大阪から公害をなくす会 第32回総会方針 [2011.6.9]
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大阪から公害をなくす会
第32回総会方針

2011年 6月9日
大阪から公害をなくす会

私たち大阪から公害をなくす会はこの1年間、昨年の第31回総会で確認した方針を全面的に実践する立場で被害者救済の運動、地球温暖化防止・生物の多様性、大阪府や各自治体の環境・公害行政、簡易カプセルによるNO2測定運動、災害対策や街づくり、青年対策など様々な分野・課題について試行錯誤を重ねながら取り組み、前進への土台をつくってきました。本年1月に開催された第39回公害・環境デーのメインスローガンは「安全・人間優先のまちへの転換」でした。その後に発生した東日本大震災、中でも福島第1原発の事故を見るとき、このスローガンの正しさ、重要性を改めて感じるものです。大阪から公害をなくす会は本年2月で創立40周年を迎えました。来年2月には40周年の記念行事も計画されています。これまでの闘い・運動の成果を基礎にさらに大きく前進する1年としましょう。

(1)私たちをめぐる情勢

1)改めて問われる防災・原発問題

3月11日に発生した東日本大震災は、東北を中心に死者・行方不明者数約2万5千人、全壊家屋約48,700戸、避難生活者11万6千人など(5月12日現在)、未曾有の大災害をもたらしています。今回の大震災では改めて津波の破壊力の凄さを知らされるとともに、公務員労働者の削減や医療機関つぶしをすすめてきた小泉「構造改革」・「新自由主義」の路線が、こうした災害時の救済・復興活動の要となるべき自治体や医療機関を如何に崩壊させてしまったかを示しました。また原発問題では、原発が一たん“過酷事故”を起こした場合、その被害が如何に甚大で、救済や復興に如何に多くの困難をもたらすか、また、日本の原発推進政策の柱となっていた原発の「安全性」、すなわち「日本の原発は多重防御システムをとっているから重大な事故に至ることはない」としてきた「安全性」が全くの“神話”でしかなかったことが改めて示されました。地震・津波は自然災害ですが、原発事故は明らかな人災です。中でも東京電力が大量の放射能を空中と土壌、海洋に放出し、人々の健康を脅かし、生活をできなくしている実態は、正に環境破壊そのものです。

東日本大震災は大阪では震度3の揺れとなりましたが、橋下知事が移転を強行した咲洲庁舎(旧WTC。55階建て256m)では、52階で2.8mの揺れとなり、天井の落下や床面の亀裂など360ヵ所で損傷が発生しています。大震災で大阪府自身が行動不能となるでしょう。こんなところが大阪府の庁舎としてふさわしくないことは明白であり、即刻撤回すべきです。近畿・関西では東海・東南海・南海地震の同時発生が警告されており、その際には巨大地震と巨大津波の発生が確実視されています。大阪湾岸沿いや淀川など流入河川域での津波、埋立造成地域での地盤液状化、湾岸部のガス・原油タンクやコンビナートの倒壊と火災、都心の高層建物の揺れや地下街への浸水などが大問題となります。また、関西電力の原発が密集し、“原発銀座”ともいわれる福井の原発群で今回と同様のことが起これば、琵琶湖が放射能で汚染され、そこを水源にする近畿の水道が深刻な事態に陥るだろうこと一つとって見ても深刻さは明らかです。

世論はいま、「原発」に対して厳しい目を向け始めています。しかし、その一方で「電力不足」「電力危機」論を振りまき、「資源のない日本にはやっぱり原発が必要」と言う巻き返しの動きも強まっています。私たちは現にある原発の地震・津波対策についての緊急総点検を要求し、危険な原発は直ちに停止することを要求します。そして、自然エネルギーの強化に全力を挙げて取り組みながら、原発は順次廃止していくこと、原発依存の電力・エネルギー政策から自然エネルギー・再生可能エネルギーへと抜本的に方向転換させていくことを求めます。阪神・淡路大震災から16年目を迎えた今日、改めて地震や津波などに対する防災対策とともに「原発」の問題が府民の前に突きつけられた大問題として取り組んでいくことが重要になっています。

