原発問題住民運動大阪連絡会 - #151 地震活動期に入った日本列島の原発の安全性を問う 大地震に原発は耐えられるのか徹底分析した23回全国総会
原発問題住民運動全国連絡センター第23回全国総会・交流集会が11月23日に東京で開かれました。総会では、10月に開かれた「全国交流集会in青森」で克明に調査分析された原子力施設の耐震安全性問題の成果を受けて、大地震の活動期に入っている日本列島で、原発の危険から住民を守る原発住民運動が立ち向かう情勢と運動論が中心課題として討議されました。
総会への報告の中で伊東筆頭代表委員は原発動向への「基本認識」として以下の諸点を示し、この認識を全国総会が掲げる11項目の「緊急要求」と合わせて、国民と共有することが住民運動の原点であることを強調しました。
? 日本列島各地の原発・核施設の「大地震への備え」に重大な不安・心配があること
? 国と電力会社のこれまでの「大地震への備え」に重大な「手抜き」があること。国と電力会社にそのことに対する「検証」「反省」がまったく見られないこと
? これら国民の不安・心配に応えないままに、原発の酷使をすすめたり核燃や「もんじゅ」の稼働をすすめたりするのは言語道断であること
? いまほどに住民監視が求められているときはないこと
討論では、住民運動のスタンスとして重要だという共感が示され、今総会を通じての基調として受け止められました。
以下、伊東代表委員が行った「全国代表委員会報告」に沿って総会での主要な報告提案や討議の一部を紹介します。
○「耐震安全性評価(バックチェック)中間報告書」が示すもの
原子力安全委員会の「新指針」(06年9月改訂)の異例の遡及適用によって各電力会社は既設原発ごとの「バックチェック中間報告書」を08年3月までにほぼ提出しました。その中で、浜岡原発1,2号機の廃炉がきまり、「新指針」による初の設置許可となった大間原発もバックチェックの対象となりました。
各電力から提出された「中間報告書」では *「基準地震動Ss」の大幅引き上げ。
*引き上げられた「基準地震動Ss」を重要構造物や機器類に入力、シュミレーションした結果、「応答値」が「許容値」を下回って安全だったということで安全宣言がされています。
○基準地震動の大幅引き上げのなかで活断層の無視・軽視が繰り返し行われている
しかし、引き上げ幅には大きな格差(柏崎刈羽2300ガル 東通460ガル)があり、依然として電力会社の「基準地震動」過小評価が繰り返され、国がそれを追認している実情が示されています。このことは国も電力会社もふくめた「構造」が日本の原子力の安全規制体制に深く埋め込まれていることを明らかにしています。
敦賀原発の場合は浦底断層が原発の直近を走っており、「新指針」が認めている「変動地形学的調査」に依れば当然活断層と認められるのに、日本原電は従来の「リニアメント」調査に基づきこれを活断層とみとめず、国もその報告を追認しています。「新指針」の基本が活かされていません。同じような活断層軽視が島根原発、柏崎刈羽原発、六ヶ所再処理工場、大間原発、浜岡原発などでなど多くの原発で見られ活断層の無視・軽視が続いています。
○「大地震」と「原発震災」の恐怖
引き上げられた「基準地震動」が活動期に入った日本列島ををめぐる「大地震」に対する十分な備えになっているのか?。日本列島の「大地震」の起こり方には活動期と静穏期があります。兵庫県南部地震(95年)までの50年間は静穏期であり、日本の高度成長期と重なってこの間に原発をはじめ石油コンビナート、高速道路、高架橋、高層ビル、新幹線などの近代構造物が建設されました。これら近代構造物が「大地震」に見舞われたのは兵庫県南部地震がはじめてです。地震学者・石橋克彦神戸大教授(当時)は将来の大地震に「原発震災」(大地震の被害と原子力災害の被害が重なる)の危険を予測し、「未曾有の国難」と警告しています。
「報告」は、国が進めようとしている原発推進施策を批判し、これらの施策に反対する国民的世論形成の必要性と運動主体形成の取り組みを訴えています。
○ 耐震対策の措置がないままの「原発酷使」は許されない
○ 「プルサーマル」強行に抗議する
○ 原子力の安全規制機関と推進機関の分離・独立問題
○ 温暖化対策に「原発推進」は見当違い
げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)
【 2009年12月25日 No.151 】
原発問題救民運動大阪連絡会