げんぱつニュース 2011年4月25日 No.167 【日本の原子力行政がもたらした過酷事故】など
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原発問題住民運動大阪連絡会 - げんぱつニュース 2011年4月25日 No.167 【日本の原子力行政がもたらした過酷事故】など

げんぱつニュース 2011年4月25日 No.167 【日本の原子力行政がもたらした過酷事故】など

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げんぱつ
 2011/5/10 9:06

日本の原子力行政がもたらした過酷事故

3月11日の東日本大地震・大津波から始まった東京電力福島第一原発での過酷事故の被害のすさまじさと、国も東電もしっかりコントロールできない事故の今後の成り行きを日本中が恐怖を感じながら見守り、世界中が注目しています。

東電は国にうながされて福島第1原子力発電所の事故収束に向けた復旧作業の「工程表」を発表し、6〜9カ月で原子炉を安全な「冷温停止状態」としていますが、発表のはじめからその不十分さ、実行の困難さが指摘されています。そして工程表実現の作業に取り掛かるための作業環境の安全確保にまず苦慮している状況です。

他方、広がる被害への補償を求める居住者、耕作者、漁業者など広範な被害者の声に押されて具体的な補償の検討が始まりました。さらにこの事故を受けてこれからの国の原子力政策の抜本的な転換を求める声も広がっています。その第一歩として今回の事故の根本的な原因について考えます。

・軽水炉の根本的な問題点

水を冷却材として使う現在の現在の日本の原発(軽水炉)の最大の問題点は 

(1)炉内に膨大な放射能を内蔵する構造で、それが何らかの原因で外に漏れ出せば驚くべき被害を広い地域に長い期間与える危険性があるということ 
(2)軽水炉を運転すると核兵器の主要材料であり、人類にとって最悪の毒物でるプルトニウムが発生し、核拡散の危険につながること
(3)いまだに処理方法が決まらない高レベル放射性廃棄物が後世への最悪な負の遺産として残る という点です。

この第一の問題点が現実のものとなって被害と恐怖を与えているのが今回の事故です。

・絶対に安全な技術だったか

このような危険をはらんだ原発が作られ世界に普及した経過には戦争との深い関係が見られます。冷却材に水を使う軽水炉は、アメリカの原子力潜水艦のエンジンとして開発された技術を基につくられ、アメリカで核兵器用に大量に作られた濃縮ウランと抱き合わせで「原子力の平和利用」として世界に輸出されて今に至っています。兵器技術からの転用で、絶対に安全な技術として根本から練り上げられた技術でないことが第一の危険の基礎にあると思います。

・崩壊した「安全神話」

そして国も電力会社も「日本の原発は五重の障壁(多重防護システム)で守ってあるから大丈夫であり、放射能が大量に外部に放出されるような「過酷事故」は日本では起こらない」と断言し、国際原子力機関(IAEA)からの、過酷事故対策をはっきり立てて取り組めという勧告を無視してきました。この「安全神話」が今回の事故発生の最大の原因だったと考えます。阪神淡路大震災以来地震活動期に入ったと言われる日本で、震災が原発事故の最大の原因になるという状況です。

問題は、地震や津波の危険性を具体的に指摘して対策を求めた多くの意見に耳を貸さず、しっかりした耐震基準で地震や津波に耐えられる原発が作られてきませんでした。絶対に事故を起こさない基準ではなかったのです。よく「想定外」という言い訳が行われますが、想定しない限り対策は出てきません。想定しなかったこと自体に責任があります。

・過酷事故への備えなく右往左往

もう一点指摘します。それは国と電力会社が、自らが作りだした「安全神話」にはまり込んで、しっかりした過酷事故対策の計画を作り訓練をしてこなかったことです。原発が地震で緊急停止したら、燃料から出る崩壊熱で原子炉が溶融破壊しないように「まず水で冷やす」という鉄則が、福島原発では、原発を使用不能にしたくないという東電の思惑や、国が的確な指示を行わなかったなどで守られず、海水注水が翌12日の夜に初めて行われ、この緊急対策の遅れが、二つの水素爆発の発生などその後の事故の展開と、回復のめどが立たない事故に発展した大きな原因になっていることが最近の報道で明らかになりました。