2)急ごう!公害被害者の救済

大阪泉南アスベスト国賠訴訟では、第1陣訴訟の控訴審が6月1日に結審するとともに、第2陣訴訟も取り組まれています。控訴審で裁判所は、被害者救済のためにも国に対して「和解」のテーブルに着くことを促すとともに、事実上の現場検証を行うなど、積極的な動きを示しています。しかし、7月ともいわれている控訴審判決がどうなるかは予断を許しません。被害者救済のために「全面救済を求める判決署名」を大きく展開し、再び国の責任を明確にした勝利判決を勝ち取りましょう。

本年1月にあった寝屋川「廃プラ」訴訟の控訴審判決は、両施設と周辺住民の健康被害との間に因果関係は認められないとして、住民の訴えを退けました。しかし、その判断の一つとされた「因果関係があるなら施設から同心円的に被害が出るはず」という論拠が全く科学的でないことは、福島第1原発から出された放射能汚染の状態が同心円に広がっていない事実一つとってみても明らかです。闘いは現在公害等調停委員会(公調委)に場所を変えて取り組まれています。寝屋川市と両施設は公調委に対して、“裁判所の判決で決着が着いている。公調委が取り上げるのはおかしい、却下せよ”という無茶苦茶な要求を突きつけています。私たちは、この問題を「今後各地に広がりうる新しい公害」として位置づけて現地の闘いを支援するとともに、大阪府に対して住民の健康を守るというのが自治体の果たすべき役割という観点から、周辺住民の健康被害の実態調査と原因究明を強く要求していきます。

未認定のぜん息被害者を救済するために「せめて医療費だけでも無料に」として取り組まれているあおぞらプロジェクト大阪とぜん息被害者の救済を求める会の運動は、現に救済制度を実施している東京都での患者アンケートのプラス評価も取り入れながら大阪府に対する「要請署名」、大阪府・大阪市との2回目の交渉、議会各会派に対する要請行動を継続的に行ってきました。また、初めての取り組みとして大阪府議会と大阪市会の各会派に対して「公開質問状」を出しました。公開質問状の回答から明らかになったことは、共産党以外の多くの会派が<1>ぜん息と大気汚染の因果関係がはっきりしない、<2>ぜん息は子どもの病気。だから小児医療費助成制度で十分、<3>財政が厳しいので助成制度の創設は無理、という認識にあることでした。また、NO2については「年々改善してきている」「環境基準を達成・維持することが重要」という認識にとどまっていることも明らかとなりました。4月からは新たに国会と大阪府議会に対する「請願署名」に切り替えた取り組みが始まっています。こうした誤った認識を克服しながら、ぜん息被害者を救済する新しい制度の創設をぜひ実現しましょう。

5月24日には国が5年の歳月をかけて行ってきた大気汚染とぜん息などとの因果関係を調べる疫学調査、いわゆる「そら(SORA)プロジェクト」の『報告書案』が発表され、学童コホート調査や成人調査で関連性を認める内容になっています。
この他にも私たちの周りには、道路公害問題や食品・水問題、薬害問題など環境と健康を守っていく上で重要な課題が山積し、それぞれの分野で精力的に取り組みがすすめられています。

