【声明】安倍晋三元首相の「国葬」に反対し、中止を求めます [2022.9.21]
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【声明】安倍晋三元首相の「国葬」に反対し、中止を求めます

 岸田内閣は、国会審議を行うことのないまま、安倍晋三元首相の「国葬」を実施しようとしています。しかし、本件「国葬」をめぐっては、マスコミ世論調査で「反対」が「賛成」を上回るなど国民世論は大きく分かれ、疑問の声はたかまるばかりです。国家が喪主となり、国民の血税を使って行う葬儀「国葬」を、国民の意見を無視して強行することは、日本の民主主義に大きな禍根を残します。

 「大阪から公害をなくす会」は、公害被害者の願いから出発し、日本国憲法を力に、住民の命・健康・暮らしを守るために50年にわたって声を上げ運動をすすめてきた市民団体として、民主主義を否定する「国葬」の実施に反対し、中止・撤回をつよく求めます。

 そもそも、弔意は個人の心情に基づいて自由であるべきであり、国家が特定の個人に対する弔意を強制することがあってはなりません。だからこそ、戦前の「国葬令」は、思想・良心の自由等を保障した日本国憲法の制定とともに失効したのです。ところが、岸田首相は、法的根拠のない「国葬」を「閣議決定さえあれば実施できる」として強行しようとしています。到底認めることはできません。さらに、「国葬」に多額の税金を使うとなれば、憲法第83条に基づき、国会の議決による財政処理が必要です。「大阪から公害をなくす会」は、幾重にも民主主義のルールを無視した「国葬」に断固抗議し、中止・撤回を求めます。

 岸田首相は、「国葬」を行う理由として、首相在任期間が最長であったことを挙げて安倍晋三氏の功績を賛美しています。しかし、「大阪から公害をなくす会」は、「気候危機」打開、脱化石燃料・脱原発対策を求めて取り組む団体として、安倍政権の環境行政を賛美することはできません。

 私たちは、安倍政権による石炭火力と原発を主力電源とする20世紀型のエネルギー政策を批判し、その転換を求めてきました。また、安倍氏が、福島第一原発の状況を「アンダーコントロールされている」などと虚偽発言をし、事故被害者救済の責任を放棄したまま、安全対策なしの原発再稼働をすすめてきたことを厳しく批判してきました。

 「国葬」は、このような安倍氏への批判を封じ、一面的礼賛をおしつけることにつながらないでしょうか。「安倍元首相の遺志を継ぐ」などとして、原発や石炭火力に依存したエネルギー政策を続けることがあってはなりません。

 「大阪から公害をなくす会」は、命の重さを訴えてきた市民団体として、今回、安倍晋三氏の命を一方的に奪った蛮行をけっして認めることはできません。安倍晋三氏のご冥福をお祈りするとともに、その「死」の政治利用と民主主義破壊につながる「安倍晋三元首相の国葬」に反対し、閣議決定の撤回と「国葬」の中止をつよく求めるものです。

2022年8月 大阪から公害をなくす会・幹事会

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