げんぱつ 2012年7月25日 No.182
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原発問題住民運動大阪連絡会 - げんぱつ 2012年7月25日 No.182

げんぱつ 2012年7月25日 No.182

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げんぱつ
 2012/7/31 8:43

情勢の変化を示す「さよなら原発10万人集会」

 7月16日に東京・代々木公園で開かれた「さよなら原発10万人集会」は全国各地からの国民の「原発なくせ」の意思を結集した17万人の画期的な集会となり、野田内閣、政府、財界、電力会社に対し原発からの撤退を迫りました。

 この集会の予想を超えた参加者による成功は日本の社会に大きな影響を与えています。集会情報の発信にあまり積極的でなかったNHKラジオが夕方のニュース解説で取り上げ、原発をやめることを望む心を集会に行くことであらわそうという人が増えたと解説し、幅広い年齢の人々が自発的に集まったと説明しました。

新聞赤旗の外電報道は、英国のフィナンシャルタイムズが、日本に広がる原発反対の運動について、「数十年間で日本最大の抗議行動が相次ぎ、それぞれ数万人が参加」「最近のデモが1960年代以来、政治問題を街頭に持ち込むことが少ない国での根本的変化を示している」と伝え官邸前のデモについても言及していることを伝えました。またドイツの公共第1テレビ(ARD)が、「子どもや孫たちに汚染されていない日本を残したい」という参加者の声を紹介しました。

根本的な原因に踏み込んだ国会事故調報告

 東京電力福島第1原発の事故原因を調べてきた国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は7月5日、事故の根源的な原因は「『自然災害』ではなく明らかに『人災』である」と断定した報告書を公表しました。先に発表された政府事故調の中間報告に比して事故の原因と責任の解明に向かって数歩踏み込んだ判断が注目されます。

 報告書が指摘した問題点について3点を指摘します

(1)福島第一原発事故は「人災」であると断じています。
 ・報告書は、地震・津波対策を立てる機会が過去何度もあったのに、政府の規制当局と東電が先送りしてきた事を挙げて、想定外の天災ではなく指摘を無視した結果の「人災」だと断じています。

(2)津波が原因という東電の主張に対し、地震で配管などが壊れた可能性を指摘しています。
 ・東電の報告や、政府の事故調査・検証委員会の「事故は津波による非常用電源の喪失が原因」という見解に対し、津波の到達時間などを検証して「少なくとも1号機の非常用電源の喪失は津波によるものではない可能性がある」「1号機では地震の揺れによる小規模の冷却材喪失事故が起きていた可能性がある」と指摘しました。これは原発が地震の揺れに耐えきれなかったことを示し、従来の原発の耐震性の強化が必要となります。

(3)東電の情報隠しで、規制する側の保安院と規制される東電の位置が逆転していると批判します。
・経済産業省と密接な関係にあった東電が、歴代の規制当局に規制の先送りや基準を軟化するよう強い圧力をかけ、「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電気事業者の『虜(とりこ)』になっていた」。その結果、経産省原子力安全・保安院の「原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」と指摘しています。

まだまだ問題はありますが、以上の指摘は事故原因の根本に触れる多くの内容を含んでいます。問題は現在の日本の原発の持つ危険性の根本を指摘していることです。まずこのような根本的欠陥を確認し、原発を規制する体制の抜本的な改革を行わないままで、ストレステストや3日間で作った臨時の安全基準を使って、電力不足宣伝に乗せて原発再開を「政治的」に認めるやり方は、国民が恐れている大事故の危険をそのまま温存継続することで、私たちは絶対に認めることはできません。


原発日誌/大阪 6/21〜 7/20

21日 内閣府原子力委員会が、核燃料サイクル政策の三つの選択肢をまとめた。使用済み核燃料の取り扱いについて、今後の原子力比率が0%では全量直接処分、15%まで下げるなら再処理と直接処分の併用、20〜25%を維持する場合は全量再処理が、それぞれ適切だとした。将来の不確実性への柔軟性を保つなら20〜25%でも併用が有力とした。

21日 関西電力は、高浜原発で想定内の地震が発生しても、周辺斜面は崩落しないとする評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。斜面の評価は、福島第1原発事故を受けて保安院が昨年11月、関電に評価を指示していた。

22日 関西電力大飯原発の再稼働決定を受け、岐阜県の古田肇知事らは、地域の実情に合わせてUPZ(緊急防護措置区域)を柔軟に設定できるようにするなどを盛り込んだ要望書を枝野幸男経済産業相らに提出する。
 
21日 敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」の炉内中継装置が原子炉容器内に落下した事故で、経済産業省原子力安全・保安院は、交換した装置の使用前検査を実施し、動作に問題がないと確認した