3)正念場を迎えた地球温暖化防止の取り組み

昨年12月にメキシコで開催された国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)は、「京都議定書の期限切れ後に空白期間が生じないよう作業部会で出来るだけ早い協議完了を目指す」「世界の温室効果ガスを大幅に削減し、産業革命以降の気温上昇は2度以内に抑制する」「コペンハーゲン合意に基づき先進国、途上国が示した温室効果ガス排出削減目標・行動に締約国全体が留意する」などを骨子とする「カンクン合意」を採択しました。「カンクン合意」は、議定書のような法的拘束力を持つものではなく、また、CO2の削減では全体を合計しても25%削減は無理といわれる「コペンハーゲン合意」の目標・行動にとどまっているなどの弱点はありますが、アメリカを含む先進国には削減目標を掲げて率先して取り組むこと、中国やインドなど途上国に対しても抑制に向けた計画策定を促し、削減の取り組みを国際的に検証する制度の設置や途上国支援のための基金の創設などを盛り込むなど、重要な内容となっています。

本年12月に南アフリカで開催されるCOP17では、今度こそ「2025年までにCO2は25%、50年までに80%削減する数値目標を確認し、それを実現するために『共通だが差異ある責任』の原則に立って先進国、途上国が取り組む法的拘束力のある合意」を実現するために、世論を大きく盛りあげていくことが重要になっています。まさに正念場の情勢にあります。

一方、日本国内では、“CO2削減の切り札が原発で、その原発が使えないなら化石燃料による発電に頼らざるを得なくなり、CO2の排出量は増加する。従って、CO2の25%削減は無理”という短絡的な論理によってCO2削減、地球温暖化防止の取り組みに対する巻き返しの動きも強まっています。私たちは、原発がなくてもCO2の25%削減は十分可能であること、また、原発がなくても日本の電力・エネルギーを十分まかなえる社会を創ることは可能であることを明確にしながら、地球温暖化の防止と原発依存路線から脱却する運動をすすめていくことが大切になっています。

生物の多様性を守る取り組みは、地球温暖化防止の取り組みと対を成しています。昨年名古屋で開催されたCOP10の成果を活かしながら、地球温暖化防止の取り組みともリンクさせ、地域で具体的な運動を起こしていきましょう。

4)府民の願いと相容れない橋下府政

大阪府政の公害・環境分野では、府立環境農林水産総合研究所(東成区)を2012年4月から独立行政法人化する方針で作業がすすめられています。総合研究所は2007年に創設され、環境の監視や調査・保全、農林水産業に関する調査など重要な公的使命を果たしてきたものです。総合研究所の独立行政法人化は、事務職を中心にした大量の人員削減の計画、収入面では「民間企業からの受託研究等の拡充により独自収入の増加」が強調される計画になっており、人と財政の両面から公的使命が果たせなくなる計画になっています。また、本年3月に確定した「新環境総合計画」は、大気汚染による健康被害がどうなっているかなどの歴史的分析は全くなく、ぜん息被害の問題などは後景に追いやられ、あたかも“公害問題は終わった。そして、新たに環境問題として温暖化問題やゴミ問題が起こっている”といったスタンスで、低炭素・省エネルギー社会の構築や循環型社会の構築を前面に掲げた計画になっています。しかし、ここでも温暖化問題やゴミ問題の歴史的な原因・要因分析がないために、掲げる方針は「地球温暖化をストップ!」「生物の多様性を守る」「資源を循環的に使う!」「安全で健康的な暮らしを確保する!」など誰もが否定しようのないスローガンになっていますが、その具体化は府民や地域団体・NPO、事業者など「社会を構成するあらゆる主体の参加と行動」によるというもので、計画が達成出来なければそれは府民の“自己責任”という筋建ての内容になっています。そして、行政の役割は「各主体間の調整」「参加・行動を支援・促進するための仕組みづくり」などとされ、環境問題を主導的に取り組むべき行政の役割が完全に欠落したものになっています。

