原発問題住民運動大阪連絡会 - #146 原発の活用なくしては地球温暖化問題への対応は不可能 徹底した原発酷使を打ち出した経産省の「原子力発電推進強化策」
6月18日に済産業省が発表した「原子力発電推進強化策」は、トラブルや震災などで70%台に低迷している我が国の原発稼働率を大幅に引き上げて地球温暖化対策の柱にすることを狙っています。その冒頭に「原子力発電は供給安定性と経済性に優れ…発電過程において二酸化炭素を排出しない低炭素電源の中核として、我が国の基幹電源としてこれまで以上に大きな役割を担わなければならない。原子力発電の活用なくしては、エネルギーの安定供給はもちろん、地球温暖化問題への対応はおよそ不可能である。」と基本的な考えを述べ、「温室効果ガス排出削減の中期目標を達成するためには、原子力発電比率を、2020年時点で40%程度とする必要がある」と強調しています。
地球温暖化対策には,世界の科学者が結集したIPCC報告の科学的な目標の達成を最上位の目標にした、生産や消費のあり方の抜本的な改革が求められますが、今回発表された日本の「中間目標」は全く世界の期待に反するものでした。それは、従来の経済産業構造をそのままにした「長期エネルギー需給見通し」に基づいた削減計画で、資本の経済的な負担をつよく意識しています。したがってその対策は、エネルギー消費面では消費者負担による「エコカー」「エコキュート」等の省エネ機器の普及、エネルギー供給面では「原子力発電」の推進強化が中心なっているのが特徴です。このような方針に乗って徹底的な原発酷使を目指したのが今回の「強化策」です。
原発の安全を求めて関西電力と話し合いを繰り返してきた私達は、事故の危険を増す原発酷使の「強化策」の本質をふまえて、その推進が生み出す危険に徹底して反対していきます。
「強化策」の主要な内容を、その「表題」中心に紹介します。
1.既設炉の高度利用
事業者の不断の努力による安全安定運転の実 現。従来の80%程度までの設備利用率のさ らなる向上。
<事業者の品質保証活動の充実強化等>
・事業者は品質保証体制の充実強化、不正の根絶、事故・トラブルなどの防止対策、値新安全性評価や高経年化対策の実施、地元への説明責任の履行など
<新検査制度への円滑な対応>
・従来の定険間隔13ヶ月を24ヶ月以内 で柔軟に設定
<運転中保全の導入拡大>
・従来停止中に行った危機の予防保全を運 転中にも実施
<出力向上の推進>
・既設炉の出力向上は電力需給の動向に応じて比較的短期間で柔軟に原子力発電容量を引き上げる有効な方策
2.新増設・リプレースの円滑化
計画新増設を着実に進める。そのために投資 環境整備
<原子力発電比率の高まりに対応した運転>
・一時的な定格出力以下での運転の実施は 基幹電源としての役割を果たす上で重要な 柔軟性を付与する
<第二再処理費用の料金原価算入の検討>
・料金に算入して徴収できるように
<廃止措置技術の検討>
・合理的な廃止措置を実施し、将来的なリプレースを円滑に行う
<次世代軽水炉開発の推進>
・次世代軽水炉の本格導入に向けた見通しを2010年度までに明らかにする
3.核燃料サイクルの推進
確固たる国家戦略として着実に推進
<六ヶ所再処理工場の操業>
・ガラス固化試験の解決
<使用済み燃料の貯蔵施設の整備
・使用済み燃料の中間貯蔵はサイクル全体の運営に柔軟性を付与する。着工に向かって進んでいるのは1ヶ所のみ。
・使用済み燃料貯蔵容量の拡大は中長期的に各発電所共通の課題
<プルサーマル計画の推進>
・可能な限り早期のプルサーマルの実施
<高レベル放射性廃棄物処分事業の推進>
・公募または国の申し入れで早期に数カ所以上の調査
<高速増殖炉開発の推進>
4.国民との相互理解促進(略)
5.地域共生(略)
6.国際的課題への対応(略)
げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)
【 2009年7月25日 No.146 】
原発問題救民運動大阪連絡会