4.情報公開について(別添資料参照)

 これまで求めてきた、別添の情報の公開(開示)について、再度申し入れます。
 これまで不開示の理由として、貴社が説明されてきた「開示により、どのような不利益を被るか分からない」との理由は、不可解です。今回の話し合いにおいても、不開示とされる場合には、それぞれの情報について、開示した際に想定される具体的な「不利益」、あるいは実際に被った不利益の事例につき、説明して下さい。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2010年2月25日 No.153 】
原発問題救民運動大阪連絡会

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