橋下知事が代表をつとめる「大阪維新の会」が高い支持を集めています。そこには「何かやってくれそう」という漠然とした期待感とともに、最近では、例えば原発事故にからんで「原発の新規建設や運転延長を止める計画づくりを始める」(4月27日)などの発言が“府民の声を代弁する知事”として支持を集めている傾向もあります。いずれにしても府民が変化、現状の打開を求めていることは確かですが、橋下知事と大阪維新の会が掲げる基本政策としての大阪市を解体しての「大阪都構想」や関西広域連合、さらには道州制などの実態は、府民生活に係るサービスは市町村に任せ、大阪府の役割はもっぱら産業の基盤づくり、インフラ作りに特化するというもので、「大阪都構想」も結局は大阪市が持つ財政力を大阪府に吸収し、それらを産業基盤作り、インフラ作りに回そうというものにすぎません。実際、環境農林水産部の環境関係予算はこの4年間で有害大気環境モニタリング費、大気汚染常時監視費、ダイオキシン類常時監視費などの削減、公害患者死亡見舞金は廃止など全体で5億8000万円も削減されています。こうした府政を誰が一番望んでいるかは明らかでし、暮らし・福祉の充実を求める府民の要求と相容れないことも確かです。

大阪府の橋下知事は、6月3日から4日未明にかけて府議会本会議で、自らが率いる大阪維新の会の数の力を使って、「君が代」起立強制条例と議員定数削減条例を相次いで強行採決し成立させました。橋下知事と維新の会の強権的正体が明らかになったといえます。今秋の大阪市長選挙と同時にとも言われている大阪府知事選挙は、こうした府政から脱却し、府民の生活を守り、安全・人間優先の街づくりをすすめる府政に根本から転換する重要なたたかいとなります。

5)政治の根本的な転換が求められています

3年前に誕生した民主党政権は、当時の鳩山首相が国連関連の公式会議で「CO2の25%削減」を表明するなど、長く続いた自民党・公明党政権の政治を国民の要望に沿う方向で打開してくれる政権として期待されました。しかし、その後の推移は、沖縄・普天間基地の移設問題や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加、原発推進の政策、アスベスト国賠訴訟の大阪地裁判決に対する態度などで端的に示されたように、時が経つに従って絶望に変わってきています。民主党政権の政治がそうなっていく背景には、結局は自民党・公明党政権の根本にあった旧来の政治的な枠組みから一歩も抜け出せていないことが挙げられます。現在の政治の行き詰まり、閉塞状況を打破し、私たち国民の要求を実現し、明るく豊かな国民生活を実現していくために、この古い枠組みから完全に抜け出し、新しい政治に根本から転換していくことが求められています。私たちは、公害・環境問題に大いに取り組むとともに、その大元となっている日本の政治のあり方についても大いに議論し、私たちの力で変えていく取り組みをすすめていきましょう。

(2)各分野・課題の取り組みの経過と総括(◆)、今後の方針(◎)

1)各分野の取り組み

<1>被害者救済の運動
◆大阪泉南アスベスト国賠訴訟を支援する取り組みでは、勝たせる会がすすめている署名運動への協力、法廷の傍聴活動、裁判所前での宣伝行動への参加など、連帯する取り組みを積極的に行ってきました。
◆寝屋川「廃プラ」問題では、10月には「寝屋川廃プラ処理による健康被害の実態」「あるべきゴミ処理と寝屋川廃プラ処理の問題点」「訴訟の経過と今後のたたかい」という三つの基本的問題で事前学習を行い、11月にはいつかの団体との共同で現地調査を行い、その日のうちに関係4自治体や2施設などへの一斉申し入れ行いました。また、監督責任を持ち当該地域の保健所を管轄する大阪府に対しては、周辺住民の健康被害の実態について調査することを求め、2回にわたって懇談・交渉を行ってきました。
◆ぜん息被害者を救済する制度づくりでは、昨年4月から大阪府に対する要請署名の運動の展開し、本年3月末までに4万筆を超える署名を提出してきました。この取り組みの中で、1人で2000筆を超える署名を集めるなど先進的な経験も生まれていますが、まだまだ参加団体の構成員まで広がった取り組みにはなっていません。4月からは国会と大阪府議会に向けた請願署名の取り組みを開始しており、この署名運動の成功に向けて公害をなくす会参加団体も組織をあげての取り組みが求められています。
◆道路公害問題では、第2京阪国道の騒音や環境対策で要望を取り入れさせ、また、淀川左岸線では脱硝装置をつけさせるという大きな成果を挙げることが出来ました。。
◎大阪泉南アスベスト国賠訴訟が勝利判決を勝ち取るよう「全面救済判決署名」など引き続き協力を強めていきます。寝屋川「廃プラ」問題では地元の公調委を舞台にした運動を支援するとともに、公害をなくす会としての大阪府との懇談・交渉を継続します。あおぞらプロジェクトの国と大阪府に向けた請願署名の運動が成功するよう、公害をなくす会参加の各団体も組織を挙げて取り組むことを呼びかけます。

