げんぱつ 2012年4月25日 No.179
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原発問題住民運動大阪連絡会 - げんぱつ 2012年4月25日 No.179

げんぱつ 2012年4月25日 No.179

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げんぱつ
 2012/4/27 14:53

原発をどうするという基本政策を決めずに大飯原発の運転再開を許してはなりません

 いま野田政権は、原発を動かさないと電力不足の深刻な事態になると言う口実で、無理やりに大飯原発3,4号機の運転再開を押し通そうとしています。しかし強化された事故耐久力をコンピュータ計算で調べたストレステストと、原子力安全・保安院がまとめた安全対策に基づいて急遽作成した暫定の「安全基準」によって運転再開を政治判断しようという、運転再開を前提とした野田政権のやり方には与党の民主党内からも異論が出る状況です。

 私たちは、このような施策は、福島原発事故の教訓から学ばずに新しい「安全神話」を再び作り出す危険な施策として反対してきました。原発の今後へのしっかりした政策なしに大飯原発の運転を許すことは新たな運転再開の口火となります。電力会社の停止原発運転再開への姿勢はさらに露骨です。関西電力は政権の姿勢を先取りして、定年の40年を過ぎた美浜原発1号機の運転延長の申請手続きを行っています。原発運転規模を事故前に戻して従来の利益を確保しようと懸命です。私たちは、目先の利益や便利さ宣伝に惑わされずに、今後の原発をどうするかという大きな視点で運転再開の攻勢に立ち向かいましょう。

原発撤退の基本姿勢と日程目標を明らかにしたうえでの対策を

 私たちは、福島原発事故の経験に学び、以下の理由から、日本は原子力をエネルギー源として利用することをやめ、原発から速やかに撤退すべきだと考えます。

(1)福島第一原発事故は、原発過酷事故の被害の大きさ、深刻さを国民に知らせました。長く続く地域生活の破壊、微量放射能の内部被曝の恐怖など、国民の安全と平和を脅かす憲法違反の犯罪的な加害です。原発の事故は絶対に起こしてはならないということが事実で明らかになりました。

(2)世界有数の地震地帯のしかも地震活性期の日本では、巨大で繊細な原発を安全に管理運転することは難しく、過酷事故の完全防止は困難です。

(3)使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物の処理処分のめどがつかず、膨大な負の遺産を後の世代に残すことになります。

(4)原発を運転してプルトニウムを生産し続けることは、核拡散に危険を増やすことです。

(5)安全対策の増加は当然原発のコストを増やします。さらに事故の際の膨大な賠償が上積みされます。
従来のコスト計算が再検討されて原発のコストは火力よりも大きいと修正されました。その上に追加の安全対策費や、賠償の保険料が加われば原発は経済的に引き合わなくなります。

(6)巨大な施設で遠い僻地から消費地に送電する原発は、長期で見れば、一方では補助金依存で地域経済の自立的発展を妨げ、他方では都市での電力浪費を生み出して都市と地方の経済的格差を生み、日本社会の健全な発達を妨げます。

(7)無限のエネルギーのように思われた原子力発電も、ウラン鉱石という地下資源の利用であり、石炭や石油と同じ有限資源です。唯一将来も安全なエネルギーは太陽エネルギー(再生可能・自然エネルギー)利用しかない(地熱発電は除き)ことが明らかになってきました。

 福島第一原発の事故に学んだこのような諸問題への対応を含んだ新しいエネルギー政策、原発政策の確立なしには「原発からの安全」は保障されません。個々の原発の運転をどうするかはこのような原発政策に基づいて決められるものだと思います。原発を全部止めても、安全な電気の需給を続けられる発電能力と節電能力を日本社会は備えています。国民的な世論と意識を高め、電力問題での新しい逆流を押し返して行きましょう。

原発日誌・大阪 3/21 〜4/20

21日 定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題で、政府は理解を求める「地元」の範囲を、立地自治体である福井県とおおい町にする方向で検討に入った。最終的に野田佳彦首相らが政治判断する。

22日 福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」の廃炉作業について、日本原子力研究開発機構は、終了が当初計画より5年遅れて33年度になると発表、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。東日本大震災で、使用済み核燃料の搬出先の東海研究開発センター再処理施設(茨城県東海村)の設備が故障したことなどが原因という。

23日 停止中の関西電力大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)の1次評価が内閣府原子力安全委員会で正式に了承され、再稼働は、野田佳彦首相と関係3閣僚による政治判断と地元了承を得る段階に入った。だが、4月をめどとしていた新しい規制機関「原子力規制庁」の発足の遅れに加え、東京電力福島第1原発事故をめぐる国会などの調査が終わらない段階で、政府が再稼働を急ぐ動きを疑問視する声は多い。

