私たち住民の手で、大阪の大気汚染を測ろう
〜「ソラダス2012」の実施に向けて〜
大阪から公害をなくす会/「ソラダス2012」実行委員会
「ソラダス2012」とは、大阪のNO2(二酸化窒素)濃度を私たち住民の手で直接測定して、大気汚染を確かめようという運動です。天谷(あまや)式カプセルを利用し、空気中のNO2濃度を、日時を決めて大阪府域全体でいっせいに測るのです。こうした測定(メッシュ測定)とともに、幹線道路沿道の問題点を明らかにしたり団体として取り組む「自主測定」も実施しています。
ソラダスはこれまで5〜6年ごとに実施してきており、「ソラダス2012」は7回目になります。
≪ソラダス運動を続ける意義≫・・・・大気汚染の現状と環境行政
■人の健康を守るというより、行政の都合で運用されているNO2環境基準
環境基準は、汚染状態の評価、汚染の予防や改善、汚染物質の排出規制、被害補償など、環境行政全般にわたる重要な判断基準です。ですから何よりも人の健康を守るために運用されるべきです。にもかかわらずNO2環境基準は行政の都合優先で扱われています。
◇NO2環境基準は40〜60ppbであるのに、事実上その最悪値60ppbを基準として扱う、
◇国行政は環境基準達成の義務がありますが、1978年現行環境基準設定以来、30年以上経った今になっても、達成されていません
◇国行政は常に適切な科学的判断を加えて基準を見直すよう義務付けられていますが、30年以上放置しています。環境省自身が実施した1986〜1990年、1992〜1995年、最近の2005〜2009年などの健康影響調査のいずれにおいても、現行環境基準以下でも健康影響が明らかになっているのに基準は改定されないままになっています。
■信頼性低下が心配される国行政の大気環境監視
信頼できる、正確で的確な大気汚染濃度の測定は、すべての環境行政の出発点となる最も基本的な業務です。しかし最近の行政による監視は信頼度が低下しているようで心配です
◇最近NO2などの濃度測定法が変更されましたが、新しい測定法は従来測定法よりも測定値が低い側に食い違う傾向がみられるのに、修正されないまま使われている測定データがあります。
◇環境部局の規模縮小や他部局との統合、測定器管理の民間業者任せが進んでいます
◇測定点の変更で測定データの継続性が低下したり、住民が設置を要請しても応えていない。
■なかなか進まない自動車排ガス汚染対策
◇窒素酸化物、粒子状物質、光化学オキシダント、揮発性有機化合物など、現在の大気汚染の主な排出源は自動車、中でもデイーゼル自動車です。
◇1992年、10年後に環境基準を達成するとして実施された自動車NOx総量規制法は効き目なくて失敗、引き続いて2010年度達成目標として導入された自動車NOx・PM法でも達成されず、いまだ沿道を中心に深刻な自動車排ガス汚染が続いています。
■増え続けているぜん息、呼吸器系健康障害
◇文科省が集計している学校保健統計によれば、小・中学校学童、高校生などのぜん息被患率が年々増大しています。中でも大阪の被患率は全国平均の数倍もあります。
◇成人でも呼吸器系の健康障害で苦しんでいる人はたくさんおられます。
◇昨年発表された環境省の調査でも、自動車排ガス汚染による健康影響が明らかになっています。
■住民や被害者自身が大気環境の監視運動を続けていくのが大切
◇ぜん息などにかかる学童は増え続けています。その主な原因である自動車排ガス汚染の改善は遅々として進んでいません。そんな中で環境行政は環境基準を機能不全に陥らせ、最も基本となる環境測定の信頼性も低下させるような、怠慢と言わざるを得ない有様になっています。
◇大気汚染に苦しめられるのは私たち住民です。私たち自身の手でNO2濃度を測り、汚染の実態をつかみ、行政や産業界に訴えていくことが大切です。
◇NOxやPMなどいろいろな大気汚染の主な原因は自動車排ガスです。NO2を測れば、現在の大気汚染の実情がわかります。
ソラダス2012ニュース No.1 [2012.3.21] |
ソラダス・NO2測定運動 |
2011年12月のNO2カプセル簡易測定の実施について [2011.10.21] |