・徹底した事故原因究明を

このように、今回の事故はまさに人災です。「未曾有の津波」は事故のきっかけに過ぎず、本当の原因は、このよう危険性のある原発を建設し、危険性に見合うしっかりした基準、企画での建設を行わず、過酷事故対策を持って取り組まなかった国と東電にあり、事故は今までの国の原子力行政の結果です。

原子炉を安全な状態に落ち着かせる「工程表」の早期確実な実現と同時に、事故の原因の徹底的な検証と、その結果にもとづく国の原発政策の抜本的な見直しが必要です。

東電が「事故の収束に向けた道筋」(工程表 )を発表

東京電力は4月17日、福島第一発電所の事故収束に向けた工程表を発表しました。発表は菅首相に指示に沿ったもので、東電自身の目標であるとともに、国民の不安や疑問に答えるものでなければなりません。

工程表は(1)冷却 (2)抑制 (3)モニタリング・除染 の3分野に分けて目標を示し、3か月程度のステップ1で「放射線量が着実に減少傾向となっていること」、その後3〜6月程度のステップ2で「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること」を目指し、6〜9ヶ月ですべての原発を冷温停止状態(正常な停止状態)にすることを目標としています。しかし裏付ける資料やデータの発表はなく。企業だけの目標なのか、国も全面的に指導実現の責任を負うのかもあきらかでありません。発表当初からその達成を危ぶむ様々な批判を受けましたが。今まで明らかにならなかった当面の事故収束目標示すものとして早期の実現を目指す努力が求められます。


原発日誌・大阪3/21〜4/20

21日
 東日本大震災で危機的状況にある東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では、東京消防庁や自衛隊が、3、4号機の使用済み核燃料プールへの放水を続け、東電は2号機を中心に電源復旧を急いだ。静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地から派遣された戦車は、放水活動の障害となっているがれきの撤去作業を行った。 

22日
 東京電力は、福島第1原発近くの海水を分析した結果、水中濃度限度の126.7倍にあたる放射性ヨウ素と、24.8倍にあたる放射性セシウムを検出したと発表した。

23日
 福島第1原発でのトラブルの影響が東京の水道水にも及んでいる。東京・葛飾区の金町浄水場で1リットルあたり210ベクレルの放射性物質が検出された。東京都は乳児の飲用を控えるよう呼びかけた。

24日
 枝野幸男官房長官は夕べの記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所で作業中の3人が被曝したことについて「3号機へのケーブル作業中に起きた。放射線量の高い水に足をつけて、皮膚に170ミリシーベルト以上の放射線量を浴びた。大変残念なことだ」と述べた。

26日
 原子力安全・保安院は、福島第1原発の放水口から南へ330メートル離れた場所で25日午前8時半に採取した海水から、放射性物質のヨウ素131が法律で定められている値の1250.8倍の放射能濃度で検出されたと発表した。

26日
 東京電力福島第1原発の深刻な事故の原因となった、大津波を伴う巨大地震について、09年の国の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたにもかかわらず、東京電力が対策を怠っていたことが分かった。今回の事故について東電は「想定外の津波だった」との釈明を繰り返している。だが、東電側が審議会の指摘をないがしろにしたことが、前例のない事故の引き金になった可能性が出てきた。  

27日
 津波被害によって深刻な状況が続く東京電力福島第1原発について、国の原子力安全委員会の耐震設計特別委員長を務める入倉孝次郎京都大名誉教授(強震動地震学)が27日までに取材に応じ、「想定超えは常にあり得るという設計思想が、津波に対しては浸透していなかった。責任を痛感している」と語った。

27日
 東京電力は、福島第1原発2号機のタービン建屋地下で見つかった汚染水の水面から、毎時1000ミリシーベルト(1シーベルト)以上の放射線量が検出されたと発表した。

29日
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の敷地内の土壌から、毒性の強い放射性物質のプルトニウムが検出された問題で、東電は、敷地内3カ所で週2回の調査を続ける方針を明らかにした。敷地外での調査は行わない。

