げんぱつ 2011年5月25日 No.168

原発問題住民運動大阪連絡会 - げんぱつ 2011年5月25日 No.168

げんぱつ 2011年5月25日 No.168

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げんぱつ
 2011/5/27 18:41

福島第一原発事故経過から見えてきたこと
危険な原発の計画的廃止が現実の課題になってきた

1.事故から三カ月近くを経過して

3月11日の東日本大震災から始まった福島第一原発の過酷事故(原子炉が壊れて膨大な放射能が放出される事故)から三カ月近くが経過しましたがいまだに事故が収束する見通しは立っていません。

現在の状況は 

(1)被害拡大を止める根本である事故終息に向けた努力が最優先で進められ、原子炉を冷却する機能を作ることと、再度の事故発生を防ぐ緊急の事故防止政策が取り組まれましたが、冷却機能を確立して原子炉の温度を100℃に止めて安定化する具体的な見通しが立たずに試行錯誤を続けきました。

(2)そしてもう一方、事故経過の正確な把握、分析に基づく原因究明と、今後を展望した原子力政策の根本的な転換の内容についての論議がすでに始まっています。

(3)さらに事故対策の重要な部分である事故被害の実情把握、被害者対策と被害補償問題では、チェルノブイリ原発事故に近づく放射能が放出されたことで起こった様々な被害と恐怖による被害者の切実な要求に押されて緊急の対策が始まっています。

このような状況を見ると、事故以後現在までの特徴は。自分たちが作り出した「日本では重大事故は起こらない」という安全神話に自分自身がとらわれて、過酷事故に対する総合的な政策もマニュアルも、当然訓練もなかった政府・東電が、まず原子炉を冷やすという最初期の原子炉溶融防止対策に失敗して二つの水素爆発を発生させて以後は、次々と進行する、「崩壊熱」を原因とするトラブル対策に追われ、試行錯誤を続けてきた時期だったと思います。

そして現在は、事故を終息させる緊急対策に国・国民の持つ能力を集中して成功するとともに、今後を展望する「原子力政策の抜本的な転換」の内容を国民的な規模で論議して、原子力発電への国民的な理解を高め正確な政策を選択していく条件を作ることが、事故終息のための緊急対策の成功にとっても、事故の結果引き起こされた被害の救済と復興対策の具体化のためにも欠かせない時期に来ているのだと考えられます。

2.事故収束の緊急対策をめぐって

工事自体としては特に困難ではない原子炉冷却装置システムの回復が困難を極めている原因は、人の接近を許さない原子炉内外の高い環境放射能水準と、外部からの冷却水注入による高度汚染水の大量発生でした。強い環境放射能は2回の爆発によって飛び散った放射能を帯びた瓦礫などの散乱と、さまざまな機会に原子炉から漏れる水やガスの放射能によっています。ここでは多くの国民の知恵やアイデアの活用が求められます。外国技術に頼るのが最善とは言えません。外付けの冷却装置のアイデアなどは事故の早い時期から住民運動が提案していました。

この分野で理解しがたいのは、M8地震の原発機器に対する影響の問題ほとんど情報がないことです。中越沖地震の直撃を受けた柏崎刈羽発電所では2,000をこえる大小のトラブルがありいまだに全機復帰を果たしていません。機器や配管からの水漏れなど福島でもないはずはありません。自分に都合の悪い問題は見過ごし、都合のよい解釈で計画を組んでいくと次々と新た強い困難を生むことになります。

東電はいま発電所にたまっている汚染水を循環させる冷却システムを準備していますが国民の持つ知恵を総動員して技術的困難を乗り切っていく姿勢が求められます。

また、緊急対策ということで、今後の原発のあり方を規定してしまうような施策を取ってはいけません。菅首相の「浜岡原発停止・二年間で防災(津波)対策が終了したら運転可能」の施策は、今後の原発のあり方に踏み込んでいます。

3.事故の経過、原因の調査について

菅首相は事故調査委員会を立ち上げると云いますが、メンバーはよく分かりません。今まで原発推進に参加した人々が中心になるなら、今の政策を根本的に転換する根拠となるような事実解明は困難だと思います。原発を巡り利益や地位などを受けてきた大きな利益集団(俗称「原発ムラ」)に属さない学者、研究者、技術者、識者の登用がカギとなります。

