兵庫震災研が震災復興で2回目の提言を発表 [2011.4.13]
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2011年4月10日

緊急災害対策本部 本部長:菅 直人内閣総理大臣
被災者生活支援特別対策本部 本部長:松本 龍防災担当大臣
同 本部長代理:片山善博総務大臣
同 副本部長 :仙谷由人官房副長官
各党・政府震災対策合同会議参加の国会議員各位
全国の都道府県知事・市町村長各位

東日本大震災の「被災自治体支援強化、災害救助、義援金
に関する第2次提言」の提出について

この度の東日本大震災〔3月11日(金)午後2時46分発災、マグニチュード9.0〕の犠牲者のご冥福をお祈りしますとともに、被災地と被災者のみなさま方に心からお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い救援・復旧・復興を願う次第です。

 阪神・淡路大震災の被災地からも早速、救援活動が開始されています。16年前の阪神・淡路大震災以来、調査・研究、政策提言を積み重ねてきました兵庫県震災復興研究センターは本日(4月10日)、別紙の通り「東日本大震災 被災自治体支援強化、災害救助、義援金に関する第2次提言」をまとめましたので、提出致します。

つきましては、3月22日(火)に提出しました「東日本大震災の被災者救済、避難・仮設居住に関する第1次提言」と合わせて本提言の速やかな実現につき、ご検討をお願い申し上げます。

兵庫県震災復興研究センター
代表理事 塩崎 賢明(神戸大学大学院工学研究科教授)
代表理事 西川 榮一(神戸商船大学名誉教授)
事務局長 出口 俊一(阪南大学講師)
650-0027
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電話:078-371-4593
ファクス:078-371-5985
Eメール:td02-hrq@kh.rim.or.jp
携帯:090-5658-5242


  2011年4月10日

東日本大震災被災自治体支援強化、災害救助、義援金に関する第2次提言

兵庫県震災復興研究センター

東日本大震災から1か月、なお人命救助や捜索、安否確認などの緊急対応に直面していますが、同時に避難、住まい、生活、仕事、医療・教育など被災者救済の課題が大きくなって加わってきています。地元自治体は自らも被災して大きく力を削がれる中、いくつもの重い課題が山積し、業務は限界を超える過酷なものになってきています。

すでに震災関連死(3月23日現在、37人)など無念な2次被害も生じ、「政府の視線は当初から原発事故や首都圏の停電に向き、被災者支援はないがしろにされた。その間に寒い避難所や施設で高齢者らが次々に力尽きた」(「神戸新聞」2011年3月28日付)との指摘もなされる状況になっています。

かかる事態を切り抜け被災者救済がより効果的に進められることを願って、以下の項目につき、国および被災自治体を含む全国の自治体・関係機関に強く要望致します。

―記―

1.被災自治体への支援の強化

被災自治体の首長・職員の方々は、心身ともに極限状態におかれていることを踏まえて、国と全国の自治体は一層の応援を強めなければならない。

(1)政府は、被災自治体の行政ニーズに応じた業務に経験があり堪能な職員の派遣を政府主導で早急に実施するため、過去に被災経験のある自治体に依頼し、政府の責任と主導のもとで、実務経験のある職員を都道府県・市町村職員の中から選抜し、チームを作って被災自治体へ長期派遣(1週間交代ではあまりに短い)を急ぐこと。特に、被災自治体の喫緊の課題は下記の通りである。

[1] 被災者への各種の救済措置を実行する上で「家屋被害認定業務」の速やかな実施が不可欠であり、その推進のために大量の職員を全国から被災自治体に派遣すること。
[2] 災害救助法等の運用に係る行政事務の早期処理。

例えば、仮設住宅建設が急がれているが、実際には必要とされる速度で実現していない。「必要戸数の把握」や「土地の選定と確保」には多くの困難を伴い、少ない人員のもとで進展が遅れている。それらの業務支援にも職員を派遣すること。

2.災害救助法の正当な運用と徹底活用

避難者に対する対応は主として災害救助法に基づいて行われているが、今回の災害では同法を相当程度弾力的に運用する必要がある。同法は救助方法に何ら限定を付しておらず、かつ、救助の責務は地方自治体にあるのであるから、応急仮設住宅の供給や応急修理等に無資力要件を付加する等の国の運用基準(厚生省告示第144号「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準」平成12年3月31日付に定める国庫負担基準。以下「一般基準」という)に過度にとらわれず、被災者を救う必要があれば積極的に救助措置を行うよう、より一層、周知徹底を被災自治体に図ることが必要である。