22日 東京・永田町の首相官邸前で、関西電力大飯原発の再稼働撤回を政府に求める抗議行動があった。主催者によると約4万5000人、警視庁によると約1万1000人が参加。周辺の歩道を埋め尽くした人が「再稼働反対」と、約2時間にわたって声を上げた。

22日 東北電力は東通原発1号機(東通村)敷地内にある断層の再調査について、今年11月までかけ実施することを決めた。 再調査の結果、活断層だと認められれば、原発の再稼働に必要な国の安全評価(ストレステスト)に反映する必要がある。再調査を終えるまで東通原発を再稼働することは難しく、年内の再稼働は絶望的になった。

24日 関西電力は再稼働準備中の大飯原発につながる50万ボルト送電線の監視システが断続的に計26回作動したと発表した。送電線に異常はなく、監視システムの通信回路の電波(マイクロ波)が大気の状態で乱れる「フェージング現象」が原因という。通電や3、4号機の再稼働準備に影響はなかった。

25日 東京電力は福島第1原発4号機の原子炉建屋の外壁が水素爆発の影響で膨らんだことに伴う耐震性について、「問題はない」との報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。

25日 政府と東京電力は福島第1原発の廃炉作業について検討する中長期対策会議を開き、1〜4号機の使用済み核燃料プールの燃料を保管するため、敷地内にある共用プール内の燃料を移送する仮置き施設を建設することを決めた。

26日 大阪府と大阪市は府市統合本部(本部長・松井一郎知事、副本部長・橋下徹市長)を開き、「エネルギー戦略会議」(座長・植田和弘京大大学院教授)が報告した中長期的なエネルギー戦略の中間とりまとめを了承した。とりまとめは、政府に対して遅くとも2030年までに原発の稼働をゼロにするよう求める提言などが盛り込まれた。

26日 東京電力福島第1原発事故直後、米側から提供された放射線量の実測データを日本政府が住民避難に活用していなかった問題で、経済産業省原子力安全・保安院の平岡英治次長が26日、福島県大熊・富岡・浪江の3町の仮役場を訪れ謝罪した。

28日 全国の原発50基を今年度中に廃炉にする場合、電気事業者10社が積み立てている廃炉費用が計約1兆2300億円不足することが、経済産業省資源エネルギー庁のまとめで分かった。廃炉には1基あたり約300億〜700億円かかり、50基で総額2兆7900億円が必要となる見込みという。

28日 超党派の国会議員で作る「原発ゼロの会」は、全国の原発50基を経過年数や地盤の状況、周辺人口などで採点した「原発危険度ランキング」を発表した。危険度が最高だった日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)など24基は過去の地震で被災したり、活断層上に立地していることから、点数に関わらず「即時廃炉にすべきだ」と位置付け、残り26基を危険度順に並べた。

29日 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を2日後に控えた29日夕、東京・永田町の首相官邸前で毎週金曜日に行われている再稼働への抗議行動が一気に拡大し、官邸前から霞が関への車道が人で埋め尽くされた。ツイッターやフェイスブックでの呼びかけなどで集まった人々は組織化されておらず、デモ行進はなし。官邸前でひたすら「再稼働反対」と叫ぶのが特徴だ。

29日 再稼働の準備作業中の関西電力大飯原発3、4号機で、29日午前10時ごろから午後4時ごろまでに、計4種類の警報が相次いで作動した。放射能漏れや再稼働の作業に影響はないという。準備作業中の警報作動は計8件となった。

7月

1日 東京電力福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの冷却装置で6月30日早朝、異常を知らせる警報が鳴り、自動停止した。東電は1日、応急措置で同日午後3時過ぎに冷却を再開したと発表した。水温は42.9度まで上昇した。冷却が止まった約33時間で10度近く上昇したことになる。

1日 関西電力は午後9時、定期検査のため停止していた大飯原発3号機の原子炉を起動させた。昨年3月の東京電力福島第1原発事故以降、定検で停止した原発の再稼働は初めて。今年5月から国内で続いた「稼働原発ゼロ」状態は約2カ月で終わった。

2日 政府と関西電力の要請による10年夏比15%以上の節電が、関電管内の企業や家庭で始まった。夏場を乗り切るには企業や家庭での節電がカギを握ると言えそうだ。
 
2日 藤村修官房長官は午前の記者会見で、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働に対して大規模な抗議活動が続いていることに関して「国論を二分する大きなテーマだが、政府は政府の責任をもって決断した。方針に従って進んでいる」と強調した。