最近、事故発生時前後の記録・資料が発表され、東電や政府の行動にさまざまな指摘がされていますが、本質をついた問題討議に向けた論点整理が必要と思います。東電から「1号機では冷却停止以後5時間でメルトダウンが始まり、16時間で完全な溶解」という調査結果が発表されました。冷却が止まればたちまちに温度が上がり溶解が始まることは専門家でなくとも常識に属することで、問題はなぜそういう理解のもとで緊急の冷却手段を講じ、爆発や炉心溶解を防ぐことができなかったのかという点を解明すべきだと思います。

さらに事故原因の調査の内容に、現在の原発(軽水炉)についての評価を含めるべきだと思います。今度の福島原発事故の一番の問題点は、一度コントロールできなくなった原発の危険と、収束対策の難しさ、被害の深刻さです。そしてこの危険は既存の原発の構造そのものから発しています。今の原発を既定の事実として次代に引き継いでいいのかを国民的に明らかにする必要があります。

4.危険な原発の計画的廃止の道へ

既存原発の計画的廃止の問題は地球の安全を守るエネルギー対策と裏表の関係で結びついています。既存の原発をなくしてもやっていけるエネルギーの展望と結び付きます。それでなければ国民多数の理解は得られません。さらに国と電力資本が情報と資金を握って専制的に推進してきた原子力政策を根本的に切り替えて安全で平和で民主的な内容に転換していく問題であり、多くの国民の積極的な参加、支持のもとに初めて前進できる問題です。「原発に退場してもらうために、自分たちの努力で自然エネルギーを生みだそう」というような国民の創意と積極性に支えられてはじめて前進できる問題です。平和で安全、地域の発展に結び付くようなエネルギー政策の確立を目指して、国民的な世論作りを進めるとともに、広い視野で大きな展望を持って取り組みましょう。


 原発日誌・大阪 4/21〜5/20

21日
 菅直人首相は東京電力が発表した福島第1原発事故の収束に向けた工程表に関し「なんとか計画をもっと前倒しするように努力し、将来の展望が持てる形にしたい」と述べ、原発からの避難住民の早期帰宅を目指す考えを強調した。視察先の福島県郡山市で記者団に語った。

22日
 日本原子力研究開発機構は、高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉が250度以下の冷温停止状態にある場合の非常用ディーゼル発電機の最低動作可能台数を常時2台以上と改め、経済産業省原子力安全・保安院に保安規定の変
更認可申請を行った。

23日
 原子力安全・保安院は東京電力福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールに約140トン注水することを明らかにした。現在の2倍の量という。

23日
 文部科学省は福島第1原子力発電所の事故による累積放射線量が福島県浪江町の測定地点で初めて20ミリシーベルトを超えたと発表した。浪江町は福島第1原発の北西約30キロメートルにあり、計画的避難区域に含まれる。

23日
 政府の復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の2回目の会合が開かれたが、被災3県の要求の重点や温度差が表面化。意見集約が難航するのは必至だ。

25日
 水素爆発防止のための窒素注入が続く福島第1原発1号機について東京電力は、格納容器内の圧力が窒素注入前の水準に戻ったことを明らかにした。東電は格納容器内に水がたまって冷却が進んだ結果と見ているが、窒素が容器外に漏れている可能性もあるので、爆発を防ぐために今後も窒素の注入を続ける方針。

25日
 参院予算委員会で、福島第1原子力発電所の事故での菅直人首相の初動の遅れや責任の所在に質問が集中した。

26日
 東京電力は、福島第1原子力発電所の事故にともなう損害賠償などに応じるため、役員報酬を半額とするなどの人件費削減の方針を発表した。会長、社長、副社長、常務取締役のあわせて17人は50%、執行役員29人は40%減額し、総額17億円程度あった報酬を9億円程度にまで減額する。社員の給与については、管理職の年俸をおよそ25%、一般職の年収をおよそ20%カットする方針で。

26日
 東京電力は福島第1原発1号機の格納容器を水で満たして燃料を冷やす「水棺」の着手に向けた作業に入った。一方、4号機のタービン建屋地下にたまった水の放射性物質濃度が、1カ月で最大約250倍に上昇していることが判明。事故収束に向け、新たな課題が浮上した。

26日
 文部科学省は、福島第1原発から放出される放射性物質による周辺の汚染状況を予測した地図を公表した。現在の水準で放出が続いた場合、来年3月11日までの1年間の予想累積線量は、福島県浪江町赤宇木椚平(原発の北西24キロ、計画的避難区域)で235.4ミリシーベルトに上った。