<2>地球温暖化・CO2削減問題
◆地球温暖化防止・CO2削減の取り組みでは、温暖化委員会を中心に10月には生物多様性と地球温暖化問題で大学習会を開催し、生物の多様性を守る問題と地球の温暖化を防止する問題を一対のものとして捉え、それぞれについて理解を深めることが出来ました。
◆生物の多様性を守る取り組みでは、11月に名古屋で開催されたCOP10への参加を呼びかけ14名が参加して、生物の多様性を守る各地の取り組みに学ぶ中で、運動のイメージを膨らませました。
◆温暖化委員会は大阪府と主な自治体の温暖化対策の現状についてのヒアリングを行い、第39回公害・環境デーで発表しました。また、温暖化対策などを前面に出している大阪府の新「環境総合計画」についても、自治体委員会と合同で検討し、問題点を整理しています。
◎COP17などを柱に地球温暖化防止の世論を盛り上げる取り組みをすすめます。そうした取り組みの一環として、12月に南アフリカで開催されるCOP17へ代表派遣を検討します。また、引き続き各自治体での温暖化対策についてヒアリングや調査・分析、提言づくり、自治体要請などを行っていきます。

<3>健康で生きられる環境、安全・安心の街づくり
◆健康で生きられる環境、安全・安心のまちづくりでは、「街づくり委員会」を組織し、大阪の水害対策、特に最近問題になっているゲリラ豪雨対策について検討し、公害・環境デーで発表しました。地震や津波に対する「防災」問題が検討課題となっていた矢先に東日本大震災が発生しました。大阪における「防災」対策、安全・安心の街づくりはますます切実な課題になっています。
◆自治体委員会中心に大阪府の環境農林水産総合研究所の独立行政法人化問題について検討し、大阪から公害をなくす会の見解として「環境農林水産総合研究所の独立行政法人化に反対です 大阪府議会での徹底審議を望みます」をまとめ、府議会の環境農林水道常任委員会の議員ならびに各会派に要請しました。見解に基づく大阪府との交渉が求められています。
◎地震や津波など大阪の防災問題について検討し、「提言」などにまとめていくようにします。また、大阪から公害をなくす会として年1回は大阪府の公害・環境行政に対する要望書をまとめて提出し、それに基づく交渉で要求の実現と大阪の公害・環境行政の問題点を明らかにする取り組みを進めます。

2)課題別の取り組み

<1>NO2測定運動

◆NO2の自主測定運動は6月と12月の2回にわたって取り組み、6月は1737個、12月は1148個、合計2885個のカプセル測定を行いました。公害環境測定研では測定データのバラツキについて様々な角度から検討を行い、12月の測定では改善の方向を確認するに至りました。現在、バラツキを最小限に抑えるために、測定用カプセルの作成工程を含めてマニュアル作りがすすめられています。
◆大阪市の測定方法が湿式から乾式に変わり、データに不連続がある問題について追及し、大阪市の担当者にも「不連続がある」という事実については認めさせました。引き続きその原因究明と対応策の検討が求められています。同様の問題は川崎市でも取り組まれています。
◆2012年のソラダス測定運動について準備を開始し、本年6月には実行委員会を発足させる運びになっています。今回はこの取り組みを通じてぜん息被害者の救済を目指す取り組みを前進させること、地域で環境問題を考えるネットワークづくりを目指すなど、運動の「獲得目標」が検討されています。
◎引き続きNO2の自主測定運動に取り組むとともに、来年のソラダスの成功を目指し、自主測定の取り組みの規模を広げる努力をします(目標3500個)。大阪市の測定方法の変更にともなうデータの不連続問題について引き続き追及するとともに、他県の取り組みとの連携を強めます。ソラダス測定の成功と獲得目標の実現めざし、全力で奮闘します。