24日 関西電力大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)について、原子力安全委員会が23日、1次評価を「問題ない」と確認した。再稼働に向けて、首相らによる安全確認に手続きが進むが、西川一誠知事らが求める「福島第1原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準」は依然として示されていない。立地自治体や市民団体は、国の動きを注視している。

26日 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に慎重な判断を求めて、市民集会が25日、福井市中央公園で開かれた。今後予想される首相と3閣僚による“政治判断”にストップをかけようと「原子力発電に反対する福井県民会議」が主催。県内外から約700人が参加し、「再稼働は本当に必要なのか」と訴えた。

28日 原子力安全・保安院は、関西電力大飯原発近くの三つの断層が約63キロ連動して地震が起きる場合を考慮しても耐震安全性に余裕があるとした関電の評価を妥当と判断した。その数値をもとにした耐震性を評価するよう指示した。揺れの上方修正で、地元の再稼働判断に影響する恐れがある。

28日 大阪市議会の2月議会は28日未明、脱原発依存や発送電分離などを国や関西電力に求める決議を大阪維新の会、公明の賛成多数で可決した。特定の原発や老朽化した原発の停止を求めた決議は他の議会でもあるが、発送電分離まで盛り込む決議は全国でも異例だ。

28日 県や県漁業協同組合などで組織する「県水産物放射能対策連絡会議」は、食品に含まれる放射性セシウムの基準値の厳格化に伴い、県沖で捕れたスズキの水揚げ自粛を漁業者に要請する方針を決めた。東京電力福島第1原発事故を受けた海産物の水揚げ自粛は県内で初めて。

30日 青森県内に原発新設計画を持つ東京電力、東北電力、Jパワー(電源開発)の3社は、12年度の電力供給計画を経済産業相に提出した。福島第1原発事故を受けた国の原子力政策の見直しなどの動向を受け、新設予定だった3原発4基についていずれも運転開始時期などを「未定」とする異例の状況となった。

30日 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働反対を訴え、小浜市の明通寺住職、中嶌哲演さん(70)が26日から、県庁1階のロビーで断食を続けている。口にするのは水のみ。連日、宗教者や支援者ら20〜30人が体調を心配して訪れ、一緒に断食をする人もいるという。中嶌住職は「『フクシマ』だけではまだ懲りていないのでしょうか」と訴える。

31日 西日本の太平洋沖に延びる海溝「南海トラフ」で発生する巨大地震について、内閣府の有識者検討会は、想定される最大の震度分布と津波高を発表した。満潮時の津波は高知県黒潮町の34.4メートルを最大に、東京の島しょ部から静岡、愛知、三重、徳島、高知の計6都県23市町村で20メートルを超えると予測。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)付近は21メートルで、建設中の防波壁を3メートル上回った。

4月

1日 大阪府と大阪市は、有識者で構成する「エネルギー戦略会議」の会合を同市役所内で開き、6月に予定される関西電力の株主総会に向けて筆頭株主の市が提出する株主提案の原案をまとめた。同社の定款に「可及的速やかに全ての原子力発電所を廃止する」との条文を追加するのが柱。

4日 政府は4日、東京電力福島第1原発と除染で生じた汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設2カ所の周辺数キロを、将来にわたり住民が帰宅できない「緩衝地帯」とする調整に入った。対象となる土地の買い取りを含め検討する。
政府は避難区域を(1)早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」(2)帰還に数年以上要する「居住制限区域」(3)5年以上帰宅不可能な「帰還困難区域」−−の3区分に再編し、帰宅を希望する避難者を原則、元の居住地に戻す方針。平野氏はこの3区分とは別に、新たな緩衝地帯の設定を想定しており、具体的な範囲を地元自治体と調整する。

6日 枝野幸男経済産業相は閣議後の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全性向上に関する「工程表」の提出を関電に求める考えを明らかにした。枝野氏は「工程表は原子力安全・保安院で技術的なチェックが必要だが、野田佳彦首相ら関係4閣僚の会議で最終的に(妥当性を)確認する」と述べた。

6日 大飯原発3号機と4号機の再稼働に関する3回目の関係閣僚会合が、6日夕方、首相官邸で開かれ、原発再稼働の条件となる新たな安全基準が正式に決まった。

9日 定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機について、関西電力の八木誠社長は9日午前、再稼働の条件となる中長期の安全対策の実施計画(工程表)を枝野幸男経済産業相に提出した。関電は工程表で東京電力福島第1原発のような「過酷事故」の際に現場の対策拠点となる免震事務棟の工事完了時期を従来より1年前倒しして2015年度としたほか、「未定」としていた原子炉内の圧力を下げる際、外部へ出す放射性物質を減らすフィルター付きベント(排気)設備の設置時期も15年度と明示した。

