第37回公害環境デー 開会あいさつ
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第37回公害環境デー

実行委員長 芹沢芳郎

 立春間近の厳しい寒さ、またご多忙の中をご参加いただいた皆様に心から御礼申し上げます。これから第37回公害環境デーを開催します。

 昨年私は、地球環境問題に向かっていく私達の方針4点を述べて、これを共通の思いとして集会での論議をしてくださいと訴えました。

 その4点とは ?先進国はいま以上にエネルギーや資源の使用を増やさないでやっていける社会を目指す。 ?科学的根拠のあるCO2排出の総量規制目標を決めて全力で取り組む。 ?企業や個人の努力に任せず努力が実る仕組みを作る。企業の製造物責任制度を確立する。 ?日本が到達した経験や技術を金儲け本意でなく地球を守るという高い意図で積極的に途上国に提供し普及するでした。この方針は今年も変わりません。しかしこの一年情勢は大きく変わってきました。

 まず、地球環境問題についての世界的な取り組みの流れが大きく変わろうとしていることです。期待した洞爺湖サミットは議長国日本の消極的な姿勢により目立った成果は上げられませんでした。

 しかし、先進的な目標を掲げて頑張るEUの取り組み、すべての国での同意を目指して議論に参加してきている途上国の姿勢、さらに、アメリカではオバマ大統領が歴史的な黒人大統領として、就任演説で「地球温暖化を逆戻りさせる」と約束し、地球温暖化対策の新しい枠組み作りに積極的な姿勢を示しているなど今年末のCOP15に向けて大きく前進を期待でき状況が出てきています。

 大阪では、今後膨大な被害者発生が予想されるアスベスト問題での取り組みが被害者、労働組合、住民運動の協力で前進しており、「国家賠償訴訟を勝たせる会」も発足し全国署名の取り組みを開始しました。また、未だ続いている自動車排ガス公害の被害者救済制度確立を目指す「あおぞらプロジェクト大阪」が労組、民主団体、医療団体などの幅広い協力で結成され被害者実態調査の取り組みを始めています。

 このような前進面に比して明らかに遅れているのが、国、行政の公害・環境行政の取り組みです。日本政府は昨年のポーランドでの国際会議COP 14でもアメリカのブッシュ政権と共に会議の進行の足を引っ張りました。大阪府はさらに消極的で、公害環境部局はどんどん他部局と統合され実質的に縮小され、NO2測定予算の切り捨て、公害患者への見舞金削減等目に余る後退ぶりです。

 府内の各自治体も地球温暖化対策に取り組むという姿勢はほとんど見えません。このような流れを切り替えていくのは、環境問題での被害に苦しみ、ますます厳しくなっていく環境問題に危機感を抱く府民の要求と運動です。繰り返し言われてきた「地球規模で考え足下から行動する」取り組みが文字通り求められているのが今の大阪の状況です。

 実行委員会はこのような情勢に答える内容として、大阪の公害環境問題の実情と、取り組みの実例、調査研究についてそれぞれの団体個人から報告していただき、皆さんの討論を通じて中身を深め、さらに大きな取り組みの出発点にしたいと考えました。

 そしてもう一つの新しい内容があります。大阪では30年前からほぼ5年ごとに、住民による大規模な全府域のNO2カプセル測定運動が行われてきました。そしてここ数年は韓国の運動と連帯して共同測定が行われ、その実績に基づく「日韓カプセル共同測報告会」がこの集会と同時並行で開かれることです。この集会でもその代表団からのご挨拶を受けることになっています。私達自らが取り組む国際交流の貴重な成果として注目して下さい。

 繰り返し申し上げているように、今年は、地球環境問題への世界中の取り組みが大きく前進する変わり目の年です。この集会が、参加者の積極的な発言、討論で、皆さん一人一人の心に残り、今の情勢に見合う大きな成果を上げていただくことをお願いして開会の挨拶とさせていただきます。

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