<2>学習会・講演会や環境学校
◆学習企画は、寝屋川廃プラ問題や地球温暖化と生物多様性問題、原発問題などそれぞれの分野・課題での学習企画がすすみました。
◆2011年の環境学校については、早めに企画を確定し、広く参加を呼びかける方針で、4月に第1回の委員会が持たれ、9月3(土)〜4日(日)、大阪南港の研修センターで開催する準備がすすめられています。テーマは「近畿の地震・津波問題」「大阪の防災と街づくり」などが予定されており、多くの方の参加で元気の出る環境学校として成功させましょう。
◎引き続き個別分野・課題での学習会を企画するとともに、9月の環境学校を大きく成功させるため、早くから取り組みを開始します。

<3>第39回公害・環境デー
◆公害・環境デーでは、新しい取り組みとして、午前中に「如何にして次の世代に公害・環境問題を伝えるか」をテーマに交流会を行いました。この交流会は、まだ青年を主体にした企画が困難な状況のもとで、まず青年を対象に行われている環境・公害問題の取り組みを交流することから始めようという発想で行われたもので、44名が参加し、「大変勉強になった」という感想をいただきました。午後の全体会には159名が参加し、地球温暖化問題と自治体の温暖化対策実態という2つのテーマの重点報告、3つの被害者救済運動の報告と訴え、5つの分野・地域からの取り組みの報告を受けて交流しました。
◆第39回公害・環境デーで初めて取り上げられた青年分野での取り組みを継続し、発展させるために公害・環境デー後も実行委員会を継続し、秋に高校生のクラブ活動の交流をメインにした交流会の企画が検討されています。また、第40回公害・環境デーは知事選の実施時期に関係なく2012年2月26日(日)の午後開催することで準備が始まっています。
◎若い人たちに公害・環境問題を伝え、若い人たち自身の手で公害・環境問題についての取り組みがされるよう援助していきます。また、第40回公害・環境デーは40回という節目となるだけでなく、大阪から公害なくす会の創立40周年にもあたるの年の公害・環境デーとなります。そうした節目の公害・環境デーとして大きく成功するよう、早目から準備を開始します。

3)協力・共同、若い人たちと連携するとりくみ

◆若い人たちとの連携では、青年環境会議を発足させて、若い人たちの要求と実態に合った取り組みの検討が始まりました。当面、青年分野での公害・環境問題の取り組みについての情報交換をしながら、将来的には「公害・環境問題青年交流会」のような企画を取り組む方向が検討されています。公害・環境デーでの交流会と合わせて、青年問題に取り組む取っ掛かりの年となったといえます。
◆平和・民主主義、政治革新の取り組み、あるいは公害・環境関係の他団体や全国的な組織との連携はまだ手がつけられていない状況です。
◎労働組合や団体・企業に働く青年の分野で、公害・環境問題についての関心が高まり、取り組みがすすむよう努力を払っていきます。

