破局的な気候変化(1)の被害回避に力を尽くそう
(骨子)
大阪から公害をなくす会
温暖化委員会 岩本智之
1.世界の地上気温上昇は続いている
気象庁速報(2011.12)によると
▼2011年、世界の平均気温偏差は+0.08℃で1981年以降では12番目に高い値。長期的には100年あたり0.68℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっている。長期的には100年あたり0.68℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっている。
▼日本の平均気温偏差は+0.24℃で、1898年以降で13番目に高い値。長期的には100年あたり1.16℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が頻出。
▼「地球温暖化は止まった」とする一部学者の主張の誤りは明らかである。
2.世界で気象災害が頻発している
2011年に発生した主なものを見ても、世界的には
▼6月から9月にかけてインドシナ半島の大雨はチャオプラヤ、メコン河に大洪水をもたらし、世界経済にも大きな影響。また1月にはオーストラリア東部でも記録的な豪雨。
▼日本では、9月の台風12号などで紀伊半島に大きな被害が発生した。
▼2010年夏にはヨーロッパ、ロシア、アジア、北アメリカは記録的な猛暑に襲われた。
▼日本の大都市ではヒートアイランドとあいまって、猛暑が続き熱中症の被害が増加している。また都市型の「ゲリラ豪雨」も顕著になっている。
▼これらの大きな要因は、大気中の温室効果ガス濃度の増大により、地球の大気・海洋系の熱的バランスに変化をきたし、いっそう不安定が増しているからと考えられる。
3.温室効果ガス排出削減は急務
▼世界気象機関 (WMO)の温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)を運営している気象庁によると、2010年12月までの世界の濃度の観測結果では、二酸化炭素の濃度が前年か ら2.3ppm増の389ppmを記録。工業化が進む前(1750年以前)と比べて約4割増の水準だ。メタンも5ppb増の1808ppbとなった。
▼同量の二酸化炭素の298倍の温室効果を持つ一酸化二窒素は、前年から0.8ppb増の323.2ppbになっている。
▼最新に研究によれば、21世紀中に世界の平均地上気温が工業化以前より2℃以上上昇するなら、地球規模で破局的な影響がもたらされる、とされている。しかし、現在のトレンドで温室効果ガス濃度が増えるなら、間違いなくこの限度を超過することが予想される。
▼それにも拘わらず、国際社会の対応には深い憂慮を示さずにはおかれない。2011年に開かれたCOP17では、京都議定書が定めた2012年までを第一約束期間以降の枠組みに合意が得られず、各国の具体的な削減目標の策定は2013年に先送りされた。
▼この中で、日本政府は、京都議定書の第2約束期間を拒否する硬直した主張を繰り返すのみで、国際社会から大きな非難を浴びている。日本政府は、京都議定書の第2約束期間を受け入れ、国際的な公約である「2020年25%目標」を確実に達成する国内対策を進めるべきである。
4.自然エネルギー活用、大きな府民的運動で地球環境を守ろう
▼地球環境を守る上で、温室効果ガス削減を達成するためには大きな運動の盛り上がりが不可欠。
▼"原子力開発で温室効果ガス排出削減"という主張はまったく根拠のない空論であることは明らかになった。
▼原発依存から、太陽光、風力など自然エネルギー活用へ、社会のエネルギー需給のあり方を根本的に変革しなければならない。国民世論によって国、経済界の政策転換をはかる必要がある。
▼いわゆる「省エネ」「省資源」の実行に自治体のあり方にも目を向けよう。
(注1)「気候変化」と「地球温暖化」は同義語ではない。これらを混同するところから、運動面にも理論的混乱が見られる。「温暖化防止京都会議」や「温暖化ガス」なるものは存在しない。不正確な術語は避けるべきである。
公害・環境デー資料
「気候変化問題」
2010年夏、北半球では記録的な猛暑となり、大阪でも日最高気温が35度を超える「猛暑日」が31回、日最低気温が25℃を下回らない「熱帯夜」が55回を記録しました。そのため多くの人が救急搬送され、亡くなった人が続出しました。2011年はやや緩和し、今冬は厳しい寒さが続いていますが、それでも2011年の世界の平均気温は基準値(1981〜2010年の平均値)に比べて+0.07℃で、1891年以降では12番目に高い値でした。
このような高温度の背景には、ラニーニャや偏西風の蛇行など自然的要因や、大阪など大都市のヒートアイランドの影響もありますが、やはり二酸化炭素など大気中の温室効果ガス濃度の増加が大きく関与しています。一部の学者が“地球温暖化は終わった”と声高に言っていることには一切科学的根拠はありません。
問題は高温度に留まりません。地球の気候系が変化を来し、台風、大雨、干ばつ、熱波と寒波など「異常気象」が頻発していることです。このまま進行して今世紀後半までに、世界の平均気温が工業化以前より2.0℃上昇すると破局的な事態が予想されると、科学者が警告しています。
世界気象機関(WMO)によると、2011年世界の大気中二酸化炭素濃度は前年より2.3ppm増の389ppmに達し、工業化以前に比べて約4割も大きくなっています。メタンや一参加二窒素など他の温室効果ガス濃度も同様です。
しかしながら、国際社会の対応には深い憂慮を示さずにはいられません。2011年に開かれたCOP17では、京都議定書が定めた2012年までの第一約束期間以降の枠組みに合意が得られず、各国の具体的な削減目標の策定は2013年に先送りされました。この中で、日本政府は、京都議定書の第二約束期間を拒否する硬直した主張を繰り返すのみで、国際社会から大きな非難を浴びました。それどころか現政権は国際的な公約である「2020年25%目標」を放棄する姿勢をあらわにしています。
今や事態は待ったなしです。私たちは地球環境を守る大きな運動の盛り上がりで、とくに政府、産業界に対して、温室効果ガス削減の達成を強く求めていく必要があります。いわゆる「省エネ」「省資源」の実行に自治体のあり方にも目を向けましょう。
一方、“原子力開発で温室効果ガス排出削減"という主張はまったく根拠のない空論であることは明らかになりました。原発依存から、太陽光、風力など自然エネルギー活用へ、社会のエネルギー需給のあり方を根本的に変革しなければなりません。
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