30日
 東京電力福島第1原発の事故を受け、海江田万里経済産業相は、全国の原発に緊急安全対策を義務づけるよう電力各社に指示した。 同相は会見で、事故の直接的な原因として(1)緊急時の電源が確保できなかった(2)原子炉の熱を冷却する機能が失われた(3)使用済み核燃料プールの冷却水を確保できなかった−−ことを挙げた。そのうえで、非常用電源や冷却水不足の代替手段となる電源車や消防車などを確保し、訓練を実施するなどの緊急安全対策を示し、各原発で具体的に検討するよう指示した。


31日
 菅首相は首相官邸で共産党の志位委員長らと会談し、東日本巨大地震の被災対応や東京電力福島第一原子力発電所の事故などに関し意見交換した。志位氏によると、首相は2030年までに少なくとも14基の原発を新増設するとしたエネルギー基本計画について「見直しを含めて検討する」と表明した。

31日
 関西電力は、定期検査中の美浜原発1号機(美浜町、加圧水型)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)のポンプを動かし、緊急時の流量まで水を原子炉に入れて冷やす検査を行った。

4月

2日
 福島第1原発の事故で、東京電力はタービン建屋地下などで高濃度の放射能に汚染された水が見つかった2号機で同日午前、取水口付近の「ピット」と呼ばれるコンクリート製立て坑にひび割れが見つかり、たまった水が海に流出しているのを確認したと発表した。この水からは毎時1000ミリシーベルトを超える放射線量が検出された。

3日
 環境省の南川秀樹事務次官は3日、タイで会見し、福島第1原発の事故を受け、温室効果ガス25%削減の目標値を見直す可能性を示した。

4日
 東京電力は福島第1原発2号機タービン建屋にたまる高濃度の放射能汚染水の貯蔵先を確保するため、集中廃棄物処理施設内などで貯蔵中の低レベル汚染水を海に放出した。計約1万1500トンを約5日間かけて放出する。

5日
 東京電力は、福島第1原発で2号機の取水口付近の海に流れ続けている水から、国の排水基準の1億倍の高濃度のヨウ素131が検出されたと発表した。さらに、2号機の取水口付近の海水からは、ヨウ素131が、国の基準の750万倍となる1立方cmあたり30万ベクレル検出されたということで、海水の汚染が続いている。

6日
 東京電力は6日午後から、福島第1原発1号機の原子炉格納容器へ窒素を封入する作業を始める。作業中、1〜4号機でのすべての他の作業を中止する。高温で損傷した核燃料の被覆管が水と反応して大量の水素が発生しているとみられ、新たな水素爆発を防ぐための措置で、7日にかけて実施する。

6日
 東京電力は福島第一原発の敷地内の3地点で先月25、28日に採取した土壌から、放射性物質のプルトニウムを新たに検出したと発表した。検出されたのはプルトニウム238、239、240。先月21日午後から22日朝にかけて敷地内の5か所から採取した土壌から検出されたものと同様、検出量はごくわずかで、人体には影響のないレベルだという。

6日
 東京電力は東日本大震災で被災した福島第1原発の炉心の核燃料棒の損傷度を発表した。1号機(燃料集合体計400体)の約70%▽2号機(同548体)の約30%▽3号機(同548体)の約25%が損傷したと推定している。

6日
 これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員(共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは深く反省をしている」と述べた。
 これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹・原子力安全委員長、また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長(現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も反省の言葉を述べた。

7日
 東京電力は、福島第1原発1号機の原子炉格納容器内に不燃性の窒素を注入する作業を続け、午前1時半ごろには格納容器本体に窒素が入り始めた。東電は「格納容器内の圧力は順調に上昇しており、問題は生じていない」と話す。東電は約6日間かけて窒素を約6000立方メートル注入し、格納容器内の気圧を約1気圧上げて約2.5気圧にする予定。

8日
 7日深夜に最大震度6強を観測した東日本大震災の余震で、北海道から東北の原発は大きな影響を受けた。一部の原発や原子力施設は外部からの電力供給を断たれたほか、外部電力の復旧後も非常用電源(ディーゼル発電機)が故障した。原子力安全・保安院は「安全策をもっと担保する必要がある」と指摘する。

