#156 プルサーマルの目的はウランの効率的利用という主張は困難
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原発問題住民運動大阪連絡会 - #156 プルサーマルの目的はウランの効率的利用という主張は困難

#156 プルサーマルの目的はウランの効率的利用という主張は困難

カテゴリ : 
げんぱつ
 2010/6/21 17:43

会はライフライン市民フォーラム(LLCF)の一員として原発の安全問題で関西電力と話し合いを続けてきました。いまLLCFは次回第11回話し合いの準備にをしています。以下はその中で会がとりまとめた「プルサーマル、MOX燃料について」の質問内容です。

プルサーマの繰り返し実施は困難

 前回(3月9日)話し合いで、貴社は「1000kgの使用済み燃料を再処理すると、130kgのMOX燃料と130kgの回収ウラン燃料がそれぞれ得られる。これをプルサーマルという形で再利用すると、使用済み核燃料を直接処分するのに比べて約15%の資源節約になる」と説明しました。しかしこれは年間に日本で使用されるウラン燃料を全て再処理しプルサーマル利用を行うという架空の場合の計算であります。

 一回の再処理、プルサーマルの結果の計算は理屈として理解できたとして、その先はどういう見通しでプルサーマルをやるのかと言う当方の質問に対し「それは多分国の原子力政策大綱にちゃんと書いてないと思う」。「個人的にはもんじゅのような高速増殖炉で増やしていくと思う」と答え。プルサーマルの繰り返し利用は無理だという当方の指摘に直接反論はしませんでした。プルサーマルの繰り返し実施は困難という当方の主張を認めたのだと理解しますがそれでよろしいですね。

使用済み燃料の価値が下がる

 またプルサーマル使用済みMOX燃料を再処理して得られるプルトニウムは、プルサーマル燃焼の間に中性子を取り込んで原子量が大きくなった(高次化 Pu239→Pu240,241,242等)燃えにくいプルトニウムが増え、また偶数原子番号のプルトニウムは燃えないので、この再処理プルトニウムは燃えにくくなり、通常の使用済み核燃料に比べ利用価値が少なくなります。将来に期待される高速増殖炉での利用にも障害が出るかも知れません。また
MOX燃料は、燃えるウラン235の含有量が0.2〜0.3%と少ない劣化ウランをプルトニウムに混ぜて作られるので、その使用済みMOX燃料からの回収ウランは燃えるウラン235の含有量が低く濃縮する価値がないという指摘もあります。このようにプルサーマルを行った使用済みMOX燃料は、繰り返し利用どころか核燃料資源としての価値を大きく低下させてしまうことなります。このような指摘を貴社はどう考えますか。

不確かな核燃サイクルの将来

 しかも現在の使用済み核燃料を再処理する六箇所村再処理工場の運転は一応今年の10月まで延期されていますが、果たして10月から運転できるかは不明です。またプルサーマルを行った使用済みMOX燃料を再処理する工場は建設開始の時期も決まっておらず、MOX燃料加工工場の5月着工、15年操業がやっと決まったところです。

そして高速増殖炉もんじゅの運転が再開されましたが、国の計画でも商業化は50年以後となっており実用化の成否さへ不明の段階です。プルサーマル実施の目的はウランの利用効率を高めるこという貴社の主張は現状では、遥か将来の不確かな再処理、再利用を見込んだ架空の話しです。プルサーマルの実施が、関係する作業員の被曝を増やし、原子炉操作の困難や危険性を増やすという指摘は日本各地の反対運動で行われています。

今回指摘したいくつかの問題点を加えて考えると、プルサーマルの目的はウラン燃料の効率的利用という貴社の主張なりたたず、強行政策は、核拡散の疑惑を招くプルトニウム保有量の減少を目指す国の方針に基づくものと考えざるを得ません。我々はこのようなプルサーマル実施には反対し中止を要求します。貴社の見解を求めます。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2010年5月25日 No.156 】
原発問題救民運動大阪連絡会

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