#145 LLCFと関西電力の「原発安全を守る第9回話合い」報告

原発問題住民運動大阪連絡会 - #145 LLCFと関西電力の「原発安全を守る第9回話合い」報告

#145 LLCFと関西電力の「原発安全を守る第9回話合い」報告

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げんぱつ
 2009/6/25 11:30

  ライフライン市民フォーラム(LLCF)は5月21日午後2時から4時過ぎまで、関電本店で原発の安全を守る第9回話し合いを行いました。話合いにはLLCF側から傘下団体の代表11人が、関電側からは地域共生・広報室真崎マネージャー他2名が出席しました。話合いはLLCFが事前に渡した「質問書」について、関電側から約30分の回答が行われたうえで、2時間近い質疑応答と討論が行われ、引き続く次回の話合いを行うことを確認して終わりました。以下話合いの内容を整理して報告します。

1.大飯3号機台管傷の問題 ―  新しい合金使用でひび割れは防止できると説明


 会側は、応力腐食割れ(PWSCC)の新たなケースであり、新材料の開発など根本的な対策が必要ではないかと指摘。関電側は、外国情報で知り調べてみてひび割れが見つかり、応力腐食割れ問題として対応してきた。傷の部分を削り除去した上で、ウオータージェットピーニングという手法で応力を除去し抑制してきた。その後全部の原発の同じ部分を調べたが傷はなかった。今後は傷があれば取り除き、無くても応力を緩和する処置を行って防止を図る。材料については、現在600系ニッケル合金を使っているが690系ニッケル合金を使えばひび割れは防止できることが分かっている、と説明しました。

2.原子炉炉材の脆化問題 ― 無理な対策を重ねての長期運転に反対する


 会側が提出した井野論文は社の内部で検討したうえで「意見として受け止める」の回答。会側が指摘した、美浜1号機、2号機の脆性遷移温度が、それぞれ74℃、78℃と上昇しており、危険な状況ではないかの指摘に対しては、急激な冷却(緊急冷却水注入)場合の計算もしてきたが、容器は破壊されないという結果だったと答えています。
 会側としては、脆性遷移温度の上昇は、関電が言うように高温では上昇カーブが横になるという理解に対し、直線的に上昇するような照射条件もあると言う理論もある。老朽化の段階では次々と問題が出てくる。一つ一つの問題に「計算してみて安全」という答えが出ても全体としては危険が進むという恐怖を感じる。いろいろ無理な手立てを講じて60年運転することは好ましくない。と長期運転に反対する見解を述べていまする。

3.プルサーマル問題 ― 「繰り返し再処理」を実質修正する発言


 会側は、関電はプルサーマルは、使用済み核燃料野中に95%も残っているウラン資源の効率的使用が目的というが、再処理、でプルトニウムは高次化し、強い放射能の廃棄物が発生して労働者の被曝の危険、炉の運転管理などの技術的問題などがあって実際には繰り返す再処理は困難だと指摘しました。関電側は「現在の技術でも可能」「国の原子力長計でも検討すると言っている」と言う技術開発を見込んだ答を繰り返しました。会側は現在の六箇所村の再処理施設が検査運転の終盤で停止して進まず完成していない。関電が技術の進歩を予想して危険で大きな費用を伴うプルサーマルに踏み込むことには賛成できない。現状では関電のプルサーマル実施に反対すると言う基本的な考えを強調、これに対して関電は「使用済み核燃料の中には95%の燃料として使えるウラン資源が残っているという説明は、全部再処理で取り出せると言ったのではない。日本の技術力を使って再処理して少しでもウラン資源の有効利用をしようということだ」と、95%が全て使えるわけではないと実質的な発言修正を行っています。

4.関電原発の建て替え問題 ― 美浜原発建て替え発表タイミングは11月


 関電は耐震安全性の問題で保安院の指摘を受け入れて若狭湾近辺の断層の見直しを行い基準震度を引き上げ(平均約1.25倍)、今年3月に全ての号機の機器、設備の安全性を評価して補強工事を行う方向を決めて、昨年3月に出した耐震性強化中間報告の「追補版」として保安院に提出して、最終報告の準備を進めています。
美浜原発の建て替え問題については、1号機が2010年11月に40年運転を迎えるので今年の11月に高経年化対策報告書を国に出す必要があり、関電社長がが立て替えを発表するタイミングは11月と言うことです。関電側は立て替えについては一切発言していません。

5.温暖化・CO2排出削減問題 ― 単位当たりのCO2排出削減に固執する関電


 関電自身が自分の発電所から排出するCO2を何時までにどこまで減らすかという目標を持っべきだという会側の主張に対し、「CO2削減の社会全体の動きなどに対応しながら、単位当たりのCO2削減をしていくのが大勢だ」という答を繰り返しています。経団連や電事連の意見広告については、「CO2削減にはそれなりの負担がと言うことを知って、国民一人一人が覚悟と創意を持って取り組んでもらいたい」「イメージ戦略だけではよくない。本当に減らしていける数字を目標とすべきだと言うことを国民に知って貰いたい」「国民一人一人が認識して頂かないと、企業だけが、国だけがと言う問題ではない」と言うことだと繰り返しました。また、電力会社としては、電力の安定供給という問題では、供給量の問題と共に、自然エネルギーなどを増やしていった場合の電力の「質」(電圧やサイクル)の安定のことも考えなければならないと強調しています。

6.電気料金に関する問題 ― 燃料購入の具体的なデータの公表を拒否


 会側から、制度改定で電気料金計算がくるくる替わり、しかもその根拠が明示されていない。消費者にとっては説明が分かりにくいと言う指摘がされた。また関電は、電気料計算の根拠となる燃料の価格、日時、数量などのデータは今後の契約に影響するという理由で一切公表を拒否していので論議がかみ合わない。また会側から、公聴会を開くような電気料決定の法的枠組みをつくり、根拠のはっきりした、公共料金として安定した料金決定を期待する発言もあった。会側としても大局的な電気料金の問題点、論議の枠組みを作っていく必要を感じた。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2009年6月25日 No.145 】
原発問題救民運動大阪連絡会

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