9日
 東北電力東通原発1号機(青森県)で、7日に最大震度6強を観測した東日本大震災の余震の影響で3台ある非常用ディーゼル発電機がすべて使えなくなった問題で、原子力安全・保安院は9日、従来の方針を見直し、原発の外部電源喪失に備え常時2台以上の非常用ディーゼル発電機が作動できるよう、電力各社に保安規定の変更を指示した。

11日
 東京電力は11日、福島県などで震度6弱を観測した同日夕の地震で、福島第1原発の外部電源が途絶え、1〜3号機原子炉への注水作業が約50分間中断したと発表した。新たな燃料棒の損傷などの異常は確認されていないという。1号機の格納容器内への窒素ガス注入も中断した。

11日
 原子力安全委員会は、福島第1原発事故について、発生当初から数時間、1時間当たり最大1万テラベクレル(ベクレルは放射能の強さ。1テラベクレルは1兆ベクレル)の放射性物質を放出していたとの見解を示した。現在は1時間当たり1テラベクレルほどまで落ちているとみている。数万テラベクレルは原発事故の深刻度を示す国際原子力事象評価尺度(INES)の最も深刻なレベル7にあたる。

12日
 政府の原子力委員会は12日の会合で、2010年版原子力白書の発行中止を決定した。近藤駿介委員長は「事故が収束していないときに、事故を踏まえた国民へのメッセージを盛り込むことは不可能」と説明した。

12日
 東京電力は午後7時半すぎ、福島第1原発2号機のトレンチ(トンネル)にある高濃度の放射性物質を含む汚染水を、タービン建屋内の復水器に移送する作業を始めた。 高濃度の汚染水は1〜3号機で合計6万トンと推定され、2号機の汚染水(約2万トン)からは1時間当たり1000ミリシーベルト以上という非常に強い線量が検出されている。東電はこの汚染水を復水器と集中廃棄物処理施設に移す計画だ。
 
13日
 東日本大震災後の3月15日に原子炉建屋が爆発で大破した東京電力福島第1原発4号機で、使用済み核燃料プールの水温が90度まで上昇していることが東電の調べで分かった。付近の放射線量も毎時84ミリシーベルトと極めて高い。

14日
 東日本大震災の余震で、復旧作業が度々中断している東京電力は、原子炉を冷却するために必要な電源供給を確保するため、福島第1原発1、2号機と3、4号機にそれぞれ設置された外部電源を相互に補完する改良工事を始めた。19日にも完了する予定。また、余震に伴う津波に備えるため、非常用発電機も原発施設付近の高台に設置する方針だ。

14日
 東京電力福島第1原発1〜3号機から外部に放出された放射性物質は炉内に元々あった量の2%程度との分析を、経済産業省原子力安全・保安院が公表した。今後さらに精査し、事故原因の解明や対策に役立てる。
 圧力容器内で沈着する放射性物質や蒸気の放出(ベント)、格納容器からの漏れなどを考慮して実施した。

14日
 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国(BRICS)による首脳会議が中国の三亜で開かれ、世界で新興国の発言力を高める方針を確認した「三亜宣言」を公表して閉幕した。原子力に関して「将来の新興国のエネルギー構成で重要な位置を占め続ける」と表明し、原子力発電所の建設を進める路線を維持する方針を示した。

16日
 福島第1原発事故で東京電力は16日、放射性物質で汚染された水を浄化して原子炉や使用済み核燃料プールの冷却に再利用するための新たな処理施設を、敷地内に設置する方針を明らかにした。

17日
 東京電力は放射性物質の漏洩が続き深刻な事態に陥っている福島第1原子力発電所の事故収束に向けた復旧作業の工程表を発表した。6〜9カ月で原子炉を安全な「冷温停止状態」とし、原子炉建屋をカバーなどで遮蔽することを当面の目標と位置付けた。
 東電は事故収束のための課題を(1)原子炉と使用済み燃料プールの冷却(2)放射性物質が含まれた汚染水のとじ込め・処理と大気・土壌中の放射性物質の抑制(3)避難指示区域などの放射線量の測定と低減――に分類。それぞれを3カ月程度での目標達成を目指す「ステップ1」と、それが終了した後に3〜6カ月での解決を目指す「ステップ2」に区分けし、作業を進めることにした。

