寝屋川廃プラ公害 公調委調査結果とこれからの闘い
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(報告)寝屋川廃プラ公害 公調委調査結果とこれからのたたかいについて

廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会 

 2013年1月、公調委は、廃プラ2施設と太秦、高宮あさひ丘、寝屋で化学物質と風向風速調査、打上川沿いの田んぼで接地逆転層発生調査を実施しました。

 調査結果報告2文書と、3名の専門委員の意見書3文書、計5文書が5月15日に公表されました。申請人側の柳沢幸雄東大名誉教授、西川榮一神戸商船大名誉教授による公調委の調査結果報告に対する意見書が7月15日に公調委に提出され、調査不十分である点を指摘し再調査すべきと要望しました。

 8月6日、公調委事務局が来阪、申請人代表と弁護団と面談。公調委事務局は、これまでの調査で裁定委員は「判断できる心証を得ているから再調査しない」と述べました。申請人側は、柳沢、西川両名誉教授による再調査要望について検討するように述べましたが、事務局は裁定委員に伝えると述べるにとどまりました。また、申請人側は詳細データの開示をもとめ、そうしたデータにもとづく追加意見書を提出する、また自主調査を実施して報告することが確認されました。

 その後、公調委から、詳細データの一部開示があり、専門委員と公調委事務局による説明会を実施するので質問を提出するように連絡がありました。12月10日に実施された説明会は非公開、記録・録音はしない、説明会での発言は証拠にしないという異例の会議であした。

 後刻12月25日、質問にたいする回答文書が届いた。
 以下、公調委の回答文書における特徴的な見解について、申請人、廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会のコメントを報告します。

1. 施設から発生している物質は高濃度ではないのか

 専門委員の意見・・・住宅地の化学物質と比べて廃プラ施設から発生している濃度は高い。しかし、一番多いブタン類はニオイがしないので、高濃度とは言えない。

⇔(申請人コメント)、調査によって寝屋川市の大気中の化学物質濃度の100倍から数百倍の化学物質が、4市施設(かざぐるま)とイコール社から排出していることがわかった。専門委員は、高濃度発生の問題をブタン類のニオイの問題などにすり替えて説明。

2. 未知物質(未同定物質)は無害か

 専門委員の意見・・・未知物質のなかに健康被害の原因物質があるかどうかわからない。
 公調委事務局の意見・・・発生、測定された物質の濃度のうち7割が名前が同定されており、判断に必要な実態が明らかにできた。

⇔(申請人コメント)、未知物質は、名前も毒性もわからない物質であり、そのなかに原因物質がないと断定できない。専門委員の見解は当然ですが、事務局の見解は、タメにする見解を住民に押し付けるものです。

3. ホルムアルデヒドは低濃度か

 専門委員の意見・・・24時間採取による測定法(D法と呼称)の結果は低濃度であった。高濃度測定値を示した30分測定法(F法と呼称)は精度が問題であるので不採用とする。

 ⇔(申請人コメント)ホルムアルデヒドは住民の症状と似たシックハウス症候群の原因物質であり、最近発がん性が認められた猛毒物質であり、極めて重要な調査です。F法による測定結果は、当初、データ開示が拒否されていたが、理由がわからずデータが送られて来て、すぐ回収されました。申請人がそのデータを分析したところ、ホルムアルデヒドの指針値100μg/㎥を超える測定値が、住宅地3箇所と4市組合排出口付近、イコール社敷地境界付近で測定されていることがわかりました。

 公調委は、F法の測定値を不採用にした理由を、使用湿度範囲(20〜90%rh)を超える条件で測定した結果であるから疑義があるとしました。ところが、6日間の測定期間中、調査5日目と6日目は、湿度が使用湿度範囲(20〜90%rh)であり、疑義が生じる測定データではありません。下表に、調査5日目と6日目におけるホルムアルデヒドの30分測定値が指針値100μg/㎥を超えた時の濃度、時刻、湿度%を示します。