3日 細野豪志原発事故担当相は閣議後記者会見で、新たに設置される原子力規制委員会の委員人事について、電力会社など原子力事業者の現職役員を排除するとした法律上の欠格要件に加え、個人として50万円以上の報酬を受け取ったりした人等を加えた。

3日 日本原子力発電敦賀原発の原子炉建屋直下で、近くの活断層と連動する恐れのある「破砕帯」が見つかった問題で、原子力安全・保安院は専門家の意見聴取会を開いた。保安院は全国の原発敷地内の破砕帯について再調査の必要性を検討する方針を提示。特に高速増殖炉もんじゅと関西電力美浜原発は敦賀原発と同様、連動の可能性が否定できないため調査が必要とした。

5日 東京電力福島第1原発事故の原因などを調べてきた国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は午前、国会内で委員会を開き、報告書を決定、午後に衆参両院議長に提出した。全文はホームページに掲載する。(一面に詳細記事)

6日 細野豪志環境相は閣議後の記者会見で、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する政府目標について「非常に難しい数字になってきているのは事実だ」と述べ、東京電力福島第1原発事故を受けたエネルギー政策見直しで実現が困難な状況にあるとの認識を示した。

9日 東北電力は、東通原発1号機の敷地内の断層の再調査を10日から始めると発表した。11月末までかかる見込み。

11日 超党派の国会議員9人でつくる「原発ゼロの会」は、東京電力福島第1原発事故について「責任があいまいなまま国民負担が膨大になる恐れがある」として、会社更生法に基づく破綻処理など、東電の経営形態の再討を求める提言を発表した。

13日 政府は東京電力福島第1原発事故からの再生に向けた福島復興再生基本方針を閣議決定した。除染を急ぎ、自然放射線と医療放射線を除いた追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下に抑える長期目標のほか、東電による賠償の完全実施などを明記した。

13日 仏教やキリスト教、新宗教など宗教・宗派を超えた宗教者が、原子力発電所の廃止を求める声明を京都市で発表した。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故は「原発と人間とが共存できないことを証明した」などと訴えた。

16日 脱原発を訴える「さようなら原発10万人集会」が代々木公園で開かれた。猛暑の中、主催者発表で約17万人、警察当局の集計で約7万5000人が参加。東京電力福島第1原発事故後に広がった脱原発運動の中で最大規模の集会となった。福島県や、関西電力大飯原発が立地する福井県の住民も参加、毎週金曜日に首相官邸前で抗議行動を続けている市民も加わった。

17日 政府主催のエネルギー政策に関する意見聴取会で電力会社社員が原発推進の立場から発言した問題を受け、古川元久国家戦略担当相は「聴取会の趣旨から大きくそれ、極めて遺憾」と述べ、同日中に改善策を発表す考えを明らかにした。

17日 原子力安全・保安院は専門家会合を開き、北陸電力志賀原発1号機の直下を走る断層について、専門家から12万〜13万年前以降に動いた活断層の可能性が濃厚との指摘が相次いだ。また、関西電力大飯原発(福井県)の敷地内を走る軟弱な断層「破砕帯」の現地調査を求める声も続出した。

18日 東京電力は午前、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールに保管している未使用燃料2本について、試験的な取り出し作業を開始した。燃料の腐食や破損の状況を調べたうえで、来年末までに本格的な燃料回収に着手する方針だ。 

18日 関西電力大飯原発と北陸電力志賀原発の敷地内の断層が活断層か判断するため、経済産業省原子力安全・保安院は、両電力に追加調査を指示した。

19日 福井県内の原発立地4自治体で構成する「福井県原子力発電所所在市町協議会」の山口治太郎会長(同県美浜町長)は経済産業省内で枝野幸男経産相と会い、国のエネルギー政策の決定に当たり「基幹電源としての原子力の位置付けをお願いしたい」と要望した。これに対し経産相は「皆さんも含めた国民の声を受け止め、国民的議論を踏まえて判断したい」と応じた。 

19日 原子力安全・保安院は、今月25日で運転開始から40年を迎える関西電力美浜原発2号機について、運転を延長するための同社の保安規定変更を正式に認可した。実際に運転延長を認めるどうかは、新たに発足する原子力規制委員会が判断する。 

20日 経済産業省は東京電力福島第1原発事故の被災者に対して東電が賠償する、不動産や家財の賠償基準を発表した。不動産に対しては、帰還困難区域では全額を賠償し、居住制限区域や避難指示解除準備区域では事故発生から避難指示解除までの期間に応じて賠償割合を定め、17年3月まで帰宅できない場合は全額を賠償する。家財に対しては家族構成や避難区域の区分に応じた定額の賠償とした。  

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2012年7月25日 No.182 】
原発問題救民運動大阪連絡会

 

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