18日
 東京電力福島第1原発4号機の原子炉建屋地下1階に、放射性物質を含んだ水が約20センチの深さでたまっていることが分かった。東電が17日発表した工程表では、同建屋は余震対策として使用済み核燃料プールの補強工事が必要としているが、建屋の浸水が確認され、工事には時間がかかりそうだ。

18日
 東京電力の清水正孝社長は参院予算委員会に参考人として出席し、福島第1原発事故への初動対応で、原子炉格納容器の内部圧力を下げる「ベント」作業が遅れ、事故が悪化したとの指摘に対し、「暗闇の中で作業を強いられ、通信機能も喪失して連絡が困難だった」と説明。放射能漏れを謝罪した上で「電源が喪失し、放射線量も高い厳しい状況だった。何より周辺への影響があるので、(住民が)避難(したか)をしっかり確認する時間が必要だった」と釈明した。

18日
 東京電力福島第1原発4号機の原子炉建屋地下にたまった、放射性物質を含んだ汚染水の水深が約5メートルに及ぶことが分かった。地下階はほぼ水没しているという。既に判明している1〜3号機タービン建屋の汚染水約6万トンとは別で、処理のための新たな対策が必要になる見通しだ。

18日
 電力各社が原子炉の核燃料が溶け出す「炉心溶融」など原発のシビアアクシデント(過酷事故)への対策をまとめた報告書で、発電所への外部電源や非常用ディーゼル発電機の電源機能を長時間失う事態をいずれも想定していなかったことが新聞社の調査で分かった。国は各社の報告書を了承していたほか、設計段階の国の指針でも電源を長時間失う事態を「考慮しなくてもよい」としており、電力会社と国双方の想定の甘さに専門家から批判が出ている。

18日
 原子力安全・保安院は関西電力の美浜・高浜・大飯の3原発(計11基)で、津波対策の実施状況などを一斉に立ち入り検査した。保安院は、全国の原発で取り組まれている緊急安全対策を現場確認する方針で、今回が全国初の立ち入り検査となった。関電は14日に電源車配備などを盛り込んだ対策の実施状況を経産相に報告していた。

19日
 東京電力は、福島第1原発2号機のトレンチ(トンネル)にある高濃度の放射性物質を含む汚染水について、同日午前10時8分から、集中廃棄物処理施設(集中環境施設)への移送を開始したと発表した。

19日
 東京電力は福島第1原発2号機の原子炉建屋内の放射線量をロボットで計測した結果、1階出入り口の二重扉の内側すぐの場所で毎時4.1ミリシーベルトだったと発表した。湿度が94〜99%と非常に高かった。 東電は17日に示した工程表で「3〜6カ月」を目標に2号機格納容器の補修工事を行うとしているが、人が立ち入って作業を始める際には、蒸気換気も必要になるとの見ている。

19日
 フランス大手原子力企業「アレバ」のアンヌ・ロベルジョン社長は都内で会見し、東電の要請に応じて、放射性物質を高濃度に含む汚染水の処理施設を福島第1原発内に設置する方針を明らかにした。東電は5月末までの稼働を求めているという。アレバ社による、処理施設では特定の化学物質を使い複数の汚染物質を沈める「共沈」法で放射性物質を取り除く。1時間当たり50トンの処理が可能で、汚染濃度は1000分の1〜1万分の1になる。

19日
 中部電力は浜岡原発の安全性をめぐり藤枝市議らを対象にした説明会を開いた。参加者は「福島第1原発と同じような事故は起こさないか」などと懸念を示した。中電側は「浜岡原発の地震対策は国の審査基準をクリアしている」と説明。電力の供給力を確保する必要性を訴え、運転に理解を求めた。

20日
 東京電力は福島県内各地の避難所で、福島第1原発事故に伴い避難した住民に当面の生活費として仮払いする補償金の申請書配布を始めた。事故から1カ月余りが過ぎ、被災者からは「対応が遅い」などと怒鳴り声が飛んだ。

20日
 東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2011年4月25日 No.167 】
原発問題救民運動大阪連絡会

 

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