27日
 東京電力は福島第1原発1〜3号機の炉心にある核燃料の損傷割合の推定値を訂正し、原子力安全・保安院に報告したと発表した。訂正後の値は、1号機約55%(訂正前は約70%)▽2号機約35%(同約30%)▽3号機約30%(同約25%)−−となった。

27日
 政府と東電の事故対策統合本部は、1〜4号機のタービン建屋地下などにたまった高濃度の放射性汚染水を浄化する設備を設置する計画を正式に発表した。処理した水は海などへ放出せず、原子炉に戻して炉心の冷却に再利用する方針。5月上旬に設備の搬入を始め、6月中の稼働を目指すとしている。

28日
 福島第1原発の事故で、東電は28日、格納容器全体を水で満たす「水棺」計画を進めている1号機について、当初予定していた注水量の段階的な増加を見送った。格納容器内の圧力が下がっており、空気中の酸素が容器内に流入すれば水素爆発も懸念されるため。

28日
 東北電力は東通原発に津波の浸入を防ぐ防潮堤と防潮壁を3年以内に設置すると発表した。海抜13メートルの敷地に高さ2メートルの防潮堤と防潮壁を設置。高さ15メートルの津波に備える。女川原発や福島第1原発を襲った津波の高さを考慮して高さを決めた。

28日
 大阪府の橋下徹知事は関西広域連合に関西地区にかかわる原発について「新設や延長をやめるため、一歩踏み出そう」と提案したが、「時期尚早」として、認められなかった。橋下知事は今後、大阪府単独で計画づくりに取り組む方針。

29日
 内閣官房参与の小佐古敏荘・東京大教授(61)=放射線安全学=は菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。小佐古氏は国会内で記者会見し、福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに強い異論を唱えた。

30日
 福島県は、県内7カ所で採取した牧草から、農林水産省が設定した暫定許容値を最大で30倍超える放射性セシウムが検出されたと発表した。東京電力福島第1原発事故後初めて同県内の牧草からも放射性物質が出た。


5月

1日
 経済産業省は、東京電力福島第1原発の事故を踏まえ、核燃料サイクル施設のうち使用済み燃料を扱う再処理施設に対して外部電源の喪失に備える緊急安全対策を求める指示を出した。

2日
 福島第1原発事故で放出された放射性物質に汚染されたがれきについて、環境省は、警戒区域(半径20キロ以内)と計画的避難区域で当面、放置し、処分しない方針を決めた。作業員の健康影響を考慮した。内閣府原子力安全委員会に助言を求め、妥当との評価を得たという。

2日
 福島第1原発の事故を受け、電源開発(Jパワー)は、津波対策のため、建設中の大間原発(大間町)に新たに防潮壁を設置する考えを明らかにした。

3日
 東京電力は1号機原子炉建屋内の放射線量低減に向け、換気装置の設置作業を始めた。

3日
 政府は東京電力福島第1原発の事故で、公開していなかった放射性物質の拡散状況を予測した約5000枚のシミュレーション(試算)結果についてホームページ上で公開を始めた。

4日
 東京電力は、福島第1原発1号機の原子炉を安定的に冷やすため、仮設の空冷装置と熱交換器を使った循環型冷却システムの設置に向けた工事を8日に始めると公表した。原子炉につながる既設の配管の一部を使って冷却水を炉内に循環させる。

5日
 東京電力は、福島第1原発1号機の原子炉建屋内の高い放射線量を下げるため、作業員ら13人が水素爆発事故以来初めて建屋内に入り、空気を浄化するフィルター付き換気装置を設置し、稼働させた。

6日
 東京電力は、福島第1原発1号機の原子炉格納容器を水で満たす「水棺」計画を実施するため、炉心への注水量を毎時6トンから8トンに増やしたと発表した。

6日
 菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見し、中部電力浜岡原発について、現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電に要請したことを明らかにした。そして浜岡原発は東海地震の想定震源域に立地して、地震により重大事故が発生する可能性があり、大地震に伴う重大事故発生を防ぐため、高さ15メートルの防潮堤工事などの安全対策が終わる2年間は運転を停止するよう求めている。

