泉南アスベスト国賠訴訟の闘い
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泉南アスベスト国賠訴訟の闘い

2013/1/26 弁護士  岡 千尋

1 大阪・泉南地域でのアスベスト紡織業の発達

・大阪・泉南地域とは
 大阪の南端、関西空港の対岸地域
 古くから繊維業が地場産業

・日本の軍需、経済発展を支えた石綿紡織業
 戦前は、軍艦製造など軍需製品に利用される。
 戦後直後は、食料増産ための肥料(硫安)生産のための電解布に使用される。
 1960年代〜70年代の高度成長期には、自動車、造船、鉄鋼、電力、運輸などの重化学産業に必要不可欠な部品として生産を増大させる。
 (アスベスト産業には、一貫して国家的な位置づけを与えられた)

・泉南地域のアスベスト紡織業の発展
 1907年〜2006年まで100年の歴史。
 主体は、アスベスト紡織業
 泉南地域には、1960年代、70年代の最盛期には、狭い地域に200社以上、従業員数は2000人あまり、アスベスト紡織品の全国シェアで60〜70%、全国一のアスベスト紡織工場の集積地

・泉南地域のアスベスト紡織業の特徴
 多くが零細業者(従業員5名までがほとんど)
 住宅地、農地のなかに混在、集中立地
 アスベスト原料そのものを使用

2 激甚なアスベスト被害の発生

・泉南地域のアスベスト被害は、すでに戦前から深刻に進行。

*保険院調査報告書(労働衛生調査)
 保険院という国家機関の調査
 1937年〜1940年にかけて調査
 調査にあたった医師たちは、当時の最高レベルの医師たち
 調査報告からみる被害の深刻さ
 11工場403人の内、アスベスト肺罹患率は実に12・2%。勤続年数別罹患率では、10年以上で60%、20年以上で罹患率100%。
 劣悪な労働環境の指摘
 具体的な対策の提言と法的規制の必要性なども指摘。

・戦後も、アスベスト被害の発生は続く。
 1952年からの各調査でも激甚な被害が報告されている。

・現在も被害発生が続いている
 弁護団・医師団等による「医療・法律相談会」

3 国家賠償請求訴訟の取り組み

・国の規制権限不行使の違法に基づく国家賠償請求(国家賠償法を根拠)
 (「知ってた」「できた」でも「やらなかった」)

  2006年5月26日、1陣訴訟提訴
  2009年9月24日、2陣訴訟提訴
  2010年5月19日、1陣地裁、勝利判決
  2011年8月25日、1陣高裁、不当判決
  2012年3月28日、2陣地裁、勝利判決
  
  *1陣、2陣合計で被害者数59名、原告数88名。

4 現状

・1陣最高裁の闘い:大阪高裁不当判決を覆す。
 その第一歩としての2陣地裁は、勝利判決。
・2陣高裁の闘い:
 2012年9月18日、11月27日
 
 2013年1月17日 原告1名の所在尋問
  1月30日 第3回期日(原告3名の本人尋問)
  2月20日 第4回期日

5 「1日も早い解決」に向けた今後の方針

(1)基本方針
 ・2陣高裁で確実に勝利し、その力で1陣最高裁も逆転判決を勝ち取り、1陣原告、2陣原告全員の1日も早い全面救済をめざす。
 ・同時に、建設アスベスト東京判決時などあらゆる機会を捉えて政治に早期全面解決を求めていく。

(2)運動について
・新たな公正判決署名(第1次締め切り:1月末)
 原告の自主的な取り組み(街頭署名)

・「命て なんぼなん?泉南アスベスト禍を闘う」(66分版)の上映会 
 関西大集会、東京土建・京建労・千葉土建などの学習会、AIBOなど
 3月には泉南で大上映会を予定(泉南市後援)
 ★DVD好評レンタル中(レンタル料:参加者×500円)

・「マンガで読むアスベスト問題」の原画展
 泉南(1月19日〜26日)で開催後、各地で。(上映会+原画展)

6 その他のアスベスト訴訟への取り組み

 建設アスベスト訴訟(国と建材メーカー43社を被告に)、個別企業への請求訴訟(港湾、建設現場、造船など)、労災不支給や新法による請求に関する審査請求、労災請求、新法請求など多様な取り組み

以上

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