「ソラダス2012」住民によるNO2大気汚染監視運動の大切さ
公害・環境デー  >  第40回公害環境デー  >  「ソラダス2012」住民によるNO2大気汚染監視運動の大切さ

「ソラダス2012」住民によるNO2大気汚染監視運動の大切さ

公害環境測定研究会

1.はじめに

 「ソラダス」とは、住民自身の手で大阪のNO2(二酸化窒素)大気汚染を測ろうという住民運動です。私たちの手で、大阪全域にわたり、日時を決めていっせいに測るのです。これまで5〜6年ごとに実施してきており、「ソラダス2012」は本年5月17、18日を予定し、準備を進めています。測定のための「天谷式カプセル」もみんなで手作りします。そのカプセルをみんなで手分けして、大阪府下で約9000個を取り付けます。どなたでも参加できます。このような住民によるNO2汚染大気監視の運動はいろんな意味で非常に重要です。今回の運動は、大阪のNO2汚染を全体として鳥瞰し面的に比較することができます。石油や天然ガスなど燃料の燃焼によって排出される汚染物質は多種類ありますが、それらの代表特性値としてNO2を測定するのです。これまでの主な結果を図1に示しました。過去40年間のその一部の結果ですが、それでも、近年も大気汚染は大阪の都市部だけではなく、周辺にまで拡大しており、「大気汚染問題は解決した」という状況ではありません。

2.人の健康を守るというより、行政の都合で運用されているNO2環境基準

 環境基準は、汚染の評価、汚染対策や排出規制、被害補償など、環境行政全般にわたる重要な指標です(表1)。ですから何よりも人の健康を守るために運用されるべきです。現行のNO2環境基準は1978年に日平均濃度40〜60ppbという幅で設定されました。しかし国行政はその最悪値60ppbを環境基準として運用しています。環境基本法では国行政に環境基準の達成を義務付けていますが、基準設定以来、30年以上経った今になってもまだ達成されたとはいえません。環境基本法は国や行政に常に適切な科学的判断を加えて基準を見直すよう義務付けています。この間環境省自身が実施した1986〜90年、1992〜95年、最近の2005〜09年などの健康影響調査において、現行環境基準以下でも健康影響が明らかになっているのに基準は30年以上改定されないままになっています。これらをみるとNO2環境基準は、人の健康よりも行政の都合で運用されているといわざるを得ない現状にあります。

3.信頼性低下が心配される国行政の大気環境監視

 信頼できる、正確で的確な大気環境監視(汚染濃度の測定)は、すべての施策の出発点となる最も基本的な環境行政の業務です。しかし、最近NO2などの濃度測定法が変更されましたが、新測定法(乾式法)は従来測定法(湿式法)よりも測定値が低く出る傾向がみられるのに、データが補正されないままの測定点がみられること(表2)、環境部局の規模縮小や他部局との統合、測定機器管理の民間業者任せが進んでいること、あるいは測定点の変更で測定データの継続性が低下したり、住民が設置を要請しても応えられていなかったりなど、行政による監視は信頼度が低下しているようで心配です。

4.なかなか進まない自動車排ガス汚染対策

 窒素酸化物、粒子状物質、光化学オキシダント、揮発性有機化合物などの大気汚染の主な排出源は自動車、中でもデイーゼル自動車です。1992年、10年後に環境基準を達成するとして実施された自動車NOx総量規制法は効き目なくて失敗、引き続いて2010年度達成目標として導入された自動車NOx・PM法でも達成されず、いまだ沿道を中心に深刻な自動車排ガス汚染が続いています。最近発表された環境省の調査でも、自動車排ガス汚染による健康影響が明らかになっています。電気自動車の普及も乗用車中心であり、肝心のデイーゼル車では見通しは不明です。

5.微小粒子(PM2.5)の健康影響と汚染状況

 最近の国による微小粒子(PM2.5)の健康への影響を調査研究した結果からも明らかに問題があるといえます(図2)。これからPM2.5が体の組織の非常に多くの部位に作用し健康を害することがわかります。
 なお、2006年のソラダス運動では、PM2.5の簡易測定(それでもやや高価な測定です)も自主研究として取り組みました(図3)。よこ軸は、カプセルでの二酸化窒素ガス濃度で、縦軸がPM2.5の濃度です。
 このようにきれいなプラスの直線関係が得られています。従って、NO2を把握すれば、微粒子の濃度も大体予測できます。

6.増え続けているぜん息、呼吸器系健康障害

 文科省が集計している学校保健統計によれば、小・中学校学童、高校生などのぜん息被患率が年々増大しています。中でも大阪の被患率は全国平均の数倍もあります。成人でも呼吸器系の健康障害で苦しんでいる人はたくさんおられます。(図4)

7.住民や被害者自身が環境監視を行っていく運動が大切

 大気汚染はいまだ健康障害を増大させる状況にありますが、そんな中で環境行政は、環境基準を機能不全に陥らせ、最も基本となる環境測定の信頼性も低下させるような、怠慢と言わざるを得ないあり様になっています。
 私たち大阪に暮らす住民からみれば、大気環境は決して安心できる状態にはなっていません。自動車排ガスなど大気汚染によって被害に苦しめられるのは私たち住民です。私たち自身の手で
NO2濃度を測り、汚染の実態をつかみ、行政や産業界に訴えていくことが大切です。
 「ソラダス2012」NO2測定運動に、皆さん参加しませんか。天谷式カプセルは、大阪でも全国でも長年活用されてきた、私たち住民でも扱いやすく、精度も悪くないNO2簡易測定法です。NOxやPMなどいろいろな大気汚染の主な原因は自動車排ガスです。NO2を測れば、現在の大気汚染の実情がわかります。「ソラダス2012」運動は、趣旨に賛同される方なら個人でも団体でもどなたでも参加できます。測り方は簡単です。NO2濃度をみんなで一緒に測りませんか。

上記資料のPDF版はこちらをダウンロードしてください。
「ソラダス2012」住民によるNO2大気汚染監視運動の大切さ
プリンタ用画面
前
信太山に里山自然公園を求める運動
カテゴリートップ
第40回公害環境デー
次
「原発ゼロの会」発足の趣旨と要求

行事案内
第45回公害環境デー
おすすめBOOK