9日 内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は、自身を含む委員5人全員が原子力規制庁の発足まで留任することで、細野豪志原発事故担当相と合意したと明らかにした。規制庁は1日発足予定だったが、設置法案の国会審議入りのめどが立っておらず、経済産業省原子力安全・保安院と共に、当面はこれまでと同じ顔ぶれによる原子力規制が続くことになる。

11日 東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえ政府がまとめた原子力規制庁設置法案をめぐり、自民党が対案をまとめ、与野党の論点が鮮明になってきた。これを受け民主、
自民、公明3党の実務者は同日午後、修正協議を視野に折衝に入った。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働論議にも絡む重要な問題ながら、めどが立たないままだった規制庁設置に向け、3党がようやく動き出した。

11日 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向けて国が示した新たな判断基準について、京都府が開いた専門家会議では「拙速だ」「もっと説明を」などと批判する意見が相次いだ。基準は、全電源喪失の進展を防ぐ電源設備対策などの安全対策実施▽地震や津波でも、燃料損傷に至らないことを国が確認▽安全対策の着実な実施計画が事業者により明らかにされていること−−の3点が柱。

12日 東京電力福島第1原発事故を受け、温室効果ガスの削減目標の見直しを検討している環境省の中央環境審議会小委員会は12日、2030年の時点で発電電力量に占める原発の割合をゼロにしても、温室効果ガスの排出量が1990年比で最大25%削減できるとの試算を公表した。

12日 原子力安全・保安院のストレステスト意見聴取会委員を務める井野博満・東大名誉教授が12日、北海道原子力安全対策課を訪れ、ストレステストの問題点を説明した。「安全性に対する総合評価になっていない」と指摘し、北海道電力泊原発の再稼働に対し、拙速な判断をしないように求めた。

14日 大飯原発3、4号機の再稼働問題で、枝野幸男経済産業相は、福井県庁を訪問し、西川一誠知事や時岡忍町長らに再稼働を要請した。枝野氏は政府が再稼働妥当と判断した経緯を説明したのに対し、西川知事や時岡町長は現時点での判断を保留した上で、「電力消費地の理解に責任を持って対応してもらう必要がある」と述べ、大阪市など関西圏の理解が必要との認識を示した。大阪市や滋賀県などは政府の再稼働に向けた性急な動きに反発を強めており、国は重い課題を突きつけられた格好だ。

16日 東京電力は、福島第1原子力発電所1〜4号機を電気事業法に基づき19日付で廃止すると正式発表した。東電は同法上、発電設備としての原発を17基保有するが、20日午前0時以降は13基となる。現在54基ある国内の原発も50基に減る。

17日 大飯原発3、4号機の再稼働が焦点になる中、京都府の山田啓二、滋賀県の嘉田由紀子両知事は17日午前、京都市上京区の府公館で記者会見し、中立的な第三者機関による専門的な判断など原発政策について7項目の共同提言を発表した。政府に一層の安全確保策を求める内容で、隣接府県として性急な再稼働に歯止めをかける狙いがある。同日中に提言を政府に提出する。

18日 枝野幸男経済産業相が県とおおい町に関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を要請したことを受け、同町議会は16日、全員協議会を開き、地元への経済対策を中心に立地町の議会として経産相へ直接要望を伝える方針を決めた。枝野経産相に改めて来町を求め、3月議会で全会一致で決議した「原発問題に関する統一見解」に基づき、原発停止中の地元経済や財政への支援措置などを求めるとしている。

19日 野田佳彦首相は19日夕、首相官邸に原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長(64)を呼び、東京電力新会長への就任を正式に要請した。下河辺氏は会談後、記者団に首相の要請を受諾したことを明らかにした。下河辺氏は6月下旬の定時株主総会後に就任し、これに伴い勝俣恒久会長(72)は辞任する。 下河辺氏はまた、西沢俊夫社長(60)について「新生東電のスタートに当たり交代していただきたい」と述べ、退任を求める意向を表明。後任は東電社内から人選する方針を示した。

20日 東京電力は、福島第1原発から20キロ圏内の警戒区域の海域で採取した魚介類の放射性セシウムの測定結果を発表した。スズキから1キロあたり1610ベクレル検出するなど、採取した13種のうち、7種で食品の新基準値(1キロあたり100ベクレル)を超えた。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2012年4月25日 No.179 】
原発問題救民運動大阪連絡会

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