原発問題住民運動大阪連絡会 - #149 下北を核燃・原発の総合実験場にするな!「全国交流集会in青森」に参加して (電力産業労働者大阪センター 中尾 昭一)
今年の全国交流集会は、3日間にわたり青森県で行われました。
1、2日目は、下北半島の大間、むつ、東通、六ヶ所再処理工場などの現地調査が実施され、3日目は青森グランドホテルを会場に、全国交流集会が開かれ、17都道府県200人が参加しました。大阪からは原発問題住民運動大阪連絡会の芹沢代表と電力産業労働者大阪センターの中尾が参加しました。三日目の交流集会では、立石雅昭新潟大学教授(地質学)の記念講演と伊藤達也筆頭代表委員(原発住民運動全国連絡センター)の問題提起のあと、特別報告と各地からの報告があり、最後に集会は、討議の集約と国民的な共同行動への思いを訴える「青森からのアッピール」を採択して終わりました。
この集会には、日本共産党の吉井英勝、高橋ちづ子両衆院議員が参加しました。以下集会の概要を報告します。下北半島現地調査は芹沢氏が参加しましたので、別項のレポートで報告してもらいます。
(交流集会の問題提起、アッピールなどの詳細は、全国ニュース「げんぱつ」参照)
立石教授の記念講演「下北核燃・原発の耐震 安全性」―実証された基準地震動の不備―
大間原発予定地、六ヶ所再処理施設敷地のそれぞれで、急速に進歩している地震学に基づく断層の存在指摘や、過小評価の指摘を無視して建設が進められていることが克明な資料を使って説明されました。例えば六ヶ所核燃サイクル施設では下北半島の東縁を走る大陸棚外縁部断層が南下し、六ヶ所手前で枝分かれして陸地に入り込み施設のなかを通過していると、現に地表に現れている証拠に従って指摘しました。
浜岡原発についてはM6.8の駿河湾地震でも深刻な被害を受け、想定される巨大な東海地震には耐えられないことが明らかであり、直ちに停止・廃炉にすべきだと訴えました。また各号機で地震動が大きく異なるが原因不明という事態は現在の耐震設計の基本をゆすがす大きな問題です。
伊東達也代表委員の全国交流集会in青森への問題提起「いまこそ必要な住民監視―あなたの参加で、原発・核燃の安全優先への転換へ!」
集会の掲げる「緊急要求」への理解を深め、その認識を共有する輪を広げ、「共同行動」を前進させることの重要さを訴えました。
六ヶ所再処理工場については、上記の「六ヶ所断層」が巨大な大陸棚外縁部断層に繋がって全長100?に及び、M8級の巨大地震発生の可能性がある事が無視されていること。およびて再処理工場にはすでに4.8?の核分裂性プルトニウムが蓄積されていることが指摘されました。そして下北をはじめ全国の原発で同じような事情であること。国と電力会社が新しい指針で「バックチェック(安全性の再評価)」を進めているが、依然として、地震動の過小評価が繰り返されていることに警鐘を鳴らすとともに、その背景には、国際的な常識となっている原発規制機関と原発推進機関の分離が全く手を付けられていない現状があることが指摘されています。さらに六ヶ所再処理工場が試運転最終段階のガラス固化体製造試験で行き詰まり、運転開始の目途がつかないなど、日本の原子力政策そのもの行き詰まりが強調されました。また、「余剰なプルトニウムを持たない原則」から「大量なプルトニウムを既設の原発で燃やしてしまえ」という場当たり的なプルサーマル実施の危険について触れています。
集会では引き続き現地青森の「核燃料サイクル施設立地反対連絡会議」の諏訪益一氏が、六ヶ所再処理工場、東通原発、フルMOX燃料の大間原発、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵所などが次々導入されて、下北半島は原発・核燃の総合実験場になっていると訴えました。
次いで討論に入り、石川、佐賀、静岡、宮城、愛媛、北海道、新潟、青森、福島の各地値代表からの発言討論がありました。
最後に伊藤代表委員がまとめの挨拶に立ち、「頭を使い、手足を動かし原発を運動の展開を」と訴え、「青森からのアッピール」を採択して集会を終わりました。
全国の原発立地地域での取り組みに感動し、我々消費地の運動はどうだったかと考えさせられました。
げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)
【 2009年10月25日 No.149 】
原発問題救民運動大阪連絡会