 調査地点     サンプル番号 調査日時   ホルムアルデヒド濃度  湿度
サンコート太秦ヒル屋上 5    1月24日 14:03:34 140μg/㎥    38.6%
サンコート太秦ヒル屋上 5    1月25日 11:03:34 115μg/㎥    26.6%
あさひ丘配水場屋上   5    1月24日 13:45:53 152μg/㎥    42.6%
あさひ丘配水場屋上   5    1月24日 14:15:53 138μg/㎥    46.2%
あさひ丘配水場屋上   5    1月25日 8:45:53  102μg/㎥    38%
あさひ丘配水場屋上  5    1月25日 9:15:53  159μg/㎥    37.2%
あさひ丘配水場屋上   5    1月25日 10:45:53 121μg/㎥    23.1%
あさひ丘配水場屋上   5    1月25日 11:15:53 225μg/㎥    23.8%
あさひ丘配水場屋上   5    1月25日 11:45:53 153μg/㎥    25.2%
寝屋公民館屋上     5    1月24日 14:06:52 126μg/㎥    36.1%
寝屋公民館屋上    5    1月25日 9:36:52  101μg/㎥    31.7%
寝屋公民館屋上     5    1月25日 11:06:52 155μg/㎥    23.4%
寝屋公民館屋上     5    1月25日 11:36:52 191μg/㎥    22.6%
寝屋公民館屋上     5    1月25日 12:06:52 109μg/㎥    20.4%
イ社敷地境界      6    1月25日 12:12:34 148μg/㎥    22.2%
イ社敷地境界      6    1月25日 12:42:34 112μg/㎥    23.7%
かざぐるま       6    1月25日 10:22:07 153μg/㎥    34.8%
かざぐるま       6    1月25日 10:52:07 180μg/㎥    33.3%

 公調委の東賢一専門委員の回答は、上記データについて回答をしないまま「ホルムアルデヒドは低濃度だった」とした。このままでは、責任ある説明が行われないまま、公調委が「健康被害が生じる物質はなかった」とする可能性が高い。少なくとも、ホルムアルデヒドの濃度を評価する30分平均値の測定を追加(再)調査すべきです。

 申請人、住民は公調委が再調査しないという態度であることを知り、8月下旬より公調委が使用した同じ測定法(F法)でホルムアルデヒドの30分連続調査を行った結果、使用測定範囲での測定値として、指針値を超える高濃度を検出している。最高値は679μg/㎥であった。(下図に例示。鋭いピークがホルムアルデヒド濃度で左軸数値が単位表示。上の折れ線グラフが湿度で右軸数値が単位表示)。

4.住宅地では接地逆転層が発生しないから調査しなかった?

 専門委員の意見・・・打上川沿いの田んぼで測定した高度を変えた温度測定で接地逆転層の発生が確認されたが、せいぜい5mまでで、丘陵部にある住宅地は斜面地形であるから接地逆転層は発達しないであろうから測定しなかった。

⇔(申請人コメント)住宅地で接地逆転層発生の有無を測定しなくても、逆転層が発達しないと言うのはおかしい。測定すべきです。
(申請人は、1月から住宅地での高度を変えた温度測定を実施し、接地逆転層の発生を確認している)

・・・説明会に出席した申請人が「説明には涙が出てくる」と訴える

 やり取りしている中で、思わず申請人のYさんから「説明を聞いていて涙が出る。専門委員が接地逆転層は打上川沿いに発生するが、住宅地では発生しないから、発生の有無を測定する調査はしなかったと言われるが、住民は煙を炊いて実験をし(下写真)、接地逆転層の中の空気が住宅地に届いていることを確認している。ちゃんとした調査をし、健康被害をなくして欲しい」と切実な訴えがありました。専門委員は「実際にどうかは調査しないとわからない」と述べましたが、公調委事務局は、再調査しないと述べるばかりでした。

(写真下)接地逆転層発生を確認した煙の実験 (2008年12月)
廃プラ施設付近から発生させた煙が接地逆転層の中を移流し、空気の拡散が抑えられた状態で住宅地に向かっている。

(写真下)廃プラ施設付近から発生させた煙が、接地逆転層の中を移流し、右側の浄水場の斜面を登っている。煙は浄水場を越えて住宅地に到達している事が確認された。

 (文責:廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会 事務局 長野 晃)

 (これからのたたかい)廃プラ公害による健康被害をなくし、きれいな空気を取り戻すたたかいは11年目に入ります。世界初とも言われる、廃プラ処理による揮発性有機化合物(VOC)を原因とする公害です。健康被害がある限り、世論を頼みにたたかいの輪を広げ、公害根絶までたたかい抜きます。ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

(文責:廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会事務局 長野 晃)

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