今回の災害では、被災市町村の行政機能そのものが大きな打撃を受けており、その機能も著しく低下している。大震災後、厚生労働省から災害救助法に基づく災害救助基準の特別基準の設定に関する通知がいくつか発出されているが、今般の甚大な被害に鑑み厚生労働大臣との協議・同意を要しない一般基準に適宜格上げする等、被災市町村の行政事務処理状況等にも鑑み大幅な事務負担の軽減(例えば、災害救助費算定に係る提出書類の削減等)を図ることが必要である。

(1)農林漁業、商工業者などは仕事がなくなれば収入が途絶える。仕事の再開まで文字通り生業支 援のため、例えば、標準3人世帯(夫婦30代)で月額最低20万円程度の「災害保護」を実施すること。または、生活保護制度ではなく「緊急災害保障」を実施すること。

災害救助法には、該当条項の運用停止は規定されていない。災害救助法第23条(救助の種類)1項7号の「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」や2項の「都道府県の知事が必要であると認めた場合においては、・・・金銭を支給してこれをなすことができる」との規定があり、法律上、現金支給による救助が可能であるにもかかわらず、その運用においては、現物支給による救助のみが行われている。これを法文通りの運用に改め、特に、生活必需品の入手が比較的容易な県外避難者などに対する救助については、現金支給を原則とすること。

(2)避難所の劣悪な環境を改善すること。避難所の状況等をみると、人権が著しく阻害されている状況が散見されるので、パーティションを設置する等避難者のプライバシー等に配慮した対策を早急に講ずること。また、健康を害して高齢者や患者が亡くなる例が相次いでいる。避難所の環境そのものを一刻も早く改善するとともに、高齢者や慢性疾患等の患者に対する特別の支援措置(衛生面で安全な施設への一時避難、福祉避難所の増設等を含む)を講じ、医師・看護師の長期にわたるケア体制の確立が急務であり、全国からの医療スタッフの派遣体制を強化する等あらゆる改善措置を徹底すること。

(3)住宅の応急修理費について一般基準では、支給対象を半壊・半焼に限定している。全壊であっても修理をして住みたいという人については、応急仮設住宅建設経費の2分の1までの経費について特別基準で認める等の特別措置を実施すること。これは、応急仮設住宅建設経費削減にもつながることである。

(4)応急仮設住宅の提供等に関連して、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震等の教訓を生かして孤立や孤独死が生じないように、コミュニティに配慮した対応をすること。また、立地については、早期復興に資するよう従前居住地に近いところに置く必要がある。そこで、[1] プレハブの応急仮設住宅の建設、[2] 公営住宅の利用、[3] 公私の施設の活用、[4] 民間賃貸住宅の借り上げの積極的利用に止まることなく、[5] 建物の応急修理を広範かつ弾力的に認め、[6] 被災者が自らの敷地内に自力で仮設する建築物に対して、応急仮設住宅建築費と同程度の助成を行うなど様々な措置を講じて、応急的な住宅確保にかかる多様なバリエーションを認めること。

3.義援金の配分

4月8日、「義援金配分割合決定委員会」(会長=堀田力・さわやか福祉財団理事長)はようやく、これまで寄せられた1284億円の第1次配分(約500億円)を以下のように決定した。

[1] 死亡・行方不明者:1人あたり35万円
[2] 住宅の全壊、全焼:1戸あたり35万円
[3] 住宅の半壊、半焼:1戸あたり18万円
[4] 福島第一原発の避難指示・屋内退避区域(30キロ圏内):1世帯あたり35万円

  しかし、これでは被害認定業務が必要になり、実際に被災者のもとに義援金が届くのは、何時のことになるかわからない。解決すべき課題は、以下の2点である。

(1)第1次配分は見舞金として、できるだけ早く被災者に届けるべきであることから、全壊と半壊に17万円の差を設けることを止め、被害認定にリンクさせず「一律性」を重視して、同額にすること。また、一部破損世帯にも支給すること。支給にあたっては、[1] 自主申告、[2] 住所の確認、[3] 本人確認などで行うこと。

(2)配分にあたって、市町村の職員の手が足りないことは明らかであるので、厚生労働省や日本赤十字は、自らの職員を派遣するとともに全国の自治体に義援金配分の業務経験者を派遣することを強く要請すること。

以上 

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