4)広報・組織・財政活動

◆広報活動では、「ニュース」の定期的な発行を維持してきました。
◆ホームページについては更新を小まめに行い1日50件を超すアクセス件数となりました。5月1日からトップ画面とサイトマップを改善し、より一層の見やすいものにする取り組みが始まっています。
◆組織拡大・財政確立では、組織・財政委員会を組織し、収入に見合う事務所の適正人員について検討して方針をまとめ、幹事会で確認し実施しました。また、財政を確立するためにも会員を増やしていくという方針を確認しました。
◎ニュースについては、読者を増やすとともに、各自治体の担当者にも送り、公害をなくす会の取り組みと見解を広めていくようにします。ホームページを重視し、大阪の公害・環境分野での動きや取り組みが広く、リアルタイムに掲載されるよう、更新を小まめに行っていきます。また、公害をなくす会の会員(団体・個人ともに)を増やす取り組みを「会」の重要な活動の一つとして位置づけ、「会」紹介のリーフや参加申込書もつくって、各分野の年間スケジュールなどを考慮しながら大々的に取り組みます。
大阪から公害をなくす会の創立40周年記念レセプションを、来年2月26日の第40回公害・環境デー終了後に行います。

(3)新しい課題、重点的に取り組む課題

2011年度は、前述のような取り組みをすすめるとともに、次のような新しい課題にも取り組み、また、みんなが力を合わせて重点的に課題を設定して活動をすすめます。

<1>大阪の原発、電力・エネルギー問題、地震・津波対策などの防災問題を重視する
原発依存の電力・エネルギー政策から脱却し、自然エネルギー・再生可能エネルギーなど安全・安心の電力・エネルギー政策に転換していくことは可能です。例えば現在では原発開発に使われている毎年3500億円もの電源開発促進税を全て自然エネルギー開発補助に振り向ければ、転換に向けた大きな展望が開かれることは確実です。学習を基礎にしながら、大阪府や各自治体、関西電力への申し入れなどを行うとともに、シンポジウムや府民集会などを開催して広く府民にアピールする取り組みをすすめます。そして、エネルギー問題は温暖化問題と表裏の関係にあることを認識し、常に温暖化対策を意識しながら取り組みをすすめます。
また、東海・東南海・南海地震の同時発生が警告されている情勢を受けて、地震や津波対策など大阪の防災問題にスポットを当てた取り組みをすすめます。被災地支援のための恒常的な組織として「災害対策連絡会」などを他団体とも協力しながら検討していきます。

<2>被害者救済、ぜん息「請願署名」の取り組みを成功させる

引き続き泉南アスベスト国賠訴訟、寝屋川「廃プラ」問題、ぜん息被害者救済の取り組みを重視して取り組みます。特にぜん息の「請願署名」は、要請署名と違って議会に正式にかけられる署名であり、各会派の態度が正面から問われると同時に、私たちの運動量も問われます。これまでの取り組みの総括にたって、各団体では構成員レベルで取り組みがすすむように、また、大阪府全域に取り組みが広がるように工夫しながら10万筆目標の署名運動の取り組みを成功させましょう。

<3>ソラダス測定をぜん息請願署名と後につながる運動として成功させる
6年ぶりとなるソラダス測定(第7回)は来年の5月17(木)〜18日(金)に取り組まれることが決まっています。大阪の大気汚染の現状を面的に明らかにすることが主目的ですが、同時に多くの府民に公害・環境問題を身近に感じてもらえる取り組みとなる、大気汚染とぜん息との因果関係を解明する、さらにはこの取り組みを通じて各団体や地域に公害・環境問題を考え、取り組んでいく組織をつくっていくことが出来るなどの点が期待されています。また、ぜん息被害者の救済、当面する「請願署名」の運動を府下全域に広げていくうえで重要な取り組みとなります。全力をあげて成功させましょう。

<4>緒についた青年問題を引き続き重視して取り組む
青年問題は、公害・環境デー実行委員会と青年環境会議で取り組まれ始めましたが、まだ緒に着いた段階です。この取り組みでは様々な困難があり、簡単にはすすまない現状にあります。しかし、だからといって手を離せば後退しかありません。どんなことがあってもこの課題を重視し、公害をなくす会の将来を決める重要な課題として、握って離さず取り組んでいくようにします。

以上

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