6日
 福島第1原発事故で、3号機の原子炉圧力容器周辺の温度が上がり続けており、東京電力は6日、注水量を毎時10トンに増やす方針を明らかにした。4日から毎時7トンから9トンにしていたが温度は下がらず、水が原子炉に入る前に漏れている可能性もあるとみている。

6日
 原子力安全・保安院は、福井県内にある商用炉13基と高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)、廃炉中の新型転換炉「ふげん」(同)についても、津波に対する緊急安全対策がなされていると発表した。海江田万里・経産相が3月30日、津波で全電源喪失事故、原子炉・燃料貯蔵プールの冷却機能喪失の場合でも炉心損傷など深刻な事態を避けられるよう、緊急安全対策の実施状況の報告を求めていた。

7日
 東京電力は福島第1原発3号機の原子炉圧力容器の温度が上昇しているため、炉心への注水に使う配管を「消火系」から「給水系」に変更すると発表した。

7日
 東京電力は福島第1原発1号機の原子炉建屋内でフィルター付き換気装置を設置した結果、内部の放射線量がピーク時の10分の1程度に低下したと発表した。排気を継続したうえで、8日にも仮設冷却装置の設置作業に着手する方針。

7日
 東京電力福島第1原発の事故で立ち入りが規制されている「警戒区域」(半径20キロ圏)への一時帰宅について、国の原子力災害現地対策本部は福島県内の対象9市町村のうち、10日の川内村から順次開始すると正式発表した。

8日
 東京電力は8日午後8時過ぎ、福島第1原発1号機の原子炉建屋とタービン建屋の間にある二重扉を開けたと発表した。原子炉の継続的な冷却用設備を新たに設置するため、作業員が原子炉建屋に出入りしやすくするのが狙い。

9日
 福島第1原発事故で、東京電力は1号機原子炉建屋内に、東電社員7人と原子力安全・保安院の職員2人が入り、建屋内の放射線量を測定したと発表した。最大で毎時700ミリシーベルトあった。

9日
 中部電力は9日午後開いた臨時取締役会で、浜岡原子力発電所の全炉停止を求めた菅直人首相の要請受け入れを正式決定した。

9日
 福島第1原発事故の被害者に対する損害賠償の枠組みづくりをめぐり、政府は関係閣僚会議を再開したが難航。3日連続で結論を持ち越した。同日の会議には、枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相らが出席した。

9日
 国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで、2050年の世界のエネルギー消費量の最大77%をまかなえる可能性があるとした特別報告書を公表した。「再生可能エネルギーの温暖化対策への貢献度は原子力発電などより大きい」と指摘し、各国に導入拡大を促す格好になった。

10日
 文部科学省は4月、米エネルギー省と共同で航空機を使ってセシウム137(半減期約30年)と134(同約2年)の土壌蓄積量を調べた。このうち、長期的に影響が続くセシウム137は、原発の北西方向にあたる同県浪江町、双葉町、南相馬市、飯舘村、葛尾村などで、1平方メートルあたり300万〜1470万ベクレルに達した。

11日
 福島原子力発電所事故対策統合本部は、福島第1原発3号機の海水取水口近くにある「ピット」と呼ばれるコンクリートの穴に、放射性物質で汚染された水が流れ込み海に流出しているのを見つけたと発表した。

12日
 東京電力福島第1原発事故の原因を究明する「事故調査特別委員会」(仮称)の概要が11日判明した。菅直人首相が指名する法律や地震の専門家ら約10人で構成。海外の専門家による外部組織の助言も受ける。設置について近く閣議決定する。

12日
 東京電力は福島第1原発3号機の原子炉建屋内の放射線量について、格納容器の北側で毎時48.6〜120ミリシーベルトを計測したと発表した。放射線を遮蔽する必要があり、作業の遅れが懸念される。

13日
 東京電力福島第1原発1号機で燃料棒を収めている圧力容器が損傷し、大量の水漏れが起きていることが12日明らかになった。東電は同日夕、圧力容器の底に合計で数センチ相当の複数の穴が開いている可能性もあるとの見解を示した。現在の工程表で盛り込まれていなかった「圧力容器の破損」で、、計画の見直しを迫られることは必至だ。

13日
 東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題で、政府は13日午前、関係閣僚会合を開き、東電を公的管理下に置く一方で、官民で資金を拠出する「原発賠償機構(仮称)」が東電の賠償支払いを支援する枠組みを正式に決めた。

13日
 大阪府の橋下徹知事が原子力発電所の新規建設や稼働期間の延長をしないための府民運動を展開するとしていることについて、原発14基を抱える福井県の西川一誠知事は定例会見で、「関西の55%の電力が福井から供給されていることを、関西の自治体、消費者はわきまえてもらいたい」と反論した。

14日
 東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋地下1階で、行方不明の冷却水が大量に見つかった。1号機では燃料が炉心融解し、圧力容器、格納容器とも穴が開いていると見られる。

15日
 中部電力浜岡原発5号機の停止を受け、国内の商用原発54基のうち運転を停止しているのは14日現在で3分の2の36基になった。

15日
 民主党の岡田克也幹事長は青森県大間町を訪れ、建設中のJパワー(電源開発)大間原発を視察したなかで定期点検中の同県東通村の東北電力東通原発1号機について言及し、一定の安全基準を満たすことを条件に「基本的には再稼働させる」との考えを示した。

16日
 福島第1原発1号機で、地震からわずか16時間後の3月12日早朝には、燃料の大部分が溶け落ちていた可能性が強まった。東電の解析によると、燃料の溶融は従来考えられていた以上の速度で進行。外部から冷却水を入れるため、弁を開いて炉内の圧力を下げる「ベント」作業を始めた時には、炉内は既に水位が燃料の下端を下回る「空だき」状態で、燃料の大部分が溶融していたことになる。今後、ベントの作業や外からの注水のタイミングが適切だったかが問われることになりそうだ。

16日
 福島第1原発1号機で地震直後、非常用冷却装置が津波の到達前に停止していたことが、東電が16日公表した初期データから分かった。従来、同装置は津波到達までは動いていたと考えられ、東電も15日公表の解析結果の前提を「津波で機能喪失」としていた。「冷却装置によって炉内の圧力が急激に低下したため、手動でいったん停止したとみられる」と説明。津波が到達する中、こうした操作を繰り返すうちに冷却機能喪失に至った。近く始まる政府の事故原因究明につながる重要な内容だ。  

16日
 東京電力が16日公開した福島第1原発事故に関する膨大なデータによって、地震と津波で同原発が冷却機能を失う過程と、対応に追われる現場の混乱した状況が明らかになった。事故から2カ月以上たち、ようやく表に出てきたデータ。政府は近く発足させる事故調査特別委員会で、原因究明や初期対応の妥当性などの検証を始める。 

16日
 福島第1原発事故の損害賠償問題で、関西電力など電力大手は、原子力事業者に賠償負担を求めることを盛り込んだ政府の賠償支援策を受け入れる方針を固めた。円滑な賠償支払いには「受け入れざるを得ない」(電力大手首脳)と判断した。

17日
 東京電力は、福島第1原発3号機のタービン建屋地下にたまった高濃度汚染水について、敷地内の集中廃棄物処理施設に移送する作業を午後にも始める。3号機の汚染水は約2万2000立方メートルあるとみられる。

17日
 政府の原子力災害対策本部は夕刻、東京電力福島第1原発事故の収束・検証などに関する工程表を決定した。

17日
 東京電力は発表した工程表の改定版で、福島第1原発1〜4号機での事故の収束目標時期こそ変更しなかったが、格納容器を水で満たす「冠水」(水棺)を事実上断念した。4月の工程表発表の際、明らかになっていなかった格納容器の損傷が分かったためだ。冠水に代わり、東電は放射能を帯びた汚染水の発生抑制を目指す「循環注水冷却システム」の実現を最優先にする方針に転換した。

18日
 東京電力は福島第1原発2号機の原子炉建屋に作業員4人が入り、放射線量の測定や破損箇所の確認など始めたと発表。

18日
 菅直人首相は、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第1原発事故収束の見通しについて「来年1月中旬までには原子炉を冷温で停止し、安定化させたい。そうなればどの時期に(避難住民が)帰れるか申し上げることができる」と述べた。

20日
 東電が11年3月期の連結決算発表。最終損益は1兆2473億円の赤字である。福島第一原発などの災害特別損失が1兆円強に達した。1〜4号機の入り費用は含むが外部への損害補償は計算困難で含まない。また清水正孝社長は事故の責任で退任し西沢俊夫常務が社長に就任。勝俣恒久会長は当面留任する。

げんぱつ (大阪・原発住民運動情報付録)

【 2011年5月25日 No.168 】
原発問題救民運